2016年7月20日水曜日

都知事選あらかると(7月20日)-7 
▼「病み上がり」発言に小池候補の本質がある
  「この人なら勝てると言って、政策も何もない人、病み上がりの人をただ連れてくればいいというものではないんです」―小池百合子候補の発言に、鳥越候補が声を荒げ、大きな話題になった。米国の大統領選でよく言われる「ネガティブ・キャンペーン」そのもの。実は語った人の人格に関わる問題だ。
 まず事実関係。報道などによると、小池発言があったのは、17日に秋葉原駅前で行った街頭演説。この演説は、18日にテレビで報道されていたが、鳥越氏は「心底から怒りを感じた」という。19日のフジテレビの討論番組で鳥越氏がこれを取り上げると、小池氏は当初「言ってないです、記憶にないですね」と笑いながら発言自体を否定した。テロップ付きで放送したニュースの画面を見せられると「記憶にない」とごまかし、鳥越氏に「がんサバイバーに対する大変な差別ですよ、偏見だ」と追及されて、ようやく「もし言っていたならば、失礼なことを申し上げて恐縮です」。ところが、小池氏はそのあと「これが選挙なんですよ」と居直った。
 もともと、「○○上がり」という言葉は、もともとは「現在よりも悪い職業、身分、状態だったこと」を指す言葉。「記者上がり」「通訳上がり」「官僚上がり」などと使われるが、根底にあるのは、「当人の前の職業・身分・状態に対する蔑視」。自分を卑下して言う場合には問題はないだろうが、それを攻撃の材料にするのは、どう見ても品格に欠ける。
 鳥越氏は「これは僕個人に対する問題じゃない。がんサバイバーは、何十万、何百万といるんです。東京都だって。家族もいます。そういう人たちに1回がんになったら、あなたはもう何もできないんだ、というふうに決めつける。病み上がりというレッテルをはっている」と批判した。
 今回の選挙では、鳥越候補の「健康」を題材にした「ネガティブ・キャンペーン」が目立っている。「健康に不安がある」「4回のがん」「健康に不安がある」「演説回数が極端に少ない」…。その中での極めつきが、この「病み上がり」だ。都知事選で使われたネガティブ・キャンペーンの代表は、「美濃部が知事になると都庁に赤旗が立つ」の都庁赤旗論だった。
「弱肉強食―新自由主義の思想で東京を汚染させず、「弱者に暖かい東京」を取り戻そう
 「病み上がり」攻撃に鳥越氏が怒ったのは、自分のことではなく、がんを患ったことがある人々、今なおがんと闘っている人たちへの攻撃だったからだ。「病気と闘う」という、人間にとってもっとも本質的で大変な状況にある「弱者」、そこに思いやりもなく、「これが選挙」と開き直る小池氏に、思いやりや優しさは感じられない。そこに、小池氏の本質がある。「弱肉強食」、「強いものが勝つ自由社会」―新自由主義の思想で、東京を汚染させず、「弱者に暖かい東京」を取り戻そう。「病み上がり論争」はくだらない論争ではない。M


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