2017年10月31日火曜日

共産党の「犠牲バント」で「得点」を挙げた立憲民主党

法政大学名誉教授
東京革新懇代表世話人
五十嵐 仁

 総選挙の結果が明らかになりました。「大義」なき解散と野党共闘の意義が改めて問われる選挙戦でした。安倍政権のしぶとさが示されるなかで、野党はバラバラでは勝てないということ、活路は市民と立憲野党との共闘にしかないということが、選挙を通じて改めて明らかになりました。
勝ったのはどこか
 自民党は公示前と同じ284議席となり、29議席の公明党と合わせた合計では313議席で衆院の3分の2(310議席)を維持しました。与党は改選前の318議席から5議席減ですが、定数が10議席減っていますからほぼ現状維持です。
 自民党の有権者に対する得票割合(絶対得票率)も小選挙区で24.98(前回24.5)、比例代表で17.49%(同17.0%)となっており、こちらもほぼ現状維持です。自民党は圧勝したとされていますが、負けなかっただけで勝ったわけではありません。
一方、野党内では質的な変化が生じました。立憲民主党が15議席から55議席に躍進して野党第1党になったからです。今回の選挙では唯一議席を増やしましたから、勝ったのは立憲民主党です。対照的に、希望の党は50議席で公示前の57議席に届かず、共産党も21議席から12議席に減らし、維新の会は3議席減の11議席、社民党は変わらず2議席となりました。
 この結果、立憲3野党(立憲民主・共産・社民)の合計は38議席から69議席へと31議席も増えています。この成果は共産党が67もの選挙区で候補者を取り下げて一本化を図った自己犠牲的な対応のお陰でした。共産党が「犠牲バント」でアシストしために、立憲野党は多くの「得点」を挙げることができたのです。
共闘が切り開いた新たな局面
 野党の内実が大きく変わったことによって、新たな局面が切り開かれました。一連の再編劇によって旧民主党や民進党の悪いイメージは希望の党へと受け継がれ、逆に立憲民主党は民主党以来のイメージと政策を一新することに成功したからです。
 こうして市民や他の立憲野党と歩むことのできる新たな選択肢が登場することになりました。それは「非安倍」や「反安倍」の有力な「受け皿」となるにちがいありません。これまで安倍首相は「他よりも良さそうだから」という消極的な支持によって支えられてきましたが、これからはもっと「良さそう」な「他」が存在することになるからです。
内閣支持率の下落が自民党支持率の低下に連動する可能性が出てきました。総選挙の結果を過信して「信任された」とばかりに強引な政治運営を続ければ、消極的な支持は離れます。安倍首相は意表を突いた解散・総選挙によって野党をかく乱しましたが、その混乱の中から思いもよらぬ手ごわいライバルが生まれたことになります。
安倍9条改憲阻止に向けて
 選挙の結果、改憲に賛成する政党と議員は3分の2を超えて349議席になりました。安倍首相も国会での改憲発議に向けて「合意形成をするよう努力」する考えを強調しています。
しかし、安倍首相が提案した自衛隊の存在を書き加える9条改憲に賛成するのは54%で、自民党でも14%は国防軍明記を求めています(毎日新聞調査)。与党の公明党は慎重で、希望の党でも9条改憲に反対が63.2%、安保法制を評価しないが68%になっています(朝日新聞調査)。
 改憲論は多数派でも、安倍9条改憲論は必ずしもそうではありません。この両者を区別し、安倍9条改憲に反対する世論を盛り上げ、それを可視化することが必要です。選挙の結果、3000万人署名の意義と重要性はますます高まりました。

今回の総選挙は衆院選で市民と立憲野党の共闘が試された初めてのケースです。議席減のリスクがあるのに候補者を取り下げた共産党の献身によって、信頼の絆と連携の経験が生まれ、人間関係も深まりました。

これを安倍9条改憲阻止と統一戦線結成に向けての、次のステップに結びつけなければなりません。選挙と運動の両面で日常的に連携を図り、統一志向のまともな野党を草の根から市民の力で育成することが次の課題です。

2017年10月23日月曜日

10月23日 憲法宣伝

安倍9条改憲NO!
自ら進んで署名に賛同する人ばかり
新しい横断幕や幟できる!
10月23日、総選挙結果が出た本日、東京憲法共同センターは、池袋駅東口で、早速「安倍9条改憲NO!」の全国統一署名に取り組みました。喜入東京自治労連事務局長、松元東京革新懇代表世話人、木下都教組書記長、平田東京平和委員会代表幹事らが、「総選挙で、改憲勢力が3分の2を占めたが、今日の世論調査でも9条に自衛隊を書き込むことに反対が、賛成を上回っている。集団的自衛権の行使ができる安保法制のもとで、9条にもし自衛隊を書き込めば、自衛隊が海外の戦場に送り込まれることになる」と宣伝。「ぜひ、署名にご協力ください!」と訴えました。
 自ら進んで署名に賛同する人ばかりであり、総選挙結果を受けて、署名運動の必要性を痛切に感じている人が増えている様子がうかがえました。14人が参加。写真は、左から木下さん、平田さん。

2017年10月13日金曜日

東京小選挙区25区の立憲野党の立候補状況
13選挙区で立憲野党が1本化
立憲野党共産党のみが3(3・15・18区) 計16
共産党が候補者を下ろして1本化したところが8選挙区(立憲民主党が7、社民党が1)。立憲・社民が候補者出さず共産党候補を市民組織が推薦6選挙区、1本化は計13選挙区で、ほかに、立憲野党が共産党のみのところが3。

1区 一本化海江田万里(立憲民主党)     
2区 一本化・松尾あきひろ(立憲民主党)  
3区 香西克介(立憲野党共産党のみ。社民区議支援)
4区 立憲・井戸正枝、共産・青山昂平並立  
5区 一本化・手塚よしお(立憲民主党)    
6区 一本化・落合貴之(立憲民主党)     
7区 一本化・長妻昭(立憲民主党)      
8区 共産・長内史子、立憲・吉田晴美並立   
9区 一本化・原純子(共産党)市民組織が推薦  
10区 立憲・鈴木庸介、共産・岸良信並立  
11区 立憲・前田順一郎、共産・小堤東並立  
12区 一本化・池内さおり(共産党)市民組織が推薦 

13区 共産・祖父江元希、立憲・北條智彦並立
14区 一本化あとう和之(共産党)(市民組織推薦)
15区 吉田年男(立憲野党共産党のみ)
16 一本化初鹿明博(立憲民主党)
17区 新井杉生(立憲野党共産のみ。社民系無所属区議が支援) 
18区 一本化・菅直人(立憲民主党)
19区 共産・杉下茂雄、立憲・末松義規並立
20区 一本化・宮本徹(共産党)市民組織が推薦。
21区 一本化・小糸健介(社民党)
23区 一本化・松村亮佑(共産党)市民組織が推薦。
24区 共産・飯田美弥子、立憲・高橋斉久並立
25区 共産・井上宣、立憲・山下容子並立

2017年10月8日日曜日

東京の13選挙区で
立憲野党が事実上一本化(2017/10/7現在)
つなぐ会通信 2017/10/8  
安倍政権を倒す大義のための、日本共産党の大英断を軸として、東京に25ある小選挙区の中で、下記の選挙区で一本化(事実上を含む)が図られました。

東京1海江田万里(立憲民主党)
東京2松尾あきひろ(立憲民主党)
東京5手塚よしお(立憲民主党)
東京6落合貴之(立憲民主党)
東京7長妻昭(立憲民主党)
東京16初鹿明博(立憲民主党)
東京18菅直人(立憲民主党)
東京21小糸健介(社民党)
*立憲野党が共産党のみ立候補している下記地区で、市民組織が推薦を決めています。
東京9原純子(共産党)
東京12池内さおり(共産党)
東京14あとう和之(共産党)
東京20宮本徹(共産党)
東京23松村亮佑(共産党)                  以上13

2017年10月5日木曜日

市民と野党の共闘の力を最大限発揮させよう
               全国革新懇事務室長 乾友行 
930日の学習交流会での全国革新懇事務室長の乾友行さんの報告要旨を紹介します。
 今度の総選挙は、安倍暴走政治を終わらせるたたかいだ。そのため、第一は安倍政権による憲法違反の解散、争点誤魔化しを打ち破ぶり、9条改憲や行政の私物化を許さない、安倍打倒のたたかい。第二は安倍暴走政治と対決する「市民と野党の共闘」への攻撃を打ち破るたたかい。
「市民と野党の共闘」をめぐり大きな障害が生まれている。野党第一党が合意を捨てて希望の党に合流する。希望の党は、争点を誤魔化し、自民補完、野党共闘分断のための政党だ。昨日、BSフジの番組で、希望の党の若狭氏が(民進党からの受け入れは)「憲法改正に反対、安保法制の白紙撤回を言う人は枠外」と発言。自民党の武見氏は「それに一番合うのは自民党だ」「自民党とどこが違うのか」と発言、若狭氏は困っていた。
 民進党指導部の背信に怒りを禁じえない。各地で市民と野党で候補一本化の話しが進んでいた。地域での苦労をどう考えているのか。
民進党の解体の背景には、大きく言えば日米支配層の思惑がある。自民政治への怒りを新しい政治への転換でなく、補完勢力に担わせる。憲法改悪、安保法制肯定の2大政党づくりだ。日本の政治を大企業中心、日米安保の枠内に抑える攻撃だ。共産党と共闘する野党第一党を木っ端微塵にする。離党した人の股の下をくぐらせるような無残なことをやらせる。「市民と野党の共闘」が掲げる中心課題は戦争法廃止。安保体制、国政の根本にかかわる問題だ。日米反動勢力の「市民と野党の共闘」への攻撃は戦略的なものだ。
 しかし「市民と野党の共闘」は困難を乗り越えていくと確信する。大田区のママの会の方は、国会前集会で、「市民運動は政治を変えることをめざす、選挙に参加するまでになった」と語っていた。主権者として自覚的に立ちあがる市民は声を上げることをやめないだろう。背信による困難を乗り越えていくだろう。民進党解体は市民と共闘をすすめる「リベラル政党」の誕生につながりうるとみている。
 市民運動型選挙から学ぶ必要がある。北海道5区補欠選挙のとき、神奈川、東京から市民運動の人が北海道に電話で訴え、「電話かけほど楽しいことはない」と語っていた。選挙運動に参加は初めてで、話している相手は昨日の自分、目線が同じで話している。参院選では愛知県ではママの会の方が、「共産党の須山さんをお願いします。私は共産党ではないんです」と、共産党でない人がなぜ支持するか対話になる。市民の目線から学び、楽しい選挙をやりたい。
 全国的には立憲4野党の共闘の枠組みが守れないが、市民連合との共通政策を大切にする政党、候補者を市民とともに堂々と支援しよう。無党派・他党派の人が共産党候補を支援した都議選型の選挙、過渡的な形の共闘候補を市民と野党の共闘の力を最大限発揮していく工夫が求められているのではないか。

 全国革新懇は国政選挙おける二つの基本的立場がある。一つは野党統一候補の勝利のために革新懇として支援する。もう一つは、「3目標」を掲げる政治勢力の躍進をめざすことだ。市民と野党の共闘の発展のためにも、革新懇運動の発展のためにも必要だ。「市民と野党の共闘」が大きな障害にぶつかっているときこそ、「統一戦線の推進力」・革新懇の力の発揮が求められる。革新懇と賛同団体は、今こそ力を発揮して展望を切り開いて行こう。
東京革新懇学習交流会開催 
安倍改憲を許さない市民と野党の共闘
                上智大学教授 中野晃一 

 930日、ラパスホールで東京革新懇地域・職場・団体学習交流会が84人の参加で開催されました。民進党が希望の党に解党的に合流するという激変の中で、中野さんの講演もその点に正面から触れ、また、午後の各地域の発言は、市民連合等の共同の到達の上に、どう対応するか懸命な議論が行われていることが報告されました。激動の情勢にまさにかみ合った学習交流会となりました。

民進党が希望の党に合流、リベラル派新党が期待できない状況だ。小選挙区になり、自分の信念に基づき行動できなくなっている。無所属での立候補はかなりきつい。対立候補を当てられて丸腰になる可能性がある。無所属で勝てればいいが、比例復活のセイフティネットがない。
 私は危ない状況を感じ、民進党には準備した方がいいと言ってきた。都議選で安倍・自民党を切らせるのはいいが、次の政局の中心に、主導権握る立場に立ったのは小池都知事。野党共闘へのくさびになってくると思っていた。

 都議選では、民進党は風たよりで足腰が弱い。組織政党は共産党公明党ぐらい、自民党は後援会組織だよりだ。民進党は組織としては連合だが、同盟系であれば相当保守的立ち位置で共産党とは組まない。民進党が東京で生き残るのは大変だ。松原や長島などなんで民進党にいるんだみたいな人も居た。
 安倍打倒までは民進党もつないで野党共闘の蓄積できた。安全保障関連法、共謀罪反対の共同できた。共産党が国民連合政権構想戦略を大胆に提起したが、民進党がどれほど信頼できるかが問われた。
 民進党の中で本来保守層を含め、こちら側に寄ってきた。福山哲郎は松下政経塾で保守だが、国会前行動に足を運び苦労しながら一緒に走ってきた。民進党の代表戦では枝野で奮闘し前原に干された。解散のとき、福山氏は国会前に顔を出している。政治家として相当変わってきた。 
 小池都知事は改革保守を掲げ、新自由主義的で下劣な政策を打ち出している。小池知事は都民ファーストを掲げているが何もやっていない。小池知事は高値で売れるときに衆院選に出てくる。毎日、安倍政権、立憲野党が霞むようにメディアに露出し、衆院選に出るのか出ないのか思わせて出てくる。小池劇場をメディアが演出している。

 小選挙区は11のであり分断されてはどうしようもない。全国規模で11の二極化すればすっきりする。参議院選挙では、改憲勢力対立憲野党の構図で維新が邪魔する役割をになった。共謀罪では、安倍政権は、維新を建設的野党と褒め称え、修正協議に応じる。公明党は集団的自衛権では「限定的」ということで見た目を整え、安倍首相を穏当に見せた。なんちゃって野党が実際には政権をアシストしている。

あざとい安倍政権が5年近く続き、どうやって2極構図をつくれるか、それを参議院選挙でつくれた。東日本、長野、新潟等で立憲野党が健闘した。西日本は惨憺たる状況で維新が自民党をアシストした。小池都知事はそれを全国に展開しようとしている。自民党、希望の党とどう対決できるか。枝野氏が出て新党を立ち上げれば、ある面勝負の形になる。危機感持った人々が比例で立憲野党に投票すれば足場を残せる。

928日、市民連合は見解を出した。希望の党は安保法政肯定で共闘の対象にはならない。
希望の党に合流する民進党議員でこちら側に引っ張って一緒にたたかえる人もいる。希望の党が野党にとどまったら、こんなところに居られないともなる。リベラル新党が誕生すれば市民と立憲野党の共闘となる。

希望の党は、小池独裁以外にもたない。政権獲得まで行っても、誰が入閣するか、誰が幹事長やるかなどメチャクチャになる。小池さんのやり方を見ていて浮かんだ言葉は「適当」だ。小池さんの言っているのは全部“適当”。政権を担って持つわけがない。持つとすれば女王陛下の独裁だ。自民党との大連立もありで、北朝鮮対峙と改憲の救国大連立政権、大政翼賛体制となる。

 いろいろやられて、まだ負けないでやるという馬鹿さかげん。結局は個人の持っている勇気だ。この間のたたかいでも勇気がある人がたたかいを支え盛り上げてきた。古代ギリシャでスピリットとは酒、精気、覇気、勇気があることを言う。勇気ある人が他の人を奮い立たせる。

 この間の運動の貯金が底をついてきた。我々がもう一回気概を示すことが求められる。選挙の後、改憲発議に向かう。戦前権力を握っていた人の末裔が改憲をめざしている。安倍首相の改憲は怨念だ。負けるわけにはいかない。頑張りましょう。