2021年11月24日水曜日

11月23日

東京革新懇結成40周年
記念のつどい シンポジウム 103人参加
写真左から司会杉井静子全国・東京代表世話人(弁護士),パネラー山口二郎市民連合代表(法大教授),乾友行全国革新懇事務室長、雨宮処凛(作家,活動家)
於 エデュカス東京
雨宮処凛さん発言
山口二郎さん発言
維新について。野党共闘について           
選挙制度の問題等について。フロワーからの発言
          
フロワーからの発言。パネラーのまとめの発言
          
          パネラーのまとめの発言
          

 会場に張り出された有原誠治さんの 選挙と、核兵器禁止条約のパネル







2021年11月22日月曜日

11月21日オスプレイはいらない大集会

横田基地にオスプレイはいらない大集会

    11月21日、多摩川中央公園  

  1121日、12時半、福生の多摩川中央公園で、横田基地にオスプレイいらない東京大集会があり、1000人余が参加しました。三多摩革新懇、町田革新懇、小平革新懇、立川革新懇、東村山革新懇、福生革新懇などのノボリが見えました。高校生平和ゼミナールの皆さんが参加し核兵器禁止条約の署名等の取り組み、横田基地見学の感想など話しました。荻原東京地評議長が挨拶。田村智子共産党参議院議員が挨拶。鈴木庸介、山岸一生立憲民主党衆議院議員、山本太郎れいわ衆議院議員、青山秀雄社民党東京代表からメッセージが寄せられました。

11月21日の横田にオスプレイはいらない大集会での

荻原東京地評議長の開会挨拶。田村智子参議院議員の挨拶(動画)



2021年11月1日月曜日

 ジェンダー平等と日本国憲法

日本初のセクシャル・ハラスメント裁判の被害者代理人

医学部入試における女性差別対策弁護団共同代表

元明治大学法科大学院教授

元法務省法制審議会刑事部会委員

安保法制違憲訴訟共同代表          

     弁護士 角田由紀子
7月に行われた「戦争いやだ!足立憲法学習会」の角田由紀子さんの講演の要旨をご紹介します。

1 ジェンダーという言葉への違和感

耳慣れない言葉ですから、ジェンダーて何というところから話を始めます。この言葉が欧米で流通し始めたのが70年代。外来語でもリンゴというとアップルなど物が具体的にあればわかる。ジェンダーは、概念を示す言葉で、分かりにくいし、日本にそもそもジェンダー概念がない。

なんでジェンダーという言葉が使われるようになったか、もともと性別のことでは、英語ではセックスという言葉が使われていた。セックスは生物学的なものであるし、客観的なものであり物事を固定化する話になってくる。例えば、あなたは女、女なのだから勉強する必要ないとか、生物学的なことから出発して勉強する必要がないという社会的・文化的な話にまで引っ張られてくる。しかし、段々性差などについて研究していくうちに今までの認識は違うのではないかということが分かってきて、セックスじゃまずいとなり、ジェンダーという言葉を選んだのです。フランス語やドイツ語には、名詞に女性とか男性とか性があります。その文法的な意味の性をさすのにジェンダーという言葉を使っていたので、それを借りてきて、日常的に使われるようになってきたのです。

まず、人間は男100%、女100%で黒白はっきり分かれるものではないのだとわかってくるわけです。セックスという言葉だけで性差とか性別のことを言うのは実態を表せないということで、ジェンダーという言葉を使おうということになったわけです。

日本では、ジェンダーとか、セクシュアル・ハラスメントを、カタカナで受け入れている。概念の説明なので学者によっても説明の仕方が違う。ですから最大公約数的なところで文化的社会的性差、女らしさだとか男らしさだとか、そういう事だと理解するしかないのです。

ジェンダー平等と言う時、男女平等の事を言っている人が非常に多いですね。しかし、男女平等とはイコールではない。男女平等という言葉には、ネガティブな手垢が付いていて、狭くなっています。男性・女性それぞれ100%ピュアな人がいるみたいに思っちゃう所があります。男女平等だけでやっているとLGBTの問題が落ちてくる。それはジェンダーという言葉と共に獲得されてきた概念ということでもあるからです。例えば私は「刑法をジェンダー視点で検証する」と書いたりします。刑法の抱える問題点、多くは性暴力犯罪に関するものですけども、今まで無視されてきた被害者の視点、女性の視点で、検証をするということです。

 2 「ジェンダー平等とは」を裏から(ジェンダー不平等の実態)から考える

ジェンダー平等、男女平等も実は見たことないのです。しかし、ジェンダー不平等と思う出来事はたくさんあると思います。裏から見ていく方が分かりやすいということで、ジェンダー不平等を考えます。

皆さんも馴染んだジェンダー・ギャップ指数、GGIは世界経済フォーラムによる調査。社会がどれだけ男性優位かを評価して順位をつける。1位はアイスランドで男性優位度が凄く低い。日本の120位は男性優位度がすごく高い。世界経済フォーラムは、基本的に政治や経済のことをやっているがどうしてジェンダー平等を扱うのか。社会のジェンダー・ギャップを放っておくと経済発展しないことがわかっているので、調べている。

GGIの調査項目は、政治、経済、教育、健康。日本は政治で147位、2年連続ワーストテン入り。経済が117位、教育が92位、健康が65位。日本は156ヶ国中120位で、先進国で最低。119位はアンゴラ、121位はシエラレオネ。アフリカの小さな国です。政治は、まず国会議員に占める女性の割合を見ます。下院だけで比較。女性議員比率は9.9%1946年の最初の選挙での女性議員比率は8.4%。ほとんど進んでない。経済も、労働力率の男女比とか同種業務での給与格差、推定勤労所得の男女比、管理的職業従事者の男女比、専門・技術職の男女比、こういう項目で見ていき、117位。教育は、識字率と初等教育の在学率は1位ですが、中等教育在学率の格差129位。高等教育在学率の格差110位。日本の教育は全体としては92位だが、高等教育の男女格差の問題は、その後にある政治や経済に女性がどう関わるかに影響する。女に教育は要らないとか、女性の高学歴は女性らしさを損なう、今でも言うのではないですか。女らしさを損なうっていうのは男女の間に格差があって、男が上、女が下というこの序列を崩すということです。

GGIはすごく大事な役に立つ指数ですが、女性に対する暴力の問題などは入っていない。女性に対する暴力は、他人の支配を可能にする社会的、経済的、文化的、政治的条件、つまりジェンダー不平等が支配・被支配関係が作り出すのです。

まず、刑法の性犯罪です。刑法は1907年、明治40年にできたものです。その後に日本の敗戦、憲法も新しくなった。でも、刑法の解釈は影響を全然受けなかった。刑法の性犯罪規定は被害者の意思には関心がなく、男性加害者の視点からすべてを見て決めてきたという歴史があります。

日本学術会議の刑法性暴力犯罪改正への提言は、同意の有無を刑法性犯罪規定の中核にという提言です。ホームページで読め、非常にいい資料です。日本の状況は国際基準に大きく遅れているというのが、提言の結論です。

日本の刑法は暴行、脅迫だけを問題にしそれ以外のものについては犯罪の成立要件にしていない。法務省での性犯罪に関する刑事法検討会は今年16回開催され、被害者が同意してないことを犯罪の成立要件にすべきだと女性を中心に市民から要求された。しかし、結論には至らず先送り。

625日にILOのセクハラ禁止条約が発効。しかし、日本はこの条約に入れない。条約に入るには、国内法でハラスメントを罰則付きで禁止する法律を作るという条件があるからです。

DV防止法ができて20年になるが問題だらけ。条件によっては家に居る夫に2ヶ月だけ家から出て行けと言えるわけですが2ヶ月過ぎたら戻ってきていい。法律の基本的な考え方が、加害者を罰し被害者を保護するのではなく、被害者に全部捨てて逃げろというところにあることです。

もう一つ大事なことは、リプロダクティブ・ライツ及びヘルスという、女性の身体が男性に法律によって所有されている問題。一つは刑法にある堕胎罪の問題。今はほとんど発動されませんが、自分で中絶しても医者が行っても犯罪。母体保護法で一定の要件があった場合には人工妊娠中絶ができるとなっています。ただ胎児の父の同意が要る。結局中絶が出来るかどうかは相手の男性の意思に100%かかっている。これでは女性の身体が男性に支配され、所有されているのと同じです。

2番目に、日本で認められている中絶法は掻把。こんなことをやっている先進国はない。80年代から外国では内服薬が使われています。費用も日本に比べ安い。日本では保険は効かず高額。女性は肉体的にも精神的にも非常に傷を負う。WHOも経口中絶薬は妥当な方法だと薦めています。安全な中絶へのアクセスは女性の健康の権利の問題です。

女性の身体をどうするかを決めるのに、なぜ男の人が法的な最終発言権を持つのか。制度にも人々の意識の中にも家父長制時代の思想が残っており、ジェンダー平等実現の大きな妨げになっています。

 3 政治分野におけるジェンダー不平等―ジェンダー平等と民主主義

問題はどれも最終的には国会で決着をつける政治問題。多くの女性議員を国会に送る必要がある。「女性のいない民主主義」という岩波新書、前田健太郎という若い東大の政治学者が書いた本。彼は男が政治に関して力を一手に握るのは日本でしか見られない、醜悪な構造と書いています。私たちは醜悪な風景の中でずっと生きているから、「政治っていうのはそういうものなんだね」とやり過ごして来ているのです。

この間の都議選、那覇市議選で女性議員が30%超えた。少数者が1つの集団で影響を与える分岐点は30%。都議会あるいは那覇市議会に影響を及ぼしていく、大きな足掛かりができたという事です。

この歪んだ女性のいない民主主義は、女性が不幸になるだけじゃなく、男性も幸せではない。ジェンダー規範は常に男女対になっている。性別役割分業の社会で、分かりやすいのが男は仕事、女は家庭。別々の役割が与えられているだけではなく、女性を男性の下に位置付ける為に分ける。戦前の中等教育で、別学で、女学校と中学校。女学校の方が中学校よりは圧倒的にレベルが低かった。

今だったら男の仕事は大抵は有償でお金が支払われる。女の人の仕事は無償労働が当たり前みたいになっている。女性に対しては内助の功としてただ働きを称揚する。ケア労働は女が本来タダでやっているから、外でもたくさん払う必要はない。これはまさに男性支配の家父長制の構造。

 4ジェンダー不平等をどう是正するか―憲法こそが導きの星

ジェンダー平等を作る1番の基本は憲法前文と9条だと思っています。ジェンダー平等を言うのであれば、戦争がないということが第一条件。戦争で女、子どもが真っ先に徹底的に犠牲になってきたのは万国共通の歴史的な事実。ジェンダー平等というのは男女だけでなく、個々の人がその人らしく生きていけるための平等の事であり、戦争はそれを真っ向から否定します。

第二十四条

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

最後に憲法24条をどう活かすかという大きな課題です。24条は確かに、法的に家制度を廃止して婚姻のあり方を変えた。しかし、対等な夫婦関係を24条を基準に考えたらDVなんて起こらないはずです。逆に夫婦の間で暴力的な支配関係が成り立っているということは、24条が及んでいないと言うことになる。憲法24条は弁護士だって頻繁に仕事に引っ張り出す条文ではない。だから私も忘れていたんです。どうして24条が私の中で復活したかというと、DV事件をたくさん扱うようになってからです。暴力的な支配関係のない夫婦って何?と思った時に、24条が言ってるのはそのことだったんじゃないかって思ったわけです。公的な暴力の禁止は前文と9条が謳っています。私的な暴力の禁止に24条は大きく関係しているのです。つまり婚姻のジェンダー平等化です。24条が求めている人間こそがジェンダー平等の担い手だろうと考えています。それが平和の担い手になってくる。24条は直接には夫婦の関係を書いていますが、家族構成員が互いに対等であり平等である、こういう関係こそが必要だと24条は言っている。対等・平等ですから、それぞれが独立し、誰かが誰かに服従するのではなく、養ってもらっているからと子どもが親に服従するわけじゃない。そういう人間関係と人間を24条が求めるものですし、24条が求める人間を育てなければ私たちは平和を作れないし、ジェンダー平等も作れないと思います。

24条が求める人間は独立した個人です。自分の頭で考えて、行動する人、そういう人が本当に必要だと思います。自分の考えがあるから付和雷同しない人、上からの命令にもなびかない人が必要です。戦前戦中なぜ日本があんな悲惨な状態になったか。もちろん軍、政府、教育の責任もありますが、戦時中には自発的に突き進んだ人がいっぱいいた。そうしない為にどうするかを24条が私たちに問いかけていると思うんです。そこが出来なければ、平和運動とか、いろんなところもうまくいかないと思います。

24条の本質的平等とは何か」ですが、「個人の尊厳と本質的平等」と言われています。それが日本の国で法律を作る時に、1番基本になるべきだということが2項に書いてある。大前提です。直接的には民法の家族に関する法律についてと書かれていますが、それ以外の法律も個人の尊厳と両性の本質的平等に基づくものをつくっていく、それこそがジェンダー平等の基礎をつくることになっていくと私は思っています。

 

2021年10月8日金曜日

10月6日 革新懇街宣

 全国革新懇・東京革新懇が緊急街頭演説 

                        新宿駅西口 10月6日 

 「いのちと暮らしを守るため、あなたの 一票で政権交代を」

 安倍・菅継承の岸田自公政権を変えよう 

  全国革新懇と東京革新懇 は10月6日、新宿駅西口で 緊急街頭演説・宣伝を行い ました。総選挙日程(10月 31日投票)が確定するなか、 五十嵐仁法政大学名誉教 授(全国革新懇代表世話人) ら各弁士は、安倍・菅政治 の継承でしかない岸田政 権を厳しく批判し、「市民 と野党の共闘」で政権交代 を、とアピール。横断幕や プラスターを掲げてのス タンディング、チラシ配布 など宣伝行動には、賛同団 体、地域・職場革新懇から 約50人が参加。東京からは、 東京民医連、新婦人都本部、西武革新懇、あいおい革新懇、新宿革新懇、文京革新懇、品川革新懇、目黒革新懇、大田 革新懇、中野革新懇、杉並革新懇、板橋革新懇、江戸川革新懇、町田革新懇、小平革新懇、小金井革新懇などのみなさ んが参加しました。

 〇岸田の顔をした安倍政権だ  五十嵐仁さん(法大名誉教授) 

〇野党政権に核兵器禁止を期待 木原秀子さん(東京母親連絡会)

〇野党を強くしたい 池田香代子さん(翻訳家)

〇安倍・菅政治は憲法違反だ 小林節(憲法学者・慶大名誉教授)

〇働く者の暮らし改善こそ 小畑雅子さん(全労連議長)

〇気候危機打開に役割果たす 笠井亮さん(日本共産党衆議院議員)






2021年9月30日木曜日

総選挙

 総選挙かくたたかう

東京21 (立川市・日野市・国立市・稲城市南部・多摩北部他) 

 市民連合連絡会は、918日、街頭宣伝へ踏み出しました。立川駅前、日野・豊田駅前、国立駅前でリレー街宣にとりくみ、野党から、立憲民主党、日本共産党、社民党、生活者ネット、新社会党、緑の党が参加し、市民連合や市民団体とともにスピーチし政権交代を訴えました。

 この日の宣伝のために、21区市民連合アピールチラシを作成し、8千枚を印刷、駅頭でも配布しました。「市民と野党で政権交代を」と打ち出したチラシには、8日の野党政策合意を4野党の党首の写真とともに掲載し、裏面には、828日の21区政策フォーラムに参加した6党の写真とともに、21区市民連合が提案した政策要望案の一部を紹介しています。リレー宣伝では、チラシを受け取った市民が、その場でチラシを開いてみている姿が目立ち、政治の転換を望む市民の思いが共有されました。

 21区市民連合としては、総選挙での政権交代をかちとることを目標に、小選挙区での勝利とともに、比例選挙での立憲野党の前進のために、共同の街頭宣伝などをすすめます。小選挙区21区では、立憲野党からの立候補予定は立憲民主党の大河原まさこ衆議院議員ただ一人で、21区市民連合連絡会は野党4党の6項目政策合意の実現を基本に大河原議員と政策協定を結び、各野党に選挙協力の協議を呼びかけています。

7月の都議会議員選挙では、21区内の立川市、日野市、国立市で市民と野党が応援した立憲、共産、生活者ネットの候補がそろって当選しています。この経験を生かし、広く市民団体とともに市民の選対、大河原市民応援団(仮称)を立ち上げ、市民の声で市民が呼びかける市民選挙を展開する計画です。すでに、しともに生きる社会を目指す市民の会が市民の願いを満載した素敵なチラシを作成中です。

総選挙

 総選挙かくたたかう

東京20(東村山市・東大和市・清瀬市・東久留米市・武蔵村山市)

 東京20区市民連合は、727日、日本共産党の宮本徹衆議院議員と政策協定に調印しました。協定書は、15項目に20区独自の要求を追加したものです。調印後各市の市民連合の運動は加速しています。

東久留米市民連合は高田健さんの講演会を開催。同時に宮本徹氏と独自に政策協定調印。毎週木曜日夕方5時から6時東久留米駅で市民連合と革新懇が定例宣伝を行い、何としても宮本徹さんを押し上げようと奮闘しています。  

東大和市民連合は20区市民連合が103日に計画している「キックオフトーク」に先だって「市民と野党市議による街頭宣伝行動」を行いました。宮本徹さんをはじめ、野党市議・市民が政権交代の必要性を訴えました。

 東村山市民連合は、集会を行いオンライン参加者も含め80名の方が参加。集会最初に「選挙に行こう」の歌と振り付けで盛り上がり、市民が積極的に発言し、政党中心の今までの選挙と違い、まさに市民と立憲野党がしっかりと手を結んだ選挙になっています。

武蔵村山市民連合では、宮本徹さんと市民の要求懇談会を開催。参加者から「野党連合政権の実現のために力を合わせようと」発言があいつぎ、閉会のあいさつで都議選挙では共産党の得票は、42746票、自民党は40766票と宮本さんの勝利の展望があることを訴え、集会の詳細を「むさしむらやま」創刊号に記載しています。

 清瀬市民連合では、46名でキックオフ集会を開催、各分野の市民から自民・公明の政権を変え市民が安心して生活できる政府をつくること、そのため20区小選挙区で宮本徹さんを国政に必ず送り出すことを確認、宮本徹勝利のための行動日程を確認しました。

 20区市民連合は、103日午後から久米川駅周辺で、市民連合と宮本徹さんと「宮本徹とともに政権交代をめざすキックオフ・トーク」を開催し市民に訴えることにしています。

20区市民連合事務局長 

小野塚洋行

総選挙

 総選挙かくたたかう

東京12区(北区・足立区西部・豊島区東部・板橋区一部)

北区における市民と野党の共同は着実に進展しています。市民組織では、その中心を担ってきたのは「みんなで選挙@東京12区」(みなせん12)です。北区革新懇事務局員のうち4人がその主要メンバーです。「みなせん12」は戦争法反対・立憲主義回復を求める世論と運動の中で2017年10月に発足、それ以来、毎月の定例会、毎年の総会を軸に地道に活動を継続しています。

市民と野党の共同をすすめる活動の画期となったのは2019年都議補選です。この補選では立憲民主党公認候補として斎藤りえさんが立候補。共産党・社民党・新社会党などが連帯共同して斎藤候補を支援してたたかう選挙になりました。LINEグループも立ち上げ、連絡と情報交換の場となりました。北区で野党4党が共同してたたかう選挙は北区の政治史上、初めてのことでした。斉藤りえ候補は議席を得ることはできませんでしたが、他の2候補をおさえて次点となりました。

補選後も共同の枠組みは維持され、昨年10月24日、塩村あや(立憲民主党)&池内さおり(日本共産党)の「トークショー」を成功させました。会場には各野党ののぼり旗が立てられ、野党共闘の前進している姿を区民にアピールしました。こうした市民と野党の共同は今年7月の都議選で共産党公認曽根はじめさんを勝利させる力になりました。9月20日、池内さおり&仁藤夢乃トークイベント「いまこそ ジェンダー平等!総選挙でいっしょに実現しよう」集会には予定を上回る120名が参加、「池内さんを今度こそ国会へ」の熱気にあふれました。総選挙目前の今、「みなせん12」・市民連合あだち・ZENKOが市民選対を立ち上げ、事務所も借り60万円目標にカンパも呼びかけています。前回総選挙では見られなかった池内さん勝利めざす新たな共同の広がり・動きが始まっています。

総選挙

総選挙かくたたかう

東京9区 練馬区

ねりま9区みんなで選挙(ねり9)は20195月に立ち上げた、メンバー約110人の地域版市民連合です。今年8月に立憲民主党9区総支部長・山岸一生さんと政策協定を結び、全力で応援しようと、ともにキックオフ集会を開いたり、街頭でのアピールをおこなっています。

9区選出の菅原一秀自民党衆院議員(元経産相)は6月に公選法違反で公民権停止となり、自民党は練馬と縁のない現職議員を落下傘立候補させる予定です。維新候補も盛んに街に出ています。共産党は早くから候補者を出さないと明言、山岸さんが唯一の立憲野党の立候補予定者です。

ねり9では政策協定を第1案からメンバーで丁寧に議論をし、当時は複数いた立候補予定者ともテーマ別に懇談を重ね、足掛け2年、やっとまとまった10案目に調印しました。練馬は歴史的に市民のさまざまな運動が盛んで、区議会野党の会派も多彩です。福島原発事故や安保法制廃止求める運動の中で新たに行動を始めた無党派市民のみなさんも参加しています。9月1日のキックオフ集会でも分野ごとに市民がスピーチし、それに山岸氏が応答するという形式で好評でした。

山岸さんは朝日新聞記者時代に沖縄でいわゆる「翁長番」でした。保守から革新までを包み込むオール沖縄の心が政治の原点です。予定候補として2年、元記者らしく、練馬のすみずみに足を運び、市民の声に耳を傾けてきました。まさに市民と野党の共同の候補者にふさわしい人です。

 最後に、ねり9の自慢話を。5人の共同代表も事務局も、そしてメンバーも、職業、肩書、性別、運動歴(?)などさまざまですが、誰の発言もけなされることなく、とてもフラットな団体です。こうした関係性は、選挙という民主主義の根幹の活動において、必ず力を発揮すると信じています。

ねりま9区みんなで選挙 事務チーム 高阪由紀江

 

2021年9月14日火曜日

9月11日高田健講演

市民連合呼びかけ人・総がかり行動実行委員会共同代表

高田健さんが9月11日に講演

 安倍・菅9年の自公政権に代わる新しい政治の展望

高田講演を三つに分けて動画をアップ。高田講演その1 

          高田講演その2

高田講演その3




2021年8月31日火曜日

 菅政権と日米軍事同盟・改憲の新段階その②

市民の力で改憲に終止符を

九条の会事務局  一橋大学名誉教授  渡辺 治 さん

619日に開催された九条の会東京連絡会の渡辺治さんの講演の前号に続く後半部分をご紹介します。 

3.菅政権における改憲の新段階――2つの改憲 

■菅政権は9条破壊、「解釈改憲」を推し進めている

 日米軍事同盟強化のため、菅政権は2つの改憲を進めています。

第一の改憲は、「解釈改憲」です。菅政権は、市民の抵抗が強く明文改憲を早急にはできそうもない、日米軍事同盟強化の具体化も急がねばならないという事情の下、実質的な9条破壊をさらに推し進めようとしています。

〈安倍の置き土産――「敵基地攻撃力保有」の実行へ〉

一つが、安倍の置き土産の「敵基地攻撃力保有」です。

もともとの議論は、1956年、北朝鮮の誘導弾攻撃に絡んでなされました。攻撃が確実で「他に手段がない」時は敵基地を叩くことが認められるとしたが、それを口実に攻撃的兵器を装備することはできないとされ、「敵基地攻撃力」は事実上持てないとされた。

2000年代に入り、北朝鮮のミサイル実験が繰り返され、敵基地攻撃力保有論が再燃しましたが、この政府解釈は維持されました。

ところが、安倍政権末期に、突然、敵基地攻撃能力保有論が再燃。安倍は、20年6月、イージス・アショアの配備断念を口実に敵基地攻撃力保有の検討を開始すべきと発言。それを受けて自民党内で検討チームが作られ、8月4日、自民党政調会名で「国民を守るための抑止力向上に関する提言」が発表されました。

〈自民党提言に現れた敵基地攻撃力保有の狙い〉

提言には狙いが示されていました。第一に、政府は“敵基地攻撃力保有は北朝鮮のミサイルのため”としていたのですが、提言では、その対象が中国であることが明記されたのです。第二に、日米同盟の中で日本が「より主体的な取り組み」つまり、攻撃的役割を担うため、ということが示唆されたことです。

トランプ政権は、対中軍事対決路線の採用に伴い、中国が未加盟のために大量の中距離弾道ミサイルを第1列島線を射程に入れて配備していることを口実に、19年2月1日、一方的に中距離核戦力全廃条約から離脱、ロシアも条約義務の履行停止に踏み切り条約は失効しました。以後アメリカは中距離ミサイルの製造、配備に乗り出し、日本の米軍基地への配備や自衛隊にも中距離ミサイルの保有するよう圧力をかけてきています。敵基地攻撃力保有論の背景には、アメリカの軍事戦略に呼応して日本にも対中の「矛」の役割を担わせようという要請があるのです。

〈菅政権、「スタンド・オフ」と言い換えて閣議決定〉

この直後、安倍首相はコロナ対策に失敗して退陣を余儀なくされましたが、9月11日、「談話」で次期首相への「遺言」として、敵基地攻撃力保有の検討を申し送ったのです。

それを受け、菅政権は1218日に「スタンド・オフ防衛能力の強化について」を閣議決定、21年度予算案にも盛り込んで、敵基地攻撃力保有に踏み出したのです。「スタンド・オフ」能力とは、敵の攻撃範囲の外から相手の基地を攻撃する、敵基地攻撃力に他ならないのです。

〈南西諸島への自衛隊ミサイル部隊の配備〉

解釈改憲の第二は、対中軍事包囲網、日米共同作戦体制強化です。安保法制以降、安倍政権は、16年与那国島、19年奄美、宮古島に自衛隊ミサイル部隊を配備、石垣島にも自衛隊駐屯地の建設に着手。菅政権のもとでも加速。日米共同声明で約束された辺野古基地建設、馬毛島基地建設を推進、南西諸島での日米共同訓練も計画されています。

〈「武器等防護」の日常化――日米共同作戦体制の緊密化〉

安保法制で新設された米艦、航空機に対する自衛隊の警護、防護活動は、17年2件が、20年には25件と飛躍的に増加。多くは日米共同訓練での米軍防護です。

菅政権は、総選挙を乗り切った場合には、日米ガイドラインを改定し、台湾有事の際の「共同作戦計画」を狙っていると報道され、日米共同作戦が一層緊密化します。

〈対中軍事同盟網の拡大〉

さらに、日米だけでなく日英、日印、日独、日豪などの2+2が相次いで開かれ、アメリカを盟主としながら対中の多角的軍事同盟網がつくられようとしています。

〈重要土地調査規制法〉

菅政権による重要土地調査規制法の強行は憲法破壊の一環です。法律は、米軍、自衛隊基地や原発などの「重要施設」周辺の土地利用者の情報を自治体、利用者から取得と定め、近隣住民が重要施設の「機能を阻害する行為の用に供しよう」とする場合に、その活動を制限できるとしています。基地反対運動、反原発の住民運動などの規制をもくろむものです。対中軍事同盟強化に伴い増加する基地建設や演習などへの沖縄を先頭とする反対運動への対処が必要になったからに他なりません。

 

■菅政権における明文改憲の新段階――菅政権の新方式

菅改憲のもう一つの柱が明文改憲です。

〈菅、5・3改憲メッセージ〉

菅は、改憲派集会にビデオメッセージを寄せ、改憲4項目、特に、緊急事態条項と自衛隊明記をあげて改憲論議を促し、手始めとして、改憲手続法改正を掲げました。安倍に比べ改憲には消極的と右派から「心配」されていた菅がメッセージを出した背景には、日米共同声明の実行と憲法9条の矛盾が抜き差しならないものになったからです。

 主催者の櫻井よしこ氏の講演でも露骨に言われています。日米共同声明を高く評価した上で、「もし首相の言葉が、言葉だけに終わったら、……日米同盟の破綻につながる」「今の国際情勢を見ると」改憲に「ぐずぐずしている暇は一瞬たりともない」と明文改憲を急ぐよう圧力をかけています。

〈緊急事態規定改憲の2つの狙い〉

では菅は、なぜ緊急事態改憲論を強調したのでしょうか。二つの狙いがあります。国民の支持が強い9条から始めるのは難しい。国民が共感できそうなのが緊急事態改憲と見込んだのです。コロナ失政を逆手にとり、〝緊急事態規定がないとコロナ対策の万全はつくせない〟との口実で改憲論議に入ろうという狙いです。

もう一つの狙いがあります。自民党改憲案では、政府が「緊急事態」と判断したら、国会を通さずに、政府の命令で市民の自由を奪ったり制限ができると規定しています。

 明治憲法は、緊急事態規定の宝庫のような憲法で、緊急勅令、戒厳令などを濫発し国民を戦争に動員。その苦い経験から、世界でも珍しく、日本国憲法には緊急事態規定がありません。その復活は、9条改憲とセットで「戦争する国」づくりに他なりません。

〈改憲手続法改正強行の狙い〉

菅メッセージが強調したもう一つが、改憲手続法改正案。改正案は憲法審査会で改憲論議の停滞打破の突破口をねらって2018年6月に提出。運動の高揚と野党の頑張りで裏目に出て、8国会にわたり継続審議、改憲論議の足枷になっていました。メッセージを受け、自民党は立憲民主党修正案を丸のみし、改正を強行。総選挙で改憲派に万一3分の2を許すことがあれば、菅自民党は憲法審査会で改憲4項目の審議を狙ってきます。

自民党は改憲4項目案をあえて「たたき台」とし、公明党、維新の会、国民民主党の意見を「取り入れ」て改憲原案を作り、憲法審査会で立憲民主党と共産党、社民党を孤立させ発議に持ち込むという戦略です。

 

4.日米軍事同盟と改憲で日本とアジアの平和は実現できるのか?

 

では、菅政権が推進する日米軍事同盟強化、日米共同作戦体制、改憲と「戦争する国」づくりによって、日本と東北アジアの平和を実現できるのでしょうか。

 

■日米軍事同盟強化、改憲では東北アジアと日本の平和は実現できない

〈揺れる国民意識〉

 中国の覇権主義的行動の激化を機に、世論調査では日米共同声明や日米同盟に対する支持が増えています。しかしそれは国民が武力による解決を望んでいるからではありません。最近の朝日の世論調査で、憲法9条を変える方が良いは30%、変えない方が良いが61%であることもその証拠です。ただ、〝中国はやっぱり怖い。アメリカに守ってもらうためには、自衛隊がそれなりに協力しないと駄目なんじゃないか〟という意識が強まっている。しかし軍事同盟強化では、東アジアの平和は実現できません。

〈軍事同盟強化は戦争の危険を増大させるだけ〉

 日本が、対中軍事同盟強化に邁進することは、中国の対抗措置をうみ、米中の軍事対決の亢進と戦争の危険を増大させるだけです。

軍事対決が亢進し、万一、台湾を巡り武力紛争に発展したら、アメリカは介入し、沖縄をはじめとする米軍基地が米軍の出撃拠点となるばかりでなく、安保法制によりアメリカの戦争に自衛隊も加担することになります。台湾海峡での軍事紛争は、安保法制の「重要影響事態」との判断で米軍の攻撃への加担を強いられ、軍事衝突が拡大すれば「存立危機事態」として自衛隊が戦争に武力で参加する危険も生まれます。

〈戦争の危機を防ぐもの〉

米中の覇権主義対決、軍事対決が戦争に直結するわけではありません。あの冷戦時代にあっても、米ソの直接対決・戦争は周到に回避された。

その上、米中の経済関係は、「自由な」市場を共通の前提に、投資でも貿易面でも冷戦時代の米ソと比較にならない密接な連携と相互依存状態。戦争や長期の軍事衝突は、双方の企業に致命的な打撃を与えます。また、米中、日中の市民の交流や共同した運動は、冷戦期と比べものにならないくらい深まっています。

問題は、米中の経済的利害の共通性や市民間の交流は、自動的に戦争を回避し東北アジアの平和を保障するものではないことです。紛争を武力によらないで解決する枠組を作ろうという当事国・地域の市民と政府による自覚的な行動と取り組みが不可欠です。

 

■アジアにおける紛争の平和的解決の枠組みづくりを 

日本がやるべきことは、紛争を平和的に解決する枠組み作りのイニシアティブをとることです。日本は、東北アジアの一国であるばかりか、悲惨な戦争を踏まえて、戦争放棄と武力不保持の憲法を持っています。日米軍事同盟の片棒を担いでいますが、紛争の非軍事的解決のルールづくりに動く資格と責任を有した国です。もちろん日本一国では不十分、韓国と手を組み、A S E A N諸国と連携し、E Uとの連携の模索も重要です。

そのためにも、安保法制を廃止し、核兵器禁止条約を批准し、過去の侵略戦争と植民地支配に対する反省と謝罪が不可欠の前提です。ところが、自公政権は、それと全く逆の道を行こうとしています。 

5.どうすれば、菅改憲を止められる?

 ――市民の力で改憲に終止符を

 菅改憲を止めるためには、市民には2つの課題があると思います。

■コロナに注意しながら、改めて市民の声を

 一つは、コロナに注意をしながら、あらためて市民の声と行動を起こしていくことです。この間、市民はいろいろな工夫をしながら活動していますが、大規模な集会など私たち市民の声が少し減った。これが先に見たような世論調査の結果を生んだ一つの要因ではないでしょうか。工夫をして、市民がもう一回声を上げる、これが第一の課題です。

■都議選、総選挙で改憲勢力を後退させる

 もう一つは、来るべき総選挙で、改憲勢力を追い落とすために市民が頑張ることです。

市民と野党の力で、都議選で何としても自公勢力、改憲勢力を大幅後退させる。

そして総選挙。自公政権を倒すことができれば、改憲の息の根は止められます。最低でも改憲勢力3分の2を大きく割り込ませる。改憲策動は見直しを余儀なくされます。 

■改憲・戦争加担か、改憲阻止・平和への転換か、選択の時

 九条の会17年の歴史の中で、かつてない事態が訪れています。安倍・菅政権の対中軍事同盟強化・戦争加担の体制づくりが続けば、日本が戦争に加担するだけでなく、戦場になる危険が生まれます。

同時に、安保法制と改憲に反対する運動の中で、市民と野党の共闘が前進し、自公政権を倒し改憲に終止符を打つ展望をつくり出しています。

私たちが今そういう時代にいることを自覚して、改憲に終止符を打つために頑張りましょう。そのことを強調して、私の講演を終わりたいと思います。

2021年7月27日火曜日

 菅政権と日米軍事同盟・改憲の新段階

  ――市民の力で改憲に終止符を――

九条の会事務局  一橋大学名誉教授 

                       渡辺 治 

 619日に、九条の会東京連絡会主催の渡辺治さんの講演会が行われました。東京連絡会と渡辺さんのご了解を得て、講演の要旨を2号にわたりご紹介します。

はじめに――安倍改憲から菅改憲へ、新段階に入った改憲 

安倍政権が退陣して菅政権に代わり、アメリカでもトランプ政権がバイデン政権に代わって、改憲が新たな段階に入りました。

菅政権は安倍政権の「3つの悪政」を継承、さらにそれを強め、国民に大きな被害を与えています。

1番目は新自由主義政治によるコロナ対策の破綻、貧困・格差の増大。2番目は軍事大国化と改憲で、本日の講演の本題です。3番目は強権政治と民主主義破壊です。

 本日は、事態の重大性の割に、まだまだ国民にその危険性が知られていない、菅政権の下で新段階に入った日米軍事同盟と改憲問題に焦点を当てて、お話をします。 

1.安倍改憲は何を狙い、どこまで憲法を壊したか? なぜ挫折したか? 

安倍政権時代を振り返ると、2つの特徴があります。

■未曾有の憲法破壊と改憲策動の時代

第一の特徴は、歴代政権ができなかった規模の軍事大国化、憲法破壊と改憲を強引に押し進めた時代だったことです。憲法破壊の中心は、集団的自衛権行使を容認し、安保法制の強行したことです。

〈憲法9条の大きな破壊-安保法制3つの注目点〉

安保法制で、特に注目したい点を3つ指摘しておきます。

1は、アメリカの戦争に武力行使で加担する「集団的自衛権」を認めたことです。

第2は、自衛隊が世界のどこでも米軍に対する後方支援が可能となったことです。

3は、米艦船等を自衛隊が護衛し、かけられた攻撃に応戦できるとしたことです。

〈9条の壁を越えられず、解釈改憲から明文改憲へ〉

 安保法制には市民と野党の共闘による強い反対運動が起こりました。安保法制違憲の声が盛り上がり、安倍政権は、安保法制は強行したものの、9条をそのままにしては、めざす軍事大国化の完成は無理だと思い知らされ、9条明文改憲に乗り出します。17年5月3日、安倍首相は、改憲提言を行い、自民党は、18年3月に「改憲4項目」を党大会で決定しました。 

■市民と野党の共闘が安倍の明文改憲を阻んだ時代

 しかし、安倍政権78ヶ月を、未曾有の改憲策動の時代とだけ見るのは正確ではありません。この時代は、それを阻む共闘の力―市民と野党の共闘が初めて誕生した時代でもあったのです。

14年、「総がかり行動実行委員会」がつくられ、その呼びかけで、55年ぶりに野党の共闘が実現、安保法制に反対する運動が高揚。共闘は、安保法制廃止を掲げて継続し、「市民連合」がつくられ、その呼びかけで、戦後初めて野党が選挙で共闘、16年の参院選で野党統一候補が11の1人区で勝利。このとき参議院で3分の2の多数を改憲派が占めましたが、19年の参議院選挙で、改憲勢力を3分の2以下に追い込んでいます。

 安倍首相は17年に改憲提言を出し改憲に乗り出したのですが、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が発足、3000万人署名を提起し、この圧力で、野党は憲法審査会で改憲を阻むために一致して頑張りました。改憲勢力は衆参両院で3分の2の多数を取りながら改憲を推し進めることができなかったのです。

 確かに、安倍政権下で実質的憲法破壊は大きく進行しましたが、市民と野党の共闘は、安倍明文改憲を阻止し続けた。それだけでなく、この共闘を強化すれば、自公政権を倒して改憲に終止符を打つ政権をつくる展望をも明らかにしたのです。

 2.アメリカの世界戦略の転換と日米軍事同盟の新段階 

 安倍政権時代の、改憲と9条破壊をめぐる攻防のさなかに、日米軍事同盟と改憲をめぐる状況に大きな変化が訪れ、改憲問題を新たな段階に引き上げました。アメリカの世界戦略の転換です。

■アメリカの世界戦略の転換と対中軍事対決へ

1990年、冷戦が終焉し、ソ連・東欧が崩壊、13億人もの人口をもつ中国が市場経済に参入します。アメリカが冷戦の間、追求してきた「自由な」市場拡大の夢が、冷戦の終焉で実現。中国が市場経済になって、アメリカや日本、ヨーロッパの企業が怒濤のように中国に進出。それまで10億人規模だった自由市場世界が40億、50億の世界となり、アメリカや日本の巨大企業が大儲けをする世界がつくられたわけです。

冷戦後のアメリカの世界戦略は、多国籍企業の「自由な」経済活動を阻害するイラクなどの「ならず者国家」や、巨大企業の進出により地域の経済文化を壊されたことに反発する「イスラム原理主義」などの「テロ」との戦争という戦略です。

〈大国中国の台頭と覇権主義〉

 アメリカが侵略戦争に明け暮れる間に、中国が市場経済の中で経済発展を遂げ軍事力を拡大し、大国として登場、とりわけ2012年習近平政権以後、覇権主義的行動を強めるようになりました。

アメリカの覇権主義の目標は、アメリカの巨大企業がどこでも「自由に」活動し大儲けのできる世界を作ることです。進出先の国が独裁政権であろうと「自由な」企業活動が保証されれば支援しますが、その政権がアメリカなどの巨大企業の自由な活動を妨害する場合には容赦なく攻撃し、言うことを聞く傀儡政権に変えてきたのです。

それに対し、中国の覇権主義は、国家目的に沿って、中国の政治的影響力の及ぶ国を増やし勢力圏を目指すという政治的性格の強いものです。中国は途上国などに、大規模なインフラ投資や融資を行い、その条件に中国の政治的立場への支持や特権の容認を求めます。

〈対中国覇権維持・軍事対決戦略への転換〉

現代の米中は、冷戦時の米ソに比べて経済的連携が全く違います。中国も、アメリカ主導の「自由な」市場秩序を前提に参入して経済発展をしてきましたし、米中、日中は、貿易においても投資においても切っても切れない関係にあります。ですから、20世紀前半の列強帝国主義の時代のように、覇権争いが直ちに戦争をもたらすものではありません。

しかし、アメリカにとって、中国の行動は、その軍事力拡大の動きと相まって、アメリカに敵対する排他的勢力圏をつくる動きでありアメリカの覇権を脅かす重大な脅威と映りました。こうして、アメリカは、中国の覇権主義に対抗してアメリカの覇権を維持する戦略に転換したのです。

オバマ政権を過渡期にして、路線転換を明確にしたのがトランプ政権です。トランプ政権は17年早々に新しい「国家安全保障戦略」、18年1月「国防戦略」、18年2月「インド太平洋に関する戦略的覚書」をあいつで打ち出し新たな戦略を明確にしました。

特徴の一つは、アメリカの敵を、「ならず者国家」から中国に変えたことです。第2に、米国がこれまで採って来た、中国の成長を助け国際社会に引き入れるという政策は誤りだったと明言したことです。第3は、対中国軍事的優位を維持するという目標を掲げたことです。

しかし、トランプ政権のときは、トランプ一流の同盟国不信、アメリカ第一主義がありました。

バイデン政権は、対中軍事対決路線をより鮮明に打ち出し、しかも、日米同盟、NATO、オーストラリア、インドとの同盟によって中国を包囲する軍事同盟網の再建、強化路線を採用したのです。 

■日米軍事同盟の強化、新段階へ

 アメリカの世界戦略の転換によって日米軍事同盟は大きく変化した。アメリカの戦略転換に伴い日本に対する要求が、「ならず者国家」と戦うためにイラクやアフガニスタンに派兵して後方支援をしろという話から、対中国の軍事的な包囲網づくりに変わったのです。

〈バイデン・菅政権下で日米軍事同盟の新段階へ〉

バイデン政権が発足し、会談相手として最初に呼ばれたのが菅首相でした。対中軍事対決の最前線を担う〝カナメ〟になるのは日本。バイデンは対中軍事同盟を強化するために、まず日本に「うん」と言わせることが大事だったわけです。

 4月16日、日米首脳会談の日米共同声明は、日米軍事同盟の新段階をはっきりと表明しました。この声明には、5つの特徴があります。

1は、日米同盟の対象を、インド太平洋地域に拡大したことです。「インド太平洋地域」は、日米だけでなく、日英、日印、日独、日豪などの2+2でも共通の対象地域として設定され、米国を要とする多国間の軍事的連携の対象領域となっていることです。

 第2に、中国の脅威をこれでもかという形で明記していることです。特定国を名指しでこれだけ「脅威」と表明したのは、冷戦期でもなかったことです。

 第3に、「日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」、いわゆる台湾条項が明記されたことです。

 第4に、中国の「脅威」に対して日本が、軍事力の増強と日米同盟の役割、任務、能力の分担の見直しを約束したことです。これは非常に重要です。これまで長らく、日米の分担は盾と矛だという合意がありました。すなわち、日本は専守防衛で「盾」の役割を果たし、敵国を攻撃する「矛」の役割は米軍が分担するという合意です。これを変えて、日本も矛の能力も持つという役割分担に改めるということです。

 第5に、日米軍事同盟強化を具体化するために、辺野古の基地を早期に建設し、馬毛島の訓練基地も急ぐということもうたいました。

菅政権は憲法破壊と改憲を新たな段階に引き上げることを約束させられたのです。

〈「台湾海峡の平和と安全」の意味の劇的な変化〉

ではこの共同声明で日米軍事同盟はどのように強化されたのでしょうか。台湾条項を素材に検討しましょう。実はこの台湾条項は、今から52年前、69年日米共同声明以来です。マスコミは、それを強調しました。しかし69年声明と今度の声明には決定的な違いがあります。

1969年の日米共同声明は、沖縄返還を合意した際の声明でした。米軍部は、好き放題で出撃基地としていた沖縄の機能が返還により、阻害されてはならないと主張。沖縄はベトナム侵略のみならず、朝鮮半島有事でも台湾有事でも出撃基地として予定されていたからです。米軍部の懸念に応えて、「ご心配なく」と保証するために入れられたのが、「朝鮮条項」「台湾条項」だったのです。

52年後の声明での台湾条項は、日本が米軍出撃にN Oと言わない約束のみならず、台湾に対する米軍の作戦行動に対しては自衛隊が支援するとの約束をも意味するものとなったのです。9条破壊の新しい段階に入ったということになります。

【以下の続きは東京革新懇ニュース9月号で掲載します】

 

 理念語れぬ五輪は中止、コロナ対策に集中を2020オリンピック・パラリンピックを考える都民の会共同代表

(前新日本スポーツ連盟会長)  和食昭夫


開催の理念が見えない開会式

 723日国立競技場で、東京五輪の開会式が無観客で行われた。さすがに「お祭り騒ぎ」を押さえた「異例の地味な式典」となった。それでも、午後8時から深夜0時近くまで行われ、参加者は、選手6000人、五輪関係者等900人、メディア関係者3500人とされ、これだけで1万人を超え、これに運営スタッフが加わる。緊急事態宣言下のイベント上限は5000人と決めているのに、ここでも五輪特例の「ルール破り」が無神経に行われている。

4回目となる緊急事態宣言が発出され、前日22日には東京のコロナ新規感染者は1979人、首都圏では3000人を超えたなかでの暴挙である。さらに開会式の内容は、国民の命と健康が脅かされている中にあって、何のために、だれのために開催するのか、東京五輪の開催の意義は何かが、私には全く伝わってこなかった。

本来開会式は、それぞれのオリンピック大会の開催の意義と目的を、開催都市とその国の文化と歴史の中に位置づけ世界にアピールする重要な機会である。聖火の最終点火者をプロテニス選手の大坂なおみさんにしたことや選手団の旗手を男女2人で行うなど差別問題やジェンダー平等への一定の配慮はあった。しかし、開会式典からはこれまでの五輪の祝祭感や高揚感はなく心が動かされるメッセージを受け取ることはできなかった。その大きな要因は、大会組織委員会の橋本会長とIOCのバッハ会長の挨拶の内容に象徴されているように思う。 

組織委員会橋本会長

橋本会長は、この間「開催の是非」を問われると「安全安心な大会」ばかりを繰り返していたが、挨拶では一言も触れなかった。他方、国民の過半数以上が開催中止の意思を示していることを無視し「この大会の開催を受け入れていただいた日本の皆様」に感謝の意を述べていた。加えて参加したアスリートに向かって、「お互いを認め、尊重し合い、一つになったこの景色は、多様性と調和が実現した未来の姿そのもの」と語った。しかし、人気タレントの容姿を侮辱した開閉開式演出総括者、障害児の同級生への虐待を自慢するミュージシャン、ホロコーストをコントの題材にした演出調整者など、開閉開式の重責をになっていた人たちが人権感覚の欠如を理由に、相次いで辞任あるいは解任される異常な不祥事について、お詫びも反省の弁もなくスルーした。最後に、組織委員会は、「東京大会を後世に誇れる大会とするようささえる」と締めくくったが、何か「誇れるもの」があるのかを聞きたいものである

IOCバッハ会長

IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は、「東京五輪が開催できるのは、日本の皆様のおかげです」と慇懃に日本国民を持ち上げた。しかし肝心な、いまなぜなぜ、このコロナ禍で東京五輪を開催する必要があるのかについては何も語らず、選手や五輪スタッフのなかですでに100人を超える感染の陽性者が出ていることへの対策や責任についても触れなかった。そして、205国と地域からオリンピック委員会(NOC)の選手団が「選手村の一つの屋根の下で生活すること」がスポーツの力であり、連帯と平和のメッセージ」だと述べている。しかし、コロナ以前から選手村に入らない選手団もあり、今回はコロナ対策で一切の交流が不可能な中で、どうして「スポーツの力」が育まれるというのだろうか。抽象的な連帯や平和という言葉は語られたが、あまりにも理想と現実の乖離の大きさと傲慢な態度はIOCの会長の資格に欠けていると強く感じた。蛇足ながら、バッハ会長の挨拶は予定時間の倍の13分と長くなったことと併せてすこぶる評判が悪い。

コロナから人々の命と健康を守ることを最優先し、いまからでも東京大会は中止すべき

開会式を目前にしておこなわれた各種の世論調査では、「安全、安心な大会ができると思わない」との回答が60%から70%に上り、朝日新聞調査では「開催に反対」がいまだに55%となっている。専門家からは、感染力の強いデルタ株などのまん延によって、「これまででも最大の山場になる」という危機感が強く指摘されている。にもかかわらず、政府の対応は、ワクチンの接種を巡る迷走の一方、PCR検査の拡大、自粛要請に対する十分な補償、医療機関や関係者への援助など戦略的な対策が行われないことから、国民の怒りの声が広がっている。

こうした中で、東京大会にはたとえ無観客だとしても世界から15千人の選手・コーチはじめ、IOCと世界のオリンピック関係者、メディア、参加国の政府要人、スポンサー関係者など9万人を越える人々が参加する。無観客で選手やスタッフと外部の人との接触を断って生活する「バブル方式」にも無数の穴がありその実効性に欠陥があることが日々明らかになり、完全に接触と感染を防ぐことは不可能であると専門家の方々も断言している。

人と人との交流を断ち切ることが最も有効な感染症対策であり、人々の交流と連帯を目的とするオリンピック運動を同時に進めることはもともと相容れず、東京五輪の中止こそ、最大のコロナ感染種対策である。コロナの収束に知恵と力を尽くすことこそヒューマニズムと平和を希求するオリンピック運動の精神にかなった対応である。

オリンピック憲章は、「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展に役立てることである」と述べるとともに、「スポーツをすることは人権の一つである」と明記している。人権と人の尊厳は、人の命と健康に支えられ実現し発展するものではないだろうか。だからこそ、世界人権宣言は、「すべての人は、生命、自由、及び身体の安全に対する権利を有する」と謳っているのだと思う。オリンピック運動の存在意義を再確認し擁護する立場からも、今夏の東京五輪は、一日でも早く中止することが正しい選択だと考える。

 選手たちの真剣なプレイを楽しみ激励することと、今日の事態を招いた関係組織への批判を区別して対応を

 「始まった以上は選手たちの健闘を期待し応援する」という感情は当然のことだと思う。しかしこのことと、専門家や国民の声を無視して、何が何でも開催を強行しているIOC、政府、組織委員会、東京都に対しては、選手への思いとは別の次元の問題として対処していく必要がある。開催の是非と運営に責任を持つこれらの団体や機関が、「4年に一度、」「生涯で一度」の目標の場という選手の思いを隠れみのにして悪用し、自らの責任をすり替える態度を許してはいけない。さらに、マスコミの報道もメダルの獲得とその成功物語に偏ったこれまでの五輪報道を大きく改めることが求められている。五輪とは何か、スポーツとは何かを国民みんなが考える機会とすることに寄与する報道を心から期待したい。選手たちも「祝福されない五輪」への出場を余儀なくされた原因が何であったか、社会や人の命と五輪をどのように考えるか、などアスリートならではの視点で自由に大いに発信して欲しい。 

コロナ禍で可視化された五輪運動改革の課題を考える

オリンピック運動は、単なるスポーツの祭典、競技大会にとどまものではない。これまでも様々な間違いや弱点を抱えながらも、世界の人々の平和、人権、民主主義そして人類の進歩の努力と結びつき、相互に影響し合って、より良い平和な世界の実現に貢献する世界最大の教育的・文化的な運動であり制度として受け継がれてきた。

この歴史的遺産を継承し、コロナ禍の新たな状況対応し、これまで見過ごされてきたオリンピックの課題(別表)にメスを入れ、新たな五輪運動の課題と方針について、抜本的な検討が必要になっている。その課題を列挙すると以下の通りである。

①オリンピック憲章の目的と使命に立ち返った開かれた討論。

②アスリート・ファーストと市民スポーツの共同と連携。選手の人権を保障し、限界を超えた商業主義への民主的規制をすすめる。4年に1回のオリンピック競技大会でのメダル争いだけでなく、ユース五輪などをはじめ、世界の多様な市民スポーツ・草の根のスポーツ運動との共同と連携を強化する。

③開催都市の負担を軽減する開催方式の抜本的な検討。規模の縮小、複数国開催、ブロック規模の共同開催、夏冬の開催地の恒久化と国際的な管理、男女混合種目・チーム、国際合同チームによる競技方式、夏季・冬季の開催種目の弾力的な調整。ジェンダー平等の推進。

④放映権料への過度な依存からの脱却。開催都市誘致コンサルタントの介入を排除し、利権・腐敗の一掃をはかる。

⑤IOC機構の改革、IOC委員の選出基盤の民主化。IOC関係役員の接遇の廃止。

⑥IOC、NOC(JOC)関係者とスポーツの市民運動の討論の場の創設。

⑦「持続可能なオリンピック運動の改革構想」を検討し、提唱する。

⑧スポーツの市民運動の強化と国際的な連帯の発展をはかる。 

オリンピック運動の再生の出発点に

2020オリンピック・パラリンピックを考える都民の会(オリパラ都民の会)は、20142月の発足以来、東京五輪が「真にオリンピック憲章に則った競技大会となることを願い、だれからも支持されるものとなるよう提言(会の目的)」し活動してきた。そして、IOCや組織委員会などに、既存の競技施設の利用、経費の節減、酷暑を避ける開催時期の変更、情報公開の徹底など具体的な提案と要請を行ってきました。こうした経験を生かし、すべての都民、労働組合、市民団体、広範なスポーツ関係者の皆さんとともに、東京五輪の今夏の開催の中止をあくまでも主張し続け、コロナ感染症対策に全力を集中し、都民の命と健康守る取り組みを共に進めていきたい。

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