2021年7月27日火曜日

 菅政権と日米軍事同盟・改憲の新段階

  ――市民の力で改憲に終止符を――

九条の会事務局  一橋大学名誉教授 

                       渡辺 治 

 619日に、九条の会東京連絡会主催の渡辺治さんの講演会が行われました。東京連絡会と渡辺さんのご了解を得て、講演の要旨を2号にわたりご紹介します。

はじめに――安倍改憲から菅改憲へ、新段階に入った改憲 

安倍政権が退陣して菅政権に代わり、アメリカでもトランプ政権がバイデン政権に代わって、改憲が新たな段階に入りました。

菅政権は安倍政権の「3つの悪政」を継承、さらにそれを強め、国民に大きな被害を与えています。

1番目は新自由主義政治によるコロナ対策の破綻、貧困・格差の増大。2番目は軍事大国化と改憲で、本日の講演の本題です。3番目は強権政治と民主主義破壊です。

 本日は、事態の重大性の割に、まだまだ国民にその危険性が知られていない、菅政権の下で新段階に入った日米軍事同盟と改憲問題に焦点を当てて、お話をします。 

1.安倍改憲は何を狙い、どこまで憲法を壊したか? なぜ挫折したか? 

安倍政権時代を振り返ると、2つの特徴があります。

■未曾有の憲法破壊と改憲策動の時代

第一の特徴は、歴代政権ができなかった規模の軍事大国化、憲法破壊と改憲を強引に押し進めた時代だったことです。憲法破壊の中心は、集団的自衛権行使を容認し、安保法制の強行したことです。

〈憲法9条の大きな破壊-安保法制3つの注目点〉

安保法制で、特に注目したい点を3つ指摘しておきます。

1は、アメリカの戦争に武力行使で加担する「集団的自衛権」を認めたことです。

第2は、自衛隊が世界のどこでも米軍に対する後方支援が可能となったことです。

3は、米艦船等を自衛隊が護衛し、かけられた攻撃に応戦できるとしたことです。

〈9条の壁を越えられず、解釈改憲から明文改憲へ〉

 安保法制には市民と野党の共闘による強い反対運動が起こりました。安保法制違憲の声が盛り上がり、安倍政権は、安保法制は強行したものの、9条をそのままにしては、めざす軍事大国化の完成は無理だと思い知らされ、9条明文改憲に乗り出します。17年5月3日、安倍首相は、改憲提言を行い、自民党は、18年3月に「改憲4項目」を党大会で決定しました。 

■市民と野党の共闘が安倍の明文改憲を阻んだ時代

 しかし、安倍政権78ヶ月を、未曾有の改憲策動の時代とだけ見るのは正確ではありません。この時代は、それを阻む共闘の力―市民と野党の共闘が初めて誕生した時代でもあったのです。

14年、「総がかり行動実行委員会」がつくられ、その呼びかけで、55年ぶりに野党の共闘が実現、安保法制に反対する運動が高揚。共闘は、安保法制廃止を掲げて継続し、「市民連合」がつくられ、その呼びかけで、戦後初めて野党が選挙で共闘、16年の参院選で野党統一候補が11の1人区で勝利。このとき参議院で3分の2の多数を改憲派が占めましたが、19年の参議院選挙で、改憲勢力を3分の2以下に追い込んでいます。

 安倍首相は17年に改憲提言を出し改憲に乗り出したのですが、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が発足、3000万人署名を提起し、この圧力で、野党は憲法審査会で改憲を阻むために一致して頑張りました。改憲勢力は衆参両院で3分の2の多数を取りながら改憲を推し進めることができなかったのです。

 確かに、安倍政権下で実質的憲法破壊は大きく進行しましたが、市民と野党の共闘は、安倍明文改憲を阻止し続けた。それだけでなく、この共闘を強化すれば、自公政権を倒して改憲に終止符を打つ政権をつくる展望をも明らかにしたのです。

 2.アメリカの世界戦略の転換と日米軍事同盟の新段階 

 安倍政権時代の、改憲と9条破壊をめぐる攻防のさなかに、日米軍事同盟と改憲をめぐる状況に大きな変化が訪れ、改憲問題を新たな段階に引き上げました。アメリカの世界戦略の転換です。

■アメリカの世界戦略の転換と対中軍事対決へ

1990年、冷戦が終焉し、ソ連・東欧が崩壊、13億人もの人口をもつ中国が市場経済に参入します。アメリカが冷戦の間、追求してきた「自由な」市場拡大の夢が、冷戦の終焉で実現。中国が市場経済になって、アメリカや日本、ヨーロッパの企業が怒濤のように中国に進出。それまで10億人規模だった自由市場世界が40億、50億の世界となり、アメリカや日本の巨大企業が大儲けをする世界がつくられたわけです。

冷戦後のアメリカの世界戦略は、多国籍企業の「自由な」経済活動を阻害するイラクなどの「ならず者国家」や、巨大企業の進出により地域の経済文化を壊されたことに反発する「イスラム原理主義」などの「テロ」との戦争という戦略です。

〈大国中国の台頭と覇権主義〉

 アメリカが侵略戦争に明け暮れる間に、中国が市場経済の中で経済発展を遂げ軍事力を拡大し、大国として登場、とりわけ2012年習近平政権以後、覇権主義的行動を強めるようになりました。

アメリカの覇権主義の目標は、アメリカの巨大企業がどこでも「自由に」活動し大儲けのできる世界を作ることです。進出先の国が独裁政権であろうと「自由な」企業活動が保証されれば支援しますが、その政権がアメリカなどの巨大企業の自由な活動を妨害する場合には容赦なく攻撃し、言うことを聞く傀儡政権に変えてきたのです。

それに対し、中国の覇権主義は、国家目的に沿って、中国の政治的影響力の及ぶ国を増やし勢力圏を目指すという政治的性格の強いものです。中国は途上国などに、大規模なインフラ投資や融資を行い、その条件に中国の政治的立場への支持や特権の容認を求めます。

〈対中国覇権維持・軍事対決戦略への転換〉

現代の米中は、冷戦時の米ソに比べて経済的連携が全く違います。中国も、アメリカ主導の「自由な」市場秩序を前提に参入して経済発展をしてきましたし、米中、日中は、貿易においても投資においても切っても切れない関係にあります。ですから、20世紀前半の列強帝国主義の時代のように、覇権争いが直ちに戦争をもたらすものではありません。

しかし、アメリカにとって、中国の行動は、その軍事力拡大の動きと相まって、アメリカに敵対する排他的勢力圏をつくる動きでありアメリカの覇権を脅かす重大な脅威と映りました。こうして、アメリカは、中国の覇権主義に対抗してアメリカの覇権を維持する戦略に転換したのです。

オバマ政権を過渡期にして、路線転換を明確にしたのがトランプ政権です。トランプ政権は17年早々に新しい「国家安全保障戦略」、18年1月「国防戦略」、18年2月「インド太平洋に関する戦略的覚書」をあいつで打ち出し新たな戦略を明確にしました。

特徴の一つは、アメリカの敵を、「ならず者国家」から中国に変えたことです。第2に、米国がこれまで採って来た、中国の成長を助け国際社会に引き入れるという政策は誤りだったと明言したことです。第3は、対中国軍事的優位を維持するという目標を掲げたことです。

しかし、トランプ政権のときは、トランプ一流の同盟国不信、アメリカ第一主義がありました。

バイデン政権は、対中軍事対決路線をより鮮明に打ち出し、しかも、日米同盟、NATO、オーストラリア、インドとの同盟によって中国を包囲する軍事同盟網の再建、強化路線を採用したのです。 

■日米軍事同盟の強化、新段階へ

 アメリカの世界戦略の転換によって日米軍事同盟は大きく変化した。アメリカの戦略転換に伴い日本に対する要求が、「ならず者国家」と戦うためにイラクやアフガニスタンに派兵して後方支援をしろという話から、対中国の軍事的な包囲網づくりに変わったのです。

〈バイデン・菅政権下で日米軍事同盟の新段階へ〉

バイデン政権が発足し、会談相手として最初に呼ばれたのが菅首相でした。対中軍事対決の最前線を担う〝カナメ〟になるのは日本。バイデンは対中軍事同盟を強化するために、まず日本に「うん」と言わせることが大事だったわけです。

 4月16日、日米首脳会談の日米共同声明は、日米軍事同盟の新段階をはっきりと表明しました。この声明には、5つの特徴があります。

1は、日米同盟の対象を、インド太平洋地域に拡大したことです。「インド太平洋地域」は、日米だけでなく、日英、日印、日独、日豪などの2+2でも共通の対象地域として設定され、米国を要とする多国間の軍事的連携の対象領域となっていることです。

 第2に、中国の脅威をこれでもかという形で明記していることです。特定国を名指しでこれだけ「脅威」と表明したのは、冷戦期でもなかったことです。

 第3に、「日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」、いわゆる台湾条項が明記されたことです。

 第4に、中国の「脅威」に対して日本が、軍事力の増強と日米同盟の役割、任務、能力の分担の見直しを約束したことです。これは非常に重要です。これまで長らく、日米の分担は盾と矛だという合意がありました。すなわち、日本は専守防衛で「盾」の役割を果たし、敵国を攻撃する「矛」の役割は米軍が分担するという合意です。これを変えて、日本も矛の能力も持つという役割分担に改めるということです。

 第5に、日米軍事同盟強化を具体化するために、辺野古の基地を早期に建設し、馬毛島の訓練基地も急ぐということもうたいました。

菅政権は憲法破壊と改憲を新たな段階に引き上げることを約束させられたのです。

〈「台湾海峡の平和と安全」の意味の劇的な変化〉

ではこの共同声明で日米軍事同盟はどのように強化されたのでしょうか。台湾条項を素材に検討しましょう。実はこの台湾条項は、今から52年前、69年日米共同声明以来です。マスコミは、それを強調しました。しかし69年声明と今度の声明には決定的な違いがあります。

1969年の日米共同声明は、沖縄返還を合意した際の声明でした。米軍部は、好き放題で出撃基地としていた沖縄の機能が返還により、阻害されてはならないと主張。沖縄はベトナム侵略のみならず、朝鮮半島有事でも台湾有事でも出撃基地として予定されていたからです。米軍部の懸念に応えて、「ご心配なく」と保証するために入れられたのが、「朝鮮条項」「台湾条項」だったのです。

52年後の声明での台湾条項は、日本が米軍出撃にN Oと言わない約束のみならず、台湾に対する米軍の作戦行動に対しては自衛隊が支援するとの約束をも意味するものとなったのです。9条破壊の新しい段階に入ったということになります。

【以下の続きは東京革新懇ニュース9月号で掲載します】

 

 理念語れぬ五輪は中止、コロナ対策に集中を2020オリンピック・パラリンピックを考える都民の会共同代表

(前新日本スポーツ連盟会長)  和食昭夫


開催の理念が見えない開会式

 723日国立競技場で、東京五輪の開会式が無観客で行われた。さすがに「お祭り騒ぎ」を押さえた「異例の地味な式典」となった。それでも、午後8時から深夜0時近くまで行われ、参加者は、選手6000人、五輪関係者等900人、メディア関係者3500人とされ、これだけで1万人を超え、これに運営スタッフが加わる。緊急事態宣言下のイベント上限は5000人と決めているのに、ここでも五輪特例の「ルール破り」が無神経に行われている。

4回目となる緊急事態宣言が発出され、前日22日には東京のコロナ新規感染者は1979人、首都圏では3000人を超えたなかでの暴挙である。さらに開会式の内容は、国民の命と健康が脅かされている中にあって、何のために、だれのために開催するのか、東京五輪の開催の意義は何かが、私には全く伝わってこなかった。

本来開会式は、それぞれのオリンピック大会の開催の意義と目的を、開催都市とその国の文化と歴史の中に位置づけ世界にアピールする重要な機会である。聖火の最終点火者をプロテニス選手の大坂なおみさんにしたことや選手団の旗手を男女2人で行うなど差別問題やジェンダー平等への一定の配慮はあった。しかし、開会式典からはこれまでの五輪の祝祭感や高揚感はなく心が動かされるメッセージを受け取ることはできなかった。その大きな要因は、大会組織委員会の橋本会長とIOCのバッハ会長の挨拶の内容に象徴されているように思う。 

組織委員会橋本会長

橋本会長は、この間「開催の是非」を問われると「安全安心な大会」ばかりを繰り返していたが、挨拶では一言も触れなかった。他方、国民の過半数以上が開催中止の意思を示していることを無視し「この大会の開催を受け入れていただいた日本の皆様」に感謝の意を述べていた。加えて参加したアスリートに向かって、「お互いを認め、尊重し合い、一つになったこの景色は、多様性と調和が実現した未来の姿そのもの」と語った。しかし、人気タレントの容姿を侮辱した開閉開式演出総括者、障害児の同級生への虐待を自慢するミュージシャン、ホロコーストをコントの題材にした演出調整者など、開閉開式の重責をになっていた人たちが人権感覚の欠如を理由に、相次いで辞任あるいは解任される異常な不祥事について、お詫びも反省の弁もなくスルーした。最後に、組織委員会は、「東京大会を後世に誇れる大会とするようささえる」と締めくくったが、何か「誇れるもの」があるのかを聞きたいものである

IOCバッハ会長

IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は、「東京五輪が開催できるのは、日本の皆様のおかげです」と慇懃に日本国民を持ち上げた。しかし肝心な、いまなぜなぜ、このコロナ禍で東京五輪を開催する必要があるのかについては何も語らず、選手や五輪スタッフのなかですでに100人を超える感染の陽性者が出ていることへの対策や責任についても触れなかった。そして、205国と地域からオリンピック委員会(NOC)の選手団が「選手村の一つの屋根の下で生活すること」がスポーツの力であり、連帯と平和のメッセージ」だと述べている。しかし、コロナ以前から選手村に入らない選手団もあり、今回はコロナ対策で一切の交流が不可能な中で、どうして「スポーツの力」が育まれるというのだろうか。抽象的な連帯や平和という言葉は語られたが、あまりにも理想と現実の乖離の大きさと傲慢な態度はIOCの会長の資格に欠けていると強く感じた。蛇足ながら、バッハ会長の挨拶は予定時間の倍の13分と長くなったことと併せてすこぶる評判が悪い。

コロナから人々の命と健康を守ることを最優先し、いまからでも東京大会は中止すべき

開会式を目前にしておこなわれた各種の世論調査では、「安全、安心な大会ができると思わない」との回答が60%から70%に上り、朝日新聞調査では「開催に反対」がいまだに55%となっている。専門家からは、感染力の強いデルタ株などのまん延によって、「これまででも最大の山場になる」という危機感が強く指摘されている。にもかかわらず、政府の対応は、ワクチンの接種を巡る迷走の一方、PCR検査の拡大、自粛要請に対する十分な補償、医療機関や関係者への援助など戦略的な対策が行われないことから、国民の怒りの声が広がっている。

こうした中で、東京大会にはたとえ無観客だとしても世界から15千人の選手・コーチはじめ、IOCと世界のオリンピック関係者、メディア、参加国の政府要人、スポンサー関係者など9万人を越える人々が参加する。無観客で選手やスタッフと外部の人との接触を断って生活する「バブル方式」にも無数の穴がありその実効性に欠陥があることが日々明らかになり、完全に接触と感染を防ぐことは不可能であると専門家の方々も断言している。

人と人との交流を断ち切ることが最も有効な感染症対策であり、人々の交流と連帯を目的とするオリンピック運動を同時に進めることはもともと相容れず、東京五輪の中止こそ、最大のコロナ感染種対策である。コロナの収束に知恵と力を尽くすことこそヒューマニズムと平和を希求するオリンピック運動の精神にかなった対応である。

オリンピック憲章は、「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展に役立てることである」と述べるとともに、「スポーツをすることは人権の一つである」と明記している。人権と人の尊厳は、人の命と健康に支えられ実現し発展するものではないだろうか。だからこそ、世界人権宣言は、「すべての人は、生命、自由、及び身体の安全に対する権利を有する」と謳っているのだと思う。オリンピック運動の存在意義を再確認し擁護する立場からも、今夏の東京五輪は、一日でも早く中止することが正しい選択だと考える。

 選手たちの真剣なプレイを楽しみ激励することと、今日の事態を招いた関係組織への批判を区別して対応を

 「始まった以上は選手たちの健闘を期待し応援する」という感情は当然のことだと思う。しかしこのことと、専門家や国民の声を無視して、何が何でも開催を強行しているIOC、政府、組織委員会、東京都に対しては、選手への思いとは別の次元の問題として対処していく必要がある。開催の是非と運営に責任を持つこれらの団体や機関が、「4年に一度、」「生涯で一度」の目標の場という選手の思いを隠れみのにして悪用し、自らの責任をすり替える態度を許してはいけない。さらに、マスコミの報道もメダルの獲得とその成功物語に偏ったこれまでの五輪報道を大きく改めることが求められている。五輪とは何か、スポーツとは何かを国民みんなが考える機会とすることに寄与する報道を心から期待したい。選手たちも「祝福されない五輪」への出場を余儀なくされた原因が何であったか、社会や人の命と五輪をどのように考えるか、などアスリートならではの視点で自由に大いに発信して欲しい。 

コロナ禍で可視化された五輪運動改革の課題を考える

オリンピック運動は、単なるスポーツの祭典、競技大会にとどまものではない。これまでも様々な間違いや弱点を抱えながらも、世界の人々の平和、人権、民主主義そして人類の進歩の努力と結びつき、相互に影響し合って、より良い平和な世界の実現に貢献する世界最大の教育的・文化的な運動であり制度として受け継がれてきた。

この歴史的遺産を継承し、コロナ禍の新たな状況対応し、これまで見過ごされてきたオリンピックの課題(別表)にメスを入れ、新たな五輪運動の課題と方針について、抜本的な検討が必要になっている。その課題を列挙すると以下の通りである。

①オリンピック憲章の目的と使命に立ち返った開かれた討論。

②アスリート・ファーストと市民スポーツの共同と連携。選手の人権を保障し、限界を超えた商業主義への民主的規制をすすめる。4年に1回のオリンピック競技大会でのメダル争いだけでなく、ユース五輪などをはじめ、世界の多様な市民スポーツ・草の根のスポーツ運動との共同と連携を強化する。

③開催都市の負担を軽減する開催方式の抜本的な検討。規模の縮小、複数国開催、ブロック規模の共同開催、夏冬の開催地の恒久化と国際的な管理、男女混合種目・チーム、国際合同チームによる競技方式、夏季・冬季の開催種目の弾力的な調整。ジェンダー平等の推進。

④放映権料への過度な依存からの脱却。開催都市誘致コンサルタントの介入を排除し、利権・腐敗の一掃をはかる。

⑤IOC機構の改革、IOC委員の選出基盤の民主化。IOC関係役員の接遇の廃止。

⑥IOC、NOC(JOC)関係者とスポーツの市民運動の討論の場の創設。

⑦「持続可能なオリンピック運動の改革構想」を検討し、提唱する。

⑧スポーツの市民運動の強化と国際的な連帯の発展をはかる。 

オリンピック運動の再生の出発点に

2020オリンピック・パラリンピックを考える都民の会(オリパラ都民の会)は、20142月の発足以来、東京五輪が「真にオリンピック憲章に則った競技大会となることを願い、だれからも支持されるものとなるよう提言(会の目的)」し活動してきた。そして、IOCや組織委員会などに、既存の競技施設の利用、経費の節減、酷暑を避ける開催時期の変更、情報公開の徹底など具体的な提案と要請を行ってきました。こうした経験を生かし、すべての都民、労働組合、市民団体、広範なスポーツ関係者の皆さんとともに、東京五輪の今夏の開催の中止をあくまでも主張し続け、コロナ感染症対策に全力を集中し、都民の命と健康守る取り組みを共に進めていきたい。

2021725日記)

 都議選 力を発揮した市民と野党の共闘

 都議選では、自治体議員選挙で歴史的にはじめて市民と野党の共闘でたたかわれました。2つの選挙区、小金井選挙区と日野選挙区を紹介します。 

小金井 1人区で勝利

 漢人明子候補は、早くから立候補を準備し、緑の党東京の共同代表として都知事選で宇都宮候補を共産党、立民党、社民党などと推し、共同への信頼関係に努力。今回は共産(政策協定締結し全都唯一の共産党推薦候補)、立民、社民、新社会、緑、ネットの共同候補になりました。

枝野立民代表、福島社民党首、吉良共産議員、宇都宮弁護士、宮子あずささん、松下武蔵野市長、保坂世田谷区長などが応援、更に市議の過半数が支持し、市民選対中心に幅広い共同が広がりました。

自民党の広瀬真木候補は、早くから長島昭久18区候補とタッグを組み運動。自民は1人区の武蔵野、小金井を重点区に指定、河野、丸川、西村各大臣、幹部クラスを続々投入しました。

最終日は対照的な取り組みに。漢人候補には立憲民主党菅議員(18区選出統一候補)、社民党福島党首、看護師宮子あずささんが応援に入り、応援市議の訴えもありました。

特徴的な取り組みは最後の武蔵小金井駅で行われた市民選対の20名市民リレートーク。涙あり、笑いあり、市民、立憲野党の共同の取り組み、漢人候補へのそれぞれの思いが語られ、大変盛り上がりました。

広瀬候補には、加藤官房長官、長島昭久氏が応援。

結果は、漢人候補が、自公広瀬候補、現職都民ファ候補に大差つけ勝利。1人区での勝利は、総選挙に大きな力を与える結果になりました。

日野 市民応援団が活躍

日野(2人区)では、市民と野党の共同候補、共産党の清水とし子さんが自民現職を抑え当選。市民・野党の共闘の要の役割を果たしたのが、「市民応援団」でした。独自の事務所を構え、4月の市長選で大健闘した有賀精一さんや弁護士、市民が参加しました。 

連日とりくんだイオンモール前の宣伝では、「日野市の不正に都議会からメスを」「オリンピックは中止しコロナ対策に全力」などと生声で呼びかけ、対話を広げてきました。有賀さんが立ったところでは、「市長選惜しかったね」と声がかかり、市民が足を止めて対話が続きました。街頭宣伝で支持拡大が広がるのが市長選以来の定番となりました。

共産党の政党カーは、日野では市民応援団が運行しました。共産党の旗は掲げずに市民応援団の横断幕を貼って宣伝。弁士も、有賀さんや無党派の市民がマイクを持って訴えました。中には、「私は共産党でもないし、特に支持しているわけでもない」と断りつつ、清水さんを市民と野党の共同候補として応援する方も。共同の広がりを市民に示す宣伝となりました。

 市民応援団が野党各党に呼びかけた「市民・野党の共同街頭演説」は、告示前から投票前日までに6回取りくまれ、告示日第一声も共産党ではなく市民応援団が主催しました。立憲民主党と共産党との共闘に横やりが入るなか、市民応援団の要請で立憲の国会議員が何度も応援に入りました。街頭での共同宣伝に野党4党の旗が並んで立ち、市民の注目を集めました。