2022年1月31日月曜日

2022年1月29日総会

 東京革新懇第30回総会開催

改憲を阻み参院選勝利で政治変革の道開こう  

 東京革新懇第30回総会が、129日ラパスホールで開催。会場参加39人、オンライン参加30人の69人の参加。

改憲と大軍拡、アメリカと一体となった台湾有事での自衛隊派兵、戦争前夜の危機とのたたかいが強調されました。発言では、積み重ねた共闘の上に、都議選と総選挙がたたかわれ、東京で全国を励ます到達を築き、活発な討論が行われました。また、民青の取り組みが注目を集めました。 

浜矩子さんが記念講演

偽りの分配論を斬る

 同志社大教授の浜矩子さんが、「何とどう闘うか~アホダノミクスの偽りの分配論を斬る」と題して記念講演。なぜアホダノミクスなのかと問い、アホノミクスの「成長と分配の好循環」のパクリであり、困ったときのアホ頼み。「新しい資本主義」も、資本主義はこのままでは存在できないとのグローバルな方向感のパクリ。「分配戦略による人への投資」は、企業の成長のために、人を資産として見る。官民連携は、官による世の中への介入であり、デジタル庁など企業収益に誘導。「地方」をキーワードにし、新しい資本主義のお先棒担ぎの役割を地方に担わせようとしている。

アホ・スカ・アホダ後の経済運営として、筋が貫かれた経済政策、真の人本主義が求められる。(下は浜さんの講演動画1.2.3)  


                                 
                                 

開会挨拶 戦争の前夜がはじまった 

金子勝代表世話人(立正大名誉教授)が開会挨拶

 金子勝代表世話人(立正大名誉教授)が開会挨拶。岸田政権は改憲と大軍拡にのめり込んでいる。2021年補正予算と2022年予算合わせて16月の予算で61774億円と過去最大、アメリカのGDP2%要求に1.1%に達している。バイデン政権は、6年後に中国が台湾に侵攻するとして戦争準備を始めている。岸田政権は、改憲をやり、米中戦争に参加する。戦争の前夜が始まっている。7月の参議院選挙が関ヶ原のたたかいだ。   (下は金子さんの動画)         

  政党あいさつ

鈴木庸介立憲民主党衆議院議員

 鈴木庸介立憲民主党衆議院議員「国会に議席得たが、壮大な無駄がある。憲法改正というやらなくいいことに力を注ぎ、求められる経済政策はやらない。総務委員会に所属している。地方のテレビ、新聞が厳しい状況。メディアが弱まり、知る権利が弱まっている。みなさんの権利を守るために頑張りたい」。

山添拓日本共産党参議院議員

 山添拓日本共産党参議院議員「総選挙では自公政権に喉元まで迫った。野党共闘、共産党攻撃が続き、新たな政治の中心的課題となっている。共産党は結成100年。うまくいかなくて諦めるやわな政党ではない。平和外交への嘲笑など衆議院の雰囲気が悪化。参院選で改憲派3分の2を許さず転換して行きましょう」。 

安保・外交で反撃を

乾友行全国革新懇事務室長挨拶

乾友行全国革新懇事務室長が挨拶。東京革新懇の役割に敬意を払う。全国で共闘への攻撃へ反撃。米山さんは「新潟は42敗。現場でたたかって負けていない。勝利を積み重ね、政権めざそう」。宮城で石垣さんは「参院選地方区は野党共闘以外にない。何があっても共闘を追及する」。地域で市民と野党の共闘を革新懇が支えること、安保・外交をおおいに重視する。支配勢力は安保で野党共闘つぶし。打ち返していくことが必要だ。敵基地攻撃能力が熱い焦点に。平和の展望が必要だ。 (下は乾さんの動画)

改憲との全力でのたたかいを 報告と提起

今井文夫東京革新懇事務局長

 今井文夫事務局長が、方針案、会計報告・予算案、役員案を提案。「当面、参議院選まで、改憲阻止で保守層や青年層に共同を大きく広げ、選挙につなげよう。11月の地域・職場・青年革新懇全国交流会の成功と革新懇運動の強化をめざそう」と強調。

 16人が討論(23面参照)。議案、総会アピールを満場の拍手で確認。

 閉会挨拶

白滝 誠代表世話人(東京地評副議長)
 白滝誠代表世話人(地評副議長)が閉会挨拶。都知事選、都議選、総選挙と東京の歩みがしっかりしていることに確信にしよう。東京25区の井上議員が、野党共闘に焦りまくっていた。もっと厚く広い野党連合が出来ていたら勝てた。コロナ禍の生活困窮の方ともしっかり連帯していこう。

発言  今まさに 戦争の時 
丸山重威代表世話人(ジャーナリスト)
戦争の危機だと深める必要がある。12月「共同」がスクープ、自衛隊と米軍が台湾有事を想定し共同作戦作成と報道。2プラス2で承認、日米首脳会談で承認。南西諸島に臨時の攻撃拠点を置く。重要影響事態として、自衛隊が武器等運搬を行い、中国の艦船を追い払う。皆の危機感薄い。こういう事態は起きないように阻止できる。米、中、日、戦争する必要ない(下は丸山さんの発言。動画)



田辺良彦(共産党都委員会)

都知事選の共闘をベースに都議選で全都に広げ、本気で互いに勝利めざし奮闘。自民党敗北、都民ファも大幅後退。共闘勢力が臨時議会を招集する4分の1を占めた。総選挙では、共闘勢力が巨大な力を発揮。支配勢力は、猛烈な野党共闘、共産党攻撃。選挙後、立民都連として共闘を進める明確な表明。連合会長の野党共闘攻撃に、批判が噴出。東京で共闘を前進させ、参院選では絶対に改憲勢力に3分の2を許さないたたかい進める。


五十嵐仁
(法政大名誉教授)

総選挙、初めて野党共闘で政権交代をめざした。野党の弱体化や共闘の分断ねらう攻撃。反論が必要。立民は、小選挙区9増、比例23減、連合の裏切りによるものだ。逆流を乗り越え共闘再建しか政治変えられない。野党は批判ばかりと攻撃ある。批判しなければ野党でなく、三権分立で立法府チェックするのは野党。野党の牙を抜いて猫に変える攻撃だ。戦争につながる敵基地攻撃能力や改憲はきっぱり排除しなければならない。(下は五十嵐仁さんの発言。動画)



内藤利治
(杉並革新懇

4年前も統一めざし結果はバラバラで、野党得票計は石原伸晃を上回った。総選挙に向け、立民、共産、れいわ3候補でやってきた。突然山本太郎が立候補表明、地元の意向を大切にしろと迫り、1週間後に取り下げ。一気に吉田候補で一本化。のぼり100本と横断幕作り、候補者選対と市民選対が力を合わせて勝利。長年の地域運動が土台。6月区長選挙に向け「住民本位の杉並区長をつくる会」も発足。


加瀬唯史
(板橋革新懇)

人間講座27夜を1月に開催。若い人がコロナ禍で苦労している話を聞こうと設定。東京芸術座の佐藤アズサさんは、当日公演がキャンセルなど苦労。居宅介護事業所所長の田中邦彦さんは国の支援の薄さに苦労。富士国際旅行社の西須輝理さんは、15人中10人自主退職など会社が苦境に。首都圏青年ユニオンの原田仁希さんは雇用を脅かされた人々の救済を国に働きかけ前進を切り拓いている。素晴らしい人間講座だった。


磯崎四郎
(日野革新懇)

21区は、立民の大河原さんが99000、自民が112000で、大河原さん比例復活。21区で国会議員を送り出したのは初めてで確信に。107日に、市民連合が呼びかけ、6野党と大河原さんの20項目政策協定調印、ここから本格的運動。政権交代ののぼり100本も作ったが、連合の干渉もありモヤモヤもあった。115日に大河原雅子国会報告と文化のつどいを開催、大河原さんは「市民と野党の共闘の証が私の議席」と語っている。


木下雅英
(都教組)

コロナ感染の急拡大で教職員は困難な状況に。子どもの感染で学級閉鎖や学校閉鎖拡大。都教組として15回目の都政への申し込み。長時間過密労働が続いている。1年単位の変形労働時間を都は諦めていず、取り組みを進める。国は、子ども教育データを利活用ねらい、デジタルによる国民支配だ。改憲など重大な年、平和な未来を子どもたちに手渡していくために頑張る。


蟻坂静雄
(三鷹革新懇)

三鷹・武蔵野の民青が16人増えた。民青と革新懇の交流会を企画。高校、大学の民青はほとんどバイト。働くひどい実態とどうたたかうかをテーマに検討。今年はおおいに民青と交流、3月に30人規模で開催。22区は全国で人口一番多い、区割り変更になる。どうなろうとも対応できるよう三鷹市に市民連合つくる。


奥田靖二
(宗教者平和協議会)

改憲反対など署名を146筆集めた。署名の訴えと署名用紙、返信用封筒をセットで送付。署名送っても置いておくこと多い。10人でも1090円。カンパが来て赤字にならない。3000万署名は400筆集めた。具体的でないとだめだ。京都ではしつこさは親切の表れという。運動はしつこく、粘っこく、地味にが必要だ。


昆野昭男
(西東京革新懇)

西東京市民連合は、2018年発足。市長交代の動きの中で、野党議員の中で新しい市長をとの動きが出て、市民連合が市長選にのぞむ政策をまとめ、元逗子市長の平井氏が政策に賛成、押してほしいとの要望。共産党も支持に。昨年2月の市長選、1514票差まで追い上げた。平井氏は5か月前の引っ越しで、大きな到達。総選挙でも西東京奮闘。2月に参院選に向け宣伝をはじめる。


中山伸
(革新都政をつくる会)

昨日、小池都知事は予算案を発表。都立病院の独法化を推進。大手企業好調で史上最高の予算規模。東京の格差拡大が浮き彫りになっている都民が主人公の都政への転換求め運動を強めたい。22日に中野ゼロで「政治を変えよう!『市民と野党の共闘の力で~22大集会』」を開催。小林節さん講演。宇都宮健児さんも参加。政党は、立民、共産、社民、新社会、緑が参加、れいわとネット調整中。


新田裕也
(民青都委員会)

学生の食糧支援活動など通じ昨年は1276人民青拡大、02年以来の増。37都道府県で10万人以上に支援、ボランティアも1000人に。東京では36012000人が利用。悩みの交流の場に。前進の背景には新自由主義と学生との矛盾、社会の仕組みに問題があるとの話になっている。ジェンダー平等や気候危機への関心もある。戦争する国づくりはまだ知られていない。自らの生活と政治変革にどうつなげていくか問われる。


青木静子
(西武革新懇)

チリでは35歳のガブリエル氏が大統領、閣僚の6割が女性。若き日青年運動に身を投じたころ、チリでアジェンダ政権成立。半世紀たって自分たちの政権手に入れた。感慨深い。総選挙では共闘前進。6年前に始まった野党共闘、共闘するしか政権交代できない。ピースアクションは、11670回目。毎回89人。改憲の動きの中で、隔週から毎週に回数を増やす。


児玉紀子
(足立革新懇)

事務局7人、世話人35人。タイムリーな学習を追求。ニュースは2ケ月に1100数十部発行。HPも作成。学術会議署名、核兵器禁止条約批准求めるスタンディング、生きがい奨励金復活運動など取り組んだ。助け合い村に1000人、相談内容を区に要請。12区の市民連合に参加、13区では各党に統一の要請。改憲許さないのぼり旗と横断幕つくり今後奮闘する。


野本春吉
(大田革新懇)

市民連合おおたの会は、4区で初めて統一候補実現。政策は、20項目と羽田低空飛行、リニアなど地元4項目。1014日に、市民連合と各党、候補者がブリッジで調印式。1017日から緊急街頭宣伝。維新が活発なもとで、午後6時~8時のロングラン宣伝を連日展開。弁士820人、参加は多いときで50人。相手の平氏は「統一候補は大きな脅威。どっちにころんでもおかしくなかった」と語っている。


木原秀子(
東京母親大会連絡会)

東京母親大会は、125日で会場参加936人で開催。今年は1218日に浅草公会堂で準備。総選挙で統一候補としてたたかった伊藤俊輔氏は、市長選挙も共同でとなっていた。市民活動家の清原理さんを共同候補として擁立、町田市民連合と協定。学校統廃合を許さないなど市政転換をめざす。ご支援をお願いする。

2022年1月17日月曜日

東京革新懇40周年記念のつどい詳報

 第1部 シンポジウム 

総選挙の評価と政治革新の展望

コーディネイター:東京革新懇代表世話人 杉井静子さん(弁護士)

パネラー 法政大学教授         山口二郎さん

               全国革新懇事務室長 乾 友行さん

     作家・活動家         雨宮処凜さん 


杉井静子さん
 革新懇は苦節40年、今回初めて国政でも野党共闘による政権交代をめざした総選挙をどう見るか、革新懇運動は今後どういう形で政治革新の旗をかかげて選挙等高まっていくのか、乾さんに発言をお願いします。

乾 友行さん いま共闘をつぶそうとするキャンペーンが総選挙の結果おきている。成果をはっきりさせることが非常に大事です。毎日新聞の記事で立憲民主党の落選議員100人以上参加した意見交換会で、共産党との競合を解消してとの意見はあがったが、共産党との連携解消を求める意見は無かったと報じている。

どうして勝利しなかったか議論も大切です。野党共闘を発展させるために、政党に頑張ってもらうのは当然ですけど、市民の運動が今後の局面で増々重要です。

 総選挙の結果を考える前提ですが、憲法に基づく臨時国会開かず、メディアジャックで自民党の大宣伝する、内閣発足後の10日で解散、最短での投票。憲法で規定された議会制民主主義の原則、国民の権利を平然と犯した暴挙のもとでの選挙だった。

 今回の選挙はギリギリの大接戦、野党共闘は大変な脅威と自民党の多くの方も言っている。

 総選挙をめぐり自民党・権力による大きな舞台装置の変化がつくられた。コロナの時期で2人も首相を辞めざるをえないほど失敗した。このままでは危ないと菅を引きずり下ろし、岸田首相になってリセットされた。

 二つ目は、反共攻撃、野党共闘への攻撃。中国の覇権主義の事実もある中、共産党が政権にかかわることを見たうえでの攻撃だった。これに野党共闘として有効に反撃できなかった。国民が市民と野党の共闘で自民党政権をひっくり返すことに危機感をもった支配層の力量の凄さを改めて痛感します。

杉井静子さん 雨宮さんから、総選挙の結果、ロナ禍の中での貧困の状況についてお話いただきたい。

雨宮処凛さん 野党共闘に期待が高かったのでもっと盛り上がってほしかった。一番脅威に感じるのは維新。先週私は神戸に行きましたが、選挙の後半維新の盛り上がりが凄かったと口をそろえて言っていた。吉村さんが来たら、沿道で若者がキャーキャー言って手を振っている。関西のメディアの力が大きいとの話です。

 私は40歳代でロストジェネレーション、非正規第一世代と言われる世代。この世代の維新人気が凄くある。自民党はダメ、野党も批判ばっかりというフワァとした感じで維新しかない選択。政策の中身じゃない。

 15年間貧困問題にかかわっていますが、この2年弱、貧困問題のすべてが凝縮した状況。去年の3月に40位の団体で「新型コロナ災害緊急アクション」を緊急的に支援する仕組みが必要と立ち上げた。以来SOSメールが届き続け、所持金ゼロ、ホームレスになった、3日間食べてないといったメールが連日届く。昨日も、6歳の子どもと5か月の赤ちゃんをつれたお母さんが、住まいがないという連絡が入り、一軒家をシェルターとして貸してくれるという話があり、とりあえず行き場は決まった。緊急アクションに700件のメールが届き、他の支援団体からの連絡を含め2年間で2500件に対応。家がないのでその日のうちに安いホテルを確保し、食費を渡し、翌日生活保護申請につなげることをやっている。ホテル代とか緊急の給付を2500件の人達に7200万円以上給付。緊急支えあい基金を立ち上げ、一般の方から1億円以上集まり給付しています。

半分以上が外国人。特に仮放免だと働くことは禁止され、公的福祉の対象にもならないので困窮を極める方が沢山いる。

SOSメールの人は20代から40代が大半。23割が女性で、これまでにない。野村総研の試算では、女性の実質的失業者は103万人。コロナで最初に一番影響を受けたのは飲食宿泊、そこで働く64%は女性でほとんどが非正規。女性の非正規の平均年収は153万円、月収13万円もない。この層が何の保障もない、貯金も出来ない、そういう人達が一気に放り出された。その結果、去年の女性の自殺者が前年より14.5%も増えた。女性のシェアハウスからの追い出しもすごく多い。保証人が要らなかったり初期費用や家賃も安く20代女性が一番住んでいる。賃貸契約でないので1ケ月の滞納で追い出されてしまう。非正規だと一般の賃貸物件の審査に落ちることが多い。身分制度みたいな固定化される状況が続いている。

杉井静子さん 山口さんが到着されました。総選挙の結果について、市民と野党の共闘の成果について、及び維新の人気について伺いたいと思います。

山口二郎さん 今回の衆院選は、コロナ対策をめぐる安倍・菅政権の責任を問う機会となるべきでした。死者の数は18000人を越え、人口あたりの死者数は、中国、台湾、韓国、日本、東アジアの4カ国の中では日本は最悪。8月に医療崩壊がおき、自宅療養という名の放置が行われ、助けられた命を沢山失った。菅首相の辞任と総裁選を行い、第2次安倍政権発足以来の様々な失敗や犯罪的な行為をリセットすることに成功した。本当にくやしい。

 今回の選挙の大きな特徴は、長年選挙を取材してきた政治記者に聞いても、本当に分からない。すれすれのたたかいをやっている選挙区が多かった。217の小選挙区で統一候補を立て、約4分の3で一本化。小選挙区では立民、共産、野党系無所属合わせると62議席、前回から11伸ばした。1万票以下の接戦選挙区が32。この接戦取っていれば状況はガラッと変わっていた。小選挙区では野党共闘の効果は大いに上がっている。

 立憲民主党の失敗は比例における敗北。201710月の総選挙で、体制の準備もない状態でたたかい1108万票。このときは枝野さんがちょっとしたブームを起こした。今回、旧国民や社民の議員が合流したにもかかわらず、比例は1149万票。枝野さんのイメージが悪かった。反対ばかりしているとのレッテル貼りは偏見。野党が権力を批判するのは当たり前。反省すべき点は、どれだけ本気で野党共闘を構築し、政治の転換をめざしたのかという点。私も枝野さんは言い訳が多すぎるとの不満を持っている。選挙をたたかう時は、連合の応援もなきゃいけない。他方で共産党とも一緒にやるとの大きな戦略は既定路線で、参院選もそれで2回たたかった。こういう理由で共産党とも一緒にやる、何が悪いんですかと言えばいい。小選挙区で勝つためには、政策が近い政党同士でブロックをつくることは選挙戦術上当然であるし、大義名分もコロナ対策、格差・貧困、原発、気候変動など、自民党では出来ないことを力を合わせて実現すると自信をもって言わなければいけない。限定的な閣外からの協力と言われても普通の人にはわからない。大義名分を主張して、旗印をしっかり立てる、これが野党第1党の責任だったと思います。

選挙をたたかう体制をつくることはトップダウンではうまくいかない。新潟県は6つの小選挙区中4つ野党が取った。県知事選やその他の選挙でも野党は協力するし市民と話し合いをする習慣が出来ており、地域レベルで人間的な信頼関係がある。こういうことを全国に広げていくことが必要だ。

参議院選に向けても、中央レベルの政党の話し合い大事だが、地域レベルでもそういう努力をしていかなければならない。

 選挙については、市民と野党の共闘で達成したことを確認し、不十分だった点を反省し、これで行くしかない信念を持つということが大切だ。

 維新が800万票とったことは驚きです。維新イメージが全国に広がった。大阪おける人口当たりのコロナの死者数は全国ワースト。知事がよくやったなんて冗談じゃない。2極構造をつくろうと4野党がブロックをつくったけど、維新が第3極というポジションで候補者をまわした。自民党もやだけど野党共闘もなんかなという人の票をある程度集めた。特に東京など大都市部では野党側に大きなマイナスになった。維新は新自由主義の政党、身を切る改革と言いながら公共世界の解体していく。カジノと万博しか政策がない政党に未来はない、そこに我々は確信もってたたかうしかない。

杉井静子さん 今日見渡しても若い方と女性が見えていない。若者と女性に政治的関心をもってもらうかという点で雨宮さんにお話しいただければと思います。

雨宮処凛さん 関心の高い人は若い方でも物凄く関心高い。女性でも最近フェミニストの方がすごく増え意識は変わってきている、若者、女性といってもひとくくりには出来ない。

私の周りに、就職氷河期でいまも非正規だったり、正規でも非常に苛酷な中にいて、維新なんか応援したら自分の首がしまる人たちが維新を応援している。そういう人達になんて言えばいいのかなとずっと悩んでいます。

山口二郎さん 維新は弱い立場の人々をさらに追い打ちをかける政策ですけど、身を切るというんで、不安定な立場で苦労している人にとって、今までのほほんとしていた人が苦労するようになるとのメッセージだと思います。

雨宮処凛さん 一番犠牲になった層なのに、破れかぶれでどうにでもなってしまえ、どうせこっちには来ないんだから、持っているヤツから取ってめちゃくちゃになってしまえという破壊衝動で投票行動に行っているような感じでこわいんです。

山口二郎さん 政治の力によって自分たちのくらしがよくなるという体験がほとんどしてこなかった。団塊世代がまだ元気なうちに、なんとか政治を一回変えて、世の中変えられることを若い人たちに教えることが我々の仕事ですけど、残り時間があまりない。

他方希望がありまして、私は前期1年生に政治学入門との授業をやり、期末レポートで、秋の総選挙に行くよう政治的無関心の友達を説得する手紙を書いてくださいというテーマ、よく考えているなとビックリしました。大学1年生は、高校生のときに、入試制度の大混乱の被害をもろに受け、政治のやることに厳しい目を持っている。文科省前でデモやったら入試制度改革が止まった経験がある。自分のこととなると関心持ち声を出した。選挙を応援するというのはかなり段差がある。段差をどう少なくするか課題です。

乾 友行さん 青年のことですが、大きいのは教育の問題、自民党政治が営々と教育をいじめ、高校や中学で主権者の教育がされてない、18歳になっていきなり投票に行かされてもどの党を支持していいか分からない。ドイツでは中学生が自分はどの党が良いと話し合っている。日本は政治にかかわらないという教育がされている。

公選法の問題。自治省の選挙部長をやっていた片桐先生に伺った時に、公選法は治安維持法と一緒に出来た。労働者大衆に選挙権を与えるとえらいことになると支配層がやったのは治安維持法と公選法。選挙で国民を如何にかかわらせないかというのが公選法なんだと。治安維持法と一緒に廃止すべきだったんだと。この間、初めて選挙に参加した方は多いですね。公選法にビックリする。そういう中で私たちはたたかっている。

山口二郎さん 今の選挙制度が始まって25年、弊害がかなり目立つ。小選挙区制度は死票が多い。小選挙区は、政党がブロックをつくって塊になる可能性を持つ。比例は各政党が各々たたかう。水と油のような制度をつなげていること自体大問題。理想を言えばドイツとかスウェーデンの比例代表制度を中心とした民意を吸収するいい制度です。25年経ち、学者やメディアは、選挙制度の弊害の議論を始めなければいけない。日本の比例はブロックごとで死票が一杯ある。四国とか中国とか狭い地域で比例をすると比例の意味があまりない。根本的な問題と取り合えず直すべき問題がある。

雨宮処凛さん 選挙制度すごく複雑。選挙に出るのが高いお金がかかる。コロナ禍で初めて政治に目を向けた人が沢山いましたが、選挙に出たいと思っても何をしたらよいか分からない。もっと直接的に思いを反映できるような形になればいいかなと思います。

杉井静子さん 最後にパネリストの皆さんに一言づつ発言を頂きます。

雨宮処凛さん 私が取り組んでいるのはこの年末年始です。122526日、189日に女性の相談会をして、29日からずっと炊き出しや相談会に参加する予定。今になって炊き出しが過去最高。家族ずれが増えたり多様になっている。現場にいるとニーズが分かるので、その声をすくってくれる政治を求めていきたいと思います。

乾 友行さん やはり運動が大事だと思っています。市民と野党の共闘の原点を見直すことがこういう時期だからこそ大事です。沖縄で赤嶺清賢さんの話聞きますと、オール沖縄は若返ったと言ってました。県民投票で活躍した女性の方や無党派の方、那覇市議会の方、赤嶺さんの選挙運動の中心になった。その背後にあるのは運動です。

 攻撃の一つの焦点が安保条約。日本国民の中で安保条約が必要と思う方が7割、8割いる。「共産党を除く」壁が打ち破られたのですが、多くの国民の中で、共産党にアレルギーがある。共産党が考える問題もありますし、野党全体としての反撃の仕方もあります。安保の問題、共産党を除く問題は、革新懇運動が40年間経験してきたわけで、全国の草の根で独自に果たす役割があると議論の中で改めて考えました。

山口二郎さん 市民連合は2015年の安保法制反対の運動からスタートし、2回の参議院選挙での1人区での一本化が大きなテーマでした。今回の総選挙でも野党の一本化のつなぎ役になったわけですが、運動の基本的理念、政策的な目標、再検討しなければいけないと思っています。時代の変化や新しい課題に対応した体制を作り直す作業はやらなければ、市民連合の運動を何を根拠に何をめざすかよくわからないというか、既存の野党をつなぐことだけが目標になったらダメなんだとは感じています。

杉井静子さん

 活発なご意見と3人のパネリストの示唆に富む発言、本当に有難うございました。地域での草の根の運動が大事ということで、私たちは東京革新懇に結集して、明日からも活動を続けましょうということを最後に申し上げシンポジウムを終えたいと思います。


第2部 

 東京革新懇40周年記念のつどい

 1123日に東京革新懇結成40周年記念のつどいが、59地域・職場革新懇、賛同団体等103人の参加でエデュカス東京で開催されました。


代表世話人・ジャーナリスト

丸山重威さん開会挨拶

 いま、100万人といえども我行かんとの気概が求められる。民主主義の危機である。メディアを変えて行かなければならない。明日に向かって意気をあげるつどいとしたい。

畑田重夫顧問メッセージ

 私が東京革新懇の代表世話人に選出されたのが1988年、その頃の東京革新懇には直木賞作家として知られた藤原審爾さんや著名なジャーナリスト松浦総さんらが出入りする姿をよく見かけたものでした。また、東京革新懇人間講座には山田洋次さんや井上ひさしさんらが精力的に魅力ある講話をしていたこともなつかしく想い出されます。

 皆さんがひきつづき首都東京と日本の政治変革のために大きな役割を果たしてくださることを切に願いつつ本日のつどいへのお祝いと激励の言葉とさせていただきます。連帯の気持ちをこめて。


全国革新懇代表世話人 

田中光雄さんあいさつ

 40周年のつどいおめでとうございます。都議選は大きな教訓であり東京は素晴らしい活動をされ励まされた。市民と野党の共闘は始まったばかり。東京革新懇が全国の牽引車で頑張ってほしい。

政党あいさつ

田辺良彦共産党都委員長

 野党共闘への激しい攻撃が行われている。選挙結果は市民と野党の共闘の力をはっきり示すものとなった。自公4議席減、共闘勢力5議席贈。4野党の比例票は、自公の88%。自民は全国30小選挙区を重点にし、岸田首相は東京9選挙区に入った。そこでは共闘勢力4勝、自公5勝。相互に本気の支援を行った。

 支配層が猛烈な攻撃を加えた。東京は屈することなく前進、東京革新懇40年に刻まれるたたかいだった。共闘を大きく発展させ、3目標を実現する政治に変えて行こう。

政党からのメッセージ 

立憲民主党都連合会幹事長 手塚仁雄

 東京革新懇結成40周年にあたり、立憲民主党東京都総支部連合会を代表してご挨拶を申し上げます。衆議院選挙におきまして、立憲民主党は8名の小選挙区勝利、4名の比例復活当選させていただきました。この結果は野党共闘におけるご尽力賜りました皆様とともに勝ち得たものであり、感謝に堪えません。引き続き東京革新懇の皆様と、立憲民主党東京都総支部連合会が、日本の政治を国民主体のものに変えるために、市民と野党の共闘の発展に向けて連携させて頂ければと存じます。

社会民主党東京都遠郷代表 青山秀雄

 結成40周年を心からお祝い申し上げます。自公政権に加えて維新の会の議席増により、改憲勢力が増えたことは誠に遺憾である一方で、市民と野党の共闘が実を結んでおります。力を合わせて、いっそうの運動を進めていかなければと存じます。

賛同団体よりあいさつ

東京地評副議長 白滝誠さん

 今回の選挙で共闘は大きく前進。その中心が東京だった。長年、地域革新懇の努力に感謝する。春闘おわるとすぐ参議院選挙。市民と野党の共闘をより前進させ、改憲させない決意を述べ、お祝いのあいさつとします。


新婦人東京都本部会長 佐久間千絵さん

 新婦人新聞読む会をツイッターで週2回やっている。12人が発言でき、5人増えた。ツイッター上で野党共闘が生まれた。東京革新懇は、他の人々の話を聞くことが求められていると思う。ご一緒に頑張って行きたい。

 その後、地域・職場革新懇、賛同協力団体の20人から、結成40年第二の誕生日と思っている、地域で共闘を広げる努力、総選挙での地域での取り組み、首長選挙の取り組み、地域の取り組み踏まえた候補者の統一の願い、青年の中の取り組みなど様々な思いが語られました。


自由法曹団東京支部長 

黒岩哲彦さん閉会あいさつ

 参議院選挙に向けて頑張っていきたいと思います。沖縄のことばに、私たちは勝つまであきらめないとの言葉があります。このことばは水俣病のたたかいで言われてきた言葉。我々もあきらめないで頑張って行きたいと思います。