2021年9月14日火曜日

9月11日高田健講演

市民連合呼びかけ人・総がかり行動実行委員会共同代表

高田健さんが9月11日に講演

 安倍・菅9年の自公政権に代わる新しい政治の展望

高田講演を三つに分けて動画をアップ。高田講演その1 

          高田講演その2

高田講演その3




2021年8月31日火曜日

 菅政権と日米軍事同盟・改憲の新段階その②

市民の力で改憲に終止符を

九条の会事務局  一橋大学名誉教授  渡辺 治 さん

619日に開催された九条の会東京連絡会の渡辺治さんの講演の前号に続く後半部分をご紹介します。 

3.菅政権における改憲の新段階――2つの改憲 

■菅政権は9条破壊、「解釈改憲」を推し進めている

 日米軍事同盟強化のため、菅政権は2つの改憲を進めています。

第一の改憲は、「解釈改憲」です。菅政権は、市民の抵抗が強く明文改憲を早急にはできそうもない、日米軍事同盟強化の具体化も急がねばならないという事情の下、実質的な9条破壊をさらに推し進めようとしています。

〈安倍の置き土産――「敵基地攻撃力保有」の実行へ〉

一つが、安倍の置き土産の「敵基地攻撃力保有」です。

もともとの議論は、1956年、北朝鮮の誘導弾攻撃に絡んでなされました。攻撃が確実で「他に手段がない」時は敵基地を叩くことが認められるとしたが、それを口実に攻撃的兵器を装備することはできないとされ、「敵基地攻撃力」は事実上持てないとされた。

2000年代に入り、北朝鮮のミサイル実験が繰り返され、敵基地攻撃力保有論が再燃しましたが、この政府解釈は維持されました。

ところが、安倍政権末期に、突然、敵基地攻撃能力保有論が再燃。安倍は、20年6月、イージス・アショアの配備断念を口実に敵基地攻撃力保有の検討を開始すべきと発言。それを受けて自民党内で検討チームが作られ、8月4日、自民党政調会名で「国民を守るための抑止力向上に関する提言」が発表されました。

〈自民党提言に現れた敵基地攻撃力保有の狙い〉

提言には狙いが示されていました。第一に、政府は“敵基地攻撃力保有は北朝鮮のミサイルのため”としていたのですが、提言では、その対象が中国であることが明記されたのです。第二に、日米同盟の中で日本が「より主体的な取り組み」つまり、攻撃的役割を担うため、ということが示唆されたことです。

トランプ政権は、対中軍事対決路線の採用に伴い、中国が未加盟のために大量の中距離弾道ミサイルを第1列島線を射程に入れて配備していることを口実に、19年2月1日、一方的に中距離核戦力全廃条約から離脱、ロシアも条約義務の履行停止に踏み切り条約は失効しました。以後アメリカは中距離ミサイルの製造、配備に乗り出し、日本の米軍基地への配備や自衛隊にも中距離ミサイルの保有するよう圧力をかけてきています。敵基地攻撃力保有論の背景には、アメリカの軍事戦略に呼応して日本にも対中の「矛」の役割を担わせようという要請があるのです。

〈菅政権、「スタンド・オフ」と言い換えて閣議決定〉

この直後、安倍首相はコロナ対策に失敗して退陣を余儀なくされましたが、9月11日、「談話」で次期首相への「遺言」として、敵基地攻撃力保有の検討を申し送ったのです。

それを受け、菅政権は1218日に「スタンド・オフ防衛能力の強化について」を閣議決定、21年度予算案にも盛り込んで、敵基地攻撃力保有に踏み出したのです。「スタンド・オフ」能力とは、敵の攻撃範囲の外から相手の基地を攻撃する、敵基地攻撃力に他ならないのです。

〈南西諸島への自衛隊ミサイル部隊の配備〉

解釈改憲の第二は、対中軍事包囲網、日米共同作戦体制強化です。安保法制以降、安倍政権は、16年与那国島、19年奄美、宮古島に自衛隊ミサイル部隊を配備、石垣島にも自衛隊駐屯地の建設に着手。菅政権のもとでも加速。日米共同声明で約束された辺野古基地建設、馬毛島基地建設を推進、南西諸島での日米共同訓練も計画されています。

〈「武器等防護」の日常化――日米共同作戦体制の緊密化〉

安保法制で新設された米艦、航空機に対する自衛隊の警護、防護活動は、17年2件が、20年には25件と飛躍的に増加。多くは日米共同訓練での米軍防護です。

菅政権は、総選挙を乗り切った場合には、日米ガイドラインを改定し、台湾有事の際の「共同作戦計画」を狙っていると報道され、日米共同作戦が一層緊密化します。

〈対中軍事同盟網の拡大〉

さらに、日米だけでなく日英、日印、日独、日豪などの2+2が相次いで開かれ、アメリカを盟主としながら対中の多角的軍事同盟網がつくられようとしています。

〈重要土地調査規制法〉

菅政権による重要土地調査規制法の強行は憲法破壊の一環です。法律は、米軍、自衛隊基地や原発などの「重要施設」周辺の土地利用者の情報を自治体、利用者から取得と定め、近隣住民が重要施設の「機能を阻害する行為の用に供しよう」とする場合に、その活動を制限できるとしています。基地反対運動、反原発の住民運動などの規制をもくろむものです。対中軍事同盟強化に伴い増加する基地建設や演習などへの沖縄を先頭とする反対運動への対処が必要になったからに他なりません。

 

■菅政権における明文改憲の新段階――菅政権の新方式

菅改憲のもう一つの柱が明文改憲です。

〈菅、5・3改憲メッセージ〉

菅は、改憲派集会にビデオメッセージを寄せ、改憲4項目、特に、緊急事態条項と自衛隊明記をあげて改憲論議を促し、手始めとして、改憲手続法改正を掲げました。安倍に比べ改憲には消極的と右派から「心配」されていた菅がメッセージを出した背景には、日米共同声明の実行と憲法9条の矛盾が抜き差しならないものになったからです。

 主催者の櫻井よしこ氏の講演でも露骨に言われています。日米共同声明を高く評価した上で、「もし首相の言葉が、言葉だけに終わったら、……日米同盟の破綻につながる」「今の国際情勢を見ると」改憲に「ぐずぐずしている暇は一瞬たりともない」と明文改憲を急ぐよう圧力をかけています。

〈緊急事態規定改憲の2つの狙い〉

では菅は、なぜ緊急事態改憲論を強調したのでしょうか。二つの狙いがあります。国民の支持が強い9条から始めるのは難しい。国民が共感できそうなのが緊急事態改憲と見込んだのです。コロナ失政を逆手にとり、〝緊急事態規定がないとコロナ対策の万全はつくせない〟との口実で改憲論議に入ろうという狙いです。

もう一つの狙いがあります。自民党改憲案では、政府が「緊急事態」と判断したら、国会を通さずに、政府の命令で市民の自由を奪ったり制限ができると規定しています。

 明治憲法は、緊急事態規定の宝庫のような憲法で、緊急勅令、戒厳令などを濫発し国民を戦争に動員。その苦い経験から、世界でも珍しく、日本国憲法には緊急事態規定がありません。その復活は、9条改憲とセットで「戦争する国」づくりに他なりません。

〈改憲手続法改正強行の狙い〉

菅メッセージが強調したもう一つが、改憲手続法改正案。改正案は憲法審査会で改憲論議の停滞打破の突破口をねらって2018年6月に提出。運動の高揚と野党の頑張りで裏目に出て、8国会にわたり継続審議、改憲論議の足枷になっていました。メッセージを受け、自民党は立憲民主党修正案を丸のみし、改正を強行。総選挙で改憲派に万一3分の2を許すことがあれば、菅自民党は憲法審査会で改憲4項目の審議を狙ってきます。

自民党は改憲4項目案をあえて「たたき台」とし、公明党、維新の会、国民民主党の意見を「取り入れ」て改憲原案を作り、憲法審査会で立憲民主党と共産党、社民党を孤立させ発議に持ち込むという戦略です。

 

4.日米軍事同盟と改憲で日本とアジアの平和は実現できるのか?

 

では、菅政権が推進する日米軍事同盟強化、日米共同作戦体制、改憲と「戦争する国」づくりによって、日本と東北アジアの平和を実現できるのでしょうか。

 

■日米軍事同盟強化、改憲では東北アジアと日本の平和は実現できない

〈揺れる国民意識〉

 中国の覇権主義的行動の激化を機に、世論調査では日米共同声明や日米同盟に対する支持が増えています。しかしそれは国民が武力による解決を望んでいるからではありません。最近の朝日の世論調査で、憲法9条を変える方が良いは30%、変えない方が良いが61%であることもその証拠です。ただ、〝中国はやっぱり怖い。アメリカに守ってもらうためには、自衛隊がそれなりに協力しないと駄目なんじゃないか〟という意識が強まっている。しかし軍事同盟強化では、東アジアの平和は実現できません。

〈軍事同盟強化は戦争の危険を増大させるだけ〉

 日本が、対中軍事同盟強化に邁進することは、中国の対抗措置をうみ、米中の軍事対決の亢進と戦争の危険を増大させるだけです。

軍事対決が亢進し、万一、台湾を巡り武力紛争に発展したら、アメリカは介入し、沖縄をはじめとする米軍基地が米軍の出撃拠点となるばかりでなく、安保法制によりアメリカの戦争に自衛隊も加担することになります。台湾海峡での軍事紛争は、安保法制の「重要影響事態」との判断で米軍の攻撃への加担を強いられ、軍事衝突が拡大すれば「存立危機事態」として自衛隊が戦争に武力で参加する危険も生まれます。

〈戦争の危機を防ぐもの〉

米中の覇権主義対決、軍事対決が戦争に直結するわけではありません。あの冷戦時代にあっても、米ソの直接対決・戦争は周到に回避された。

その上、米中の経済関係は、「自由な」市場を共通の前提に、投資でも貿易面でも冷戦時代の米ソと比較にならない密接な連携と相互依存状態。戦争や長期の軍事衝突は、双方の企業に致命的な打撃を与えます。また、米中、日中の市民の交流や共同した運動は、冷戦期と比べものにならないくらい深まっています。

問題は、米中の経済的利害の共通性や市民間の交流は、自動的に戦争を回避し東北アジアの平和を保障するものではないことです。紛争を武力によらないで解決する枠組を作ろうという当事国・地域の市民と政府による自覚的な行動と取り組みが不可欠です。

 

■アジアにおける紛争の平和的解決の枠組みづくりを 

日本がやるべきことは、紛争を平和的に解決する枠組み作りのイニシアティブをとることです。日本は、東北アジアの一国であるばかりか、悲惨な戦争を踏まえて、戦争放棄と武力不保持の憲法を持っています。日米軍事同盟の片棒を担いでいますが、紛争の非軍事的解決のルールづくりに動く資格と責任を有した国です。もちろん日本一国では不十分、韓国と手を組み、A S E A N諸国と連携し、E Uとの連携の模索も重要です。

そのためにも、安保法制を廃止し、核兵器禁止条約を批准し、過去の侵略戦争と植民地支配に対する反省と謝罪が不可欠の前提です。ところが、自公政権は、それと全く逆の道を行こうとしています。 

5.どうすれば、菅改憲を止められる?

 ――市民の力で改憲に終止符を

 菅改憲を止めるためには、市民には2つの課題があると思います。

■コロナに注意しながら、改めて市民の声を

 一つは、コロナに注意をしながら、あらためて市民の声と行動を起こしていくことです。この間、市民はいろいろな工夫をしながら活動していますが、大規模な集会など私たち市民の声が少し減った。これが先に見たような世論調査の結果を生んだ一つの要因ではないでしょうか。工夫をして、市民がもう一回声を上げる、これが第一の課題です。

■都議選、総選挙で改憲勢力を後退させる

 もう一つは、来るべき総選挙で、改憲勢力を追い落とすために市民が頑張ることです。

市民と野党の力で、都議選で何としても自公勢力、改憲勢力を大幅後退させる。

そして総選挙。自公政権を倒すことができれば、改憲の息の根は止められます。最低でも改憲勢力3分の2を大きく割り込ませる。改憲策動は見直しを余儀なくされます。 

■改憲・戦争加担か、改憲阻止・平和への転換か、選択の時

 九条の会17年の歴史の中で、かつてない事態が訪れています。安倍・菅政権の対中軍事同盟強化・戦争加担の体制づくりが続けば、日本が戦争に加担するだけでなく、戦場になる危険が生まれます。

同時に、安保法制と改憲に反対する運動の中で、市民と野党の共闘が前進し、自公政権を倒し改憲に終止符を打つ展望をつくり出しています。

私たちが今そういう時代にいることを自覚して、改憲に終止符を打つために頑張りましょう。そのことを強調して、私の講演を終わりたいと思います。

2021年7月27日火曜日

 菅政権と日米軍事同盟・改憲の新段階

  ――市民の力で改憲に終止符を――

九条の会事務局  一橋大学名誉教授 

                       渡辺 治 

 619日に、九条の会東京連絡会主催の渡辺治さんの講演会が行われました。東京連絡会と渡辺さんのご了解を得て、講演の要旨を2号にわたりご紹介します。

はじめに――安倍改憲から菅改憲へ、新段階に入った改憲 

安倍政権が退陣して菅政権に代わり、アメリカでもトランプ政権がバイデン政権に代わって、改憲が新たな段階に入りました。

菅政権は安倍政権の「3つの悪政」を継承、さらにそれを強め、国民に大きな被害を与えています。

1番目は新自由主義政治によるコロナ対策の破綻、貧困・格差の増大。2番目は軍事大国化と改憲で、本日の講演の本題です。3番目は強権政治と民主主義破壊です。

 本日は、事態の重大性の割に、まだまだ国民にその危険性が知られていない、菅政権の下で新段階に入った日米軍事同盟と改憲問題に焦点を当てて、お話をします。 

1.安倍改憲は何を狙い、どこまで憲法を壊したか? なぜ挫折したか? 

安倍政権時代を振り返ると、2つの特徴があります。

■未曾有の憲法破壊と改憲策動の時代

第一の特徴は、歴代政権ができなかった規模の軍事大国化、憲法破壊と改憲を強引に押し進めた時代だったことです。憲法破壊の中心は、集団的自衛権行使を容認し、安保法制の強行したことです。

〈憲法9条の大きな破壊-安保法制3つの注目点〉

安保法制で、特に注目したい点を3つ指摘しておきます。

1は、アメリカの戦争に武力行使で加担する「集団的自衛権」を認めたことです。

第2は、自衛隊が世界のどこでも米軍に対する後方支援が可能となったことです。

3は、米艦船等を自衛隊が護衛し、かけられた攻撃に応戦できるとしたことです。

〈9条の壁を越えられず、解釈改憲から明文改憲へ〉

 安保法制には市民と野党の共闘による強い反対運動が起こりました。安保法制違憲の声が盛り上がり、安倍政権は、安保法制は強行したものの、9条をそのままにしては、めざす軍事大国化の完成は無理だと思い知らされ、9条明文改憲に乗り出します。17年5月3日、安倍首相は、改憲提言を行い、自民党は、18年3月に「改憲4項目」を党大会で決定しました。 

■市民と野党の共闘が安倍の明文改憲を阻んだ時代

 しかし、安倍政権78ヶ月を、未曾有の改憲策動の時代とだけ見るのは正確ではありません。この時代は、それを阻む共闘の力―市民と野党の共闘が初めて誕生した時代でもあったのです。

14年、「総がかり行動実行委員会」がつくられ、その呼びかけで、55年ぶりに野党の共闘が実現、安保法制に反対する運動が高揚。共闘は、安保法制廃止を掲げて継続し、「市民連合」がつくられ、その呼びかけで、戦後初めて野党が選挙で共闘、16年の参院選で野党統一候補が11の1人区で勝利。このとき参議院で3分の2の多数を改憲派が占めましたが、19年の参議院選挙で、改憲勢力を3分の2以下に追い込んでいます。

 安倍首相は17年に改憲提言を出し改憲に乗り出したのですが、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が発足、3000万人署名を提起し、この圧力で、野党は憲法審査会で改憲を阻むために一致して頑張りました。改憲勢力は衆参両院で3分の2の多数を取りながら改憲を推し進めることができなかったのです。

 確かに、安倍政権下で実質的憲法破壊は大きく進行しましたが、市民と野党の共闘は、安倍明文改憲を阻止し続けた。それだけでなく、この共闘を強化すれば、自公政権を倒して改憲に終止符を打つ政権をつくる展望をも明らかにしたのです。

 2.アメリカの世界戦略の転換と日米軍事同盟の新段階 

 安倍政権時代の、改憲と9条破壊をめぐる攻防のさなかに、日米軍事同盟と改憲をめぐる状況に大きな変化が訪れ、改憲問題を新たな段階に引き上げました。アメリカの世界戦略の転換です。

■アメリカの世界戦略の転換と対中軍事対決へ

1990年、冷戦が終焉し、ソ連・東欧が崩壊、13億人もの人口をもつ中国が市場経済に参入します。アメリカが冷戦の間、追求してきた「自由な」市場拡大の夢が、冷戦の終焉で実現。中国が市場経済になって、アメリカや日本、ヨーロッパの企業が怒濤のように中国に進出。それまで10億人規模だった自由市場世界が40億、50億の世界となり、アメリカや日本の巨大企業が大儲けをする世界がつくられたわけです。

冷戦後のアメリカの世界戦略は、多国籍企業の「自由な」経済活動を阻害するイラクなどの「ならず者国家」や、巨大企業の進出により地域の経済文化を壊されたことに反発する「イスラム原理主義」などの「テロ」との戦争という戦略です。

〈大国中国の台頭と覇権主義〉

 アメリカが侵略戦争に明け暮れる間に、中国が市場経済の中で経済発展を遂げ軍事力を拡大し、大国として登場、とりわけ2012年習近平政権以後、覇権主義的行動を強めるようになりました。

アメリカの覇権主義の目標は、アメリカの巨大企業がどこでも「自由に」活動し大儲けのできる世界を作ることです。進出先の国が独裁政権であろうと「自由な」企業活動が保証されれば支援しますが、その政権がアメリカなどの巨大企業の自由な活動を妨害する場合には容赦なく攻撃し、言うことを聞く傀儡政権に変えてきたのです。

それに対し、中国の覇権主義は、国家目的に沿って、中国の政治的影響力の及ぶ国を増やし勢力圏を目指すという政治的性格の強いものです。中国は途上国などに、大規模なインフラ投資や融資を行い、その条件に中国の政治的立場への支持や特権の容認を求めます。

〈対中国覇権維持・軍事対決戦略への転換〉

現代の米中は、冷戦時の米ソに比べて経済的連携が全く違います。中国も、アメリカ主導の「自由な」市場秩序を前提に参入して経済発展をしてきましたし、米中、日中は、貿易においても投資においても切っても切れない関係にあります。ですから、20世紀前半の列強帝国主義の時代のように、覇権争いが直ちに戦争をもたらすものではありません。

しかし、アメリカにとって、中国の行動は、その軍事力拡大の動きと相まって、アメリカに敵対する排他的勢力圏をつくる動きでありアメリカの覇権を脅かす重大な脅威と映りました。こうして、アメリカは、中国の覇権主義に対抗してアメリカの覇権を維持する戦略に転換したのです。

オバマ政権を過渡期にして、路線転換を明確にしたのがトランプ政権です。トランプ政権は17年早々に新しい「国家安全保障戦略」、18年1月「国防戦略」、18年2月「インド太平洋に関する戦略的覚書」をあいつで打ち出し新たな戦略を明確にしました。

特徴の一つは、アメリカの敵を、「ならず者国家」から中国に変えたことです。第2に、米国がこれまで採って来た、中国の成長を助け国際社会に引き入れるという政策は誤りだったと明言したことです。第3は、対中国軍事的優位を維持するという目標を掲げたことです。

しかし、トランプ政権のときは、トランプ一流の同盟国不信、アメリカ第一主義がありました。

バイデン政権は、対中軍事対決路線をより鮮明に打ち出し、しかも、日米同盟、NATO、オーストラリア、インドとの同盟によって中国を包囲する軍事同盟網の再建、強化路線を採用したのです。 

■日米軍事同盟の強化、新段階へ

 アメリカの世界戦略の転換によって日米軍事同盟は大きく変化した。アメリカの戦略転換に伴い日本に対する要求が、「ならず者国家」と戦うためにイラクやアフガニスタンに派兵して後方支援をしろという話から、対中国の軍事的な包囲網づくりに変わったのです。

〈バイデン・菅政権下で日米軍事同盟の新段階へ〉

バイデン政権が発足し、会談相手として最初に呼ばれたのが菅首相でした。対中軍事対決の最前線を担う〝カナメ〟になるのは日本。バイデンは対中軍事同盟を強化するために、まず日本に「うん」と言わせることが大事だったわけです。

 4月16日、日米首脳会談の日米共同声明は、日米軍事同盟の新段階をはっきりと表明しました。この声明には、5つの特徴があります。

1は、日米同盟の対象を、インド太平洋地域に拡大したことです。「インド太平洋地域」は、日米だけでなく、日英、日印、日独、日豪などの2+2でも共通の対象地域として設定され、米国を要とする多国間の軍事的連携の対象領域となっていることです。

 第2に、中国の脅威をこれでもかという形で明記していることです。特定国を名指しでこれだけ「脅威」と表明したのは、冷戦期でもなかったことです。

 第3に、「日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」、いわゆる台湾条項が明記されたことです。

 第4に、中国の「脅威」に対して日本が、軍事力の増強と日米同盟の役割、任務、能力の分担の見直しを約束したことです。これは非常に重要です。これまで長らく、日米の分担は盾と矛だという合意がありました。すなわち、日本は専守防衛で「盾」の役割を果たし、敵国を攻撃する「矛」の役割は米軍が分担するという合意です。これを変えて、日本も矛の能力も持つという役割分担に改めるということです。

 第5に、日米軍事同盟強化を具体化するために、辺野古の基地を早期に建設し、馬毛島の訓練基地も急ぐということもうたいました。

菅政権は憲法破壊と改憲を新たな段階に引き上げることを約束させられたのです。

〈「台湾海峡の平和と安全」の意味の劇的な変化〉

ではこの共同声明で日米軍事同盟はどのように強化されたのでしょうか。台湾条項を素材に検討しましょう。実はこの台湾条項は、今から52年前、69年日米共同声明以来です。マスコミは、それを強調しました。しかし69年声明と今度の声明には決定的な違いがあります。

1969年の日米共同声明は、沖縄返還を合意した際の声明でした。米軍部は、好き放題で出撃基地としていた沖縄の機能が返還により、阻害されてはならないと主張。沖縄はベトナム侵略のみならず、朝鮮半島有事でも台湾有事でも出撃基地として予定されていたからです。米軍部の懸念に応えて、「ご心配なく」と保証するために入れられたのが、「朝鮮条項」「台湾条項」だったのです。

52年後の声明での台湾条項は、日本が米軍出撃にN Oと言わない約束のみならず、台湾に対する米軍の作戦行動に対しては自衛隊が支援するとの約束をも意味するものとなったのです。9条破壊の新しい段階に入ったということになります。

【以下の続きは東京革新懇ニュース9月号で掲載します】

 

 理念語れぬ五輪は中止、コロナ対策に集中を2020オリンピック・パラリンピックを考える都民の会共同代表

(前新日本スポーツ連盟会長)  和食昭夫


開催の理念が見えない開会式

 723日国立競技場で、東京五輪の開会式が無観客で行われた。さすがに「お祭り騒ぎ」を押さえた「異例の地味な式典」となった。それでも、午後8時から深夜0時近くまで行われ、参加者は、選手6000人、五輪関係者等900人、メディア関係者3500人とされ、これだけで1万人を超え、これに運営スタッフが加わる。緊急事態宣言下のイベント上限は5000人と決めているのに、ここでも五輪特例の「ルール破り」が無神経に行われている。

4回目となる緊急事態宣言が発出され、前日22日には東京のコロナ新規感染者は1979人、首都圏では3000人を超えたなかでの暴挙である。さらに開会式の内容は、国民の命と健康が脅かされている中にあって、何のために、だれのために開催するのか、東京五輪の開催の意義は何かが、私には全く伝わってこなかった。

本来開会式は、それぞれのオリンピック大会の開催の意義と目的を、開催都市とその国の文化と歴史の中に位置づけ世界にアピールする重要な機会である。聖火の最終点火者をプロテニス選手の大坂なおみさんにしたことや選手団の旗手を男女2人で行うなど差別問題やジェンダー平等への一定の配慮はあった。しかし、開会式典からはこれまでの五輪の祝祭感や高揚感はなく心が動かされるメッセージを受け取ることはできなかった。その大きな要因は、大会組織委員会の橋本会長とIOCのバッハ会長の挨拶の内容に象徴されているように思う。 

組織委員会橋本会長

橋本会長は、この間「開催の是非」を問われると「安全安心な大会」ばかりを繰り返していたが、挨拶では一言も触れなかった。他方、国民の過半数以上が開催中止の意思を示していることを無視し「この大会の開催を受け入れていただいた日本の皆様」に感謝の意を述べていた。加えて参加したアスリートに向かって、「お互いを認め、尊重し合い、一つになったこの景色は、多様性と調和が実現した未来の姿そのもの」と語った。しかし、人気タレントの容姿を侮辱した開閉開式演出総括者、障害児の同級生への虐待を自慢するミュージシャン、ホロコーストをコントの題材にした演出調整者など、開閉開式の重責をになっていた人たちが人権感覚の欠如を理由に、相次いで辞任あるいは解任される異常な不祥事について、お詫びも反省の弁もなくスルーした。最後に、組織委員会は、「東京大会を後世に誇れる大会とするようささえる」と締めくくったが、何か「誇れるもの」があるのかを聞きたいものである

IOCバッハ会長

IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長は、「東京五輪が開催できるのは、日本の皆様のおかげです」と慇懃に日本国民を持ち上げた。しかし肝心な、いまなぜなぜ、このコロナ禍で東京五輪を開催する必要があるのかについては何も語らず、選手や五輪スタッフのなかですでに100人を超える感染の陽性者が出ていることへの対策や責任についても触れなかった。そして、205国と地域からオリンピック委員会(NOC)の選手団が「選手村の一つの屋根の下で生活すること」がスポーツの力であり、連帯と平和のメッセージ」だと述べている。しかし、コロナ以前から選手村に入らない選手団もあり、今回はコロナ対策で一切の交流が不可能な中で、どうして「スポーツの力」が育まれるというのだろうか。抽象的な連帯や平和という言葉は語られたが、あまりにも理想と現実の乖離の大きさと傲慢な態度はIOCの会長の資格に欠けていると強く感じた。蛇足ながら、バッハ会長の挨拶は予定時間の倍の13分と長くなったことと併せてすこぶる評判が悪い。

コロナから人々の命と健康を守ることを最優先し、いまからでも東京大会は中止すべき

開会式を目前にしておこなわれた各種の世論調査では、「安全、安心な大会ができると思わない」との回答が60%から70%に上り、朝日新聞調査では「開催に反対」がいまだに55%となっている。専門家からは、感染力の強いデルタ株などのまん延によって、「これまででも最大の山場になる」という危機感が強く指摘されている。にもかかわらず、政府の対応は、ワクチンの接種を巡る迷走の一方、PCR検査の拡大、自粛要請に対する十分な補償、医療機関や関係者への援助など戦略的な対策が行われないことから、国民の怒りの声が広がっている。

こうした中で、東京大会にはたとえ無観客だとしても世界から15千人の選手・コーチはじめ、IOCと世界のオリンピック関係者、メディア、参加国の政府要人、スポンサー関係者など9万人を越える人々が参加する。無観客で選手やスタッフと外部の人との接触を断って生活する「バブル方式」にも無数の穴がありその実効性に欠陥があることが日々明らかになり、完全に接触と感染を防ぐことは不可能であると専門家の方々も断言している。

人と人との交流を断ち切ることが最も有効な感染症対策であり、人々の交流と連帯を目的とするオリンピック運動を同時に進めることはもともと相容れず、東京五輪の中止こそ、最大のコロナ感染種対策である。コロナの収束に知恵と力を尽くすことこそヒューマニズムと平和を希求するオリンピック運動の精神にかなった対応である。

オリンピック憲章は、「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展に役立てることである」と述べるとともに、「スポーツをすることは人権の一つである」と明記している。人権と人の尊厳は、人の命と健康に支えられ実現し発展するものではないだろうか。だからこそ、世界人権宣言は、「すべての人は、生命、自由、及び身体の安全に対する権利を有する」と謳っているのだと思う。オリンピック運動の存在意義を再確認し擁護する立場からも、今夏の東京五輪は、一日でも早く中止することが正しい選択だと考える。

 選手たちの真剣なプレイを楽しみ激励することと、今日の事態を招いた関係組織への批判を区別して対応を

 「始まった以上は選手たちの健闘を期待し応援する」という感情は当然のことだと思う。しかしこのことと、専門家や国民の声を無視して、何が何でも開催を強行しているIOC、政府、組織委員会、東京都に対しては、選手への思いとは別の次元の問題として対処していく必要がある。開催の是非と運営に責任を持つこれらの団体や機関が、「4年に一度、」「生涯で一度」の目標の場という選手の思いを隠れみのにして悪用し、自らの責任をすり替える態度を許してはいけない。さらに、マスコミの報道もメダルの獲得とその成功物語に偏ったこれまでの五輪報道を大きく改めることが求められている。五輪とは何か、スポーツとは何かを国民みんなが考える機会とすることに寄与する報道を心から期待したい。選手たちも「祝福されない五輪」への出場を余儀なくされた原因が何であったか、社会や人の命と五輪をどのように考えるか、などアスリートならではの視点で自由に大いに発信して欲しい。 

コロナ禍で可視化された五輪運動改革の課題を考える

オリンピック運動は、単なるスポーツの祭典、競技大会にとどまものではない。これまでも様々な間違いや弱点を抱えながらも、世界の人々の平和、人権、民主主義そして人類の進歩の努力と結びつき、相互に影響し合って、より良い平和な世界の実現に貢献する世界最大の教育的・文化的な運動であり制度として受け継がれてきた。

この歴史的遺産を継承し、コロナ禍の新たな状況対応し、これまで見過ごされてきたオリンピックの課題(別表)にメスを入れ、新たな五輪運動の課題と方針について、抜本的な検討が必要になっている。その課題を列挙すると以下の通りである。

①オリンピック憲章の目的と使命に立ち返った開かれた討論。

②アスリート・ファーストと市民スポーツの共同と連携。選手の人権を保障し、限界を超えた商業主義への民主的規制をすすめる。4年に1回のオリンピック競技大会でのメダル争いだけでなく、ユース五輪などをはじめ、世界の多様な市民スポーツ・草の根のスポーツ運動との共同と連携を強化する。

③開催都市の負担を軽減する開催方式の抜本的な検討。規模の縮小、複数国開催、ブロック規模の共同開催、夏冬の開催地の恒久化と国際的な管理、男女混合種目・チーム、国際合同チームによる競技方式、夏季・冬季の開催種目の弾力的な調整。ジェンダー平等の推進。

④放映権料への過度な依存からの脱却。開催都市誘致コンサルタントの介入を排除し、利権・腐敗の一掃をはかる。

⑤IOC機構の改革、IOC委員の選出基盤の民主化。IOC関係役員の接遇の廃止。

⑥IOC、NOC(JOC)関係者とスポーツの市民運動の討論の場の創設。

⑦「持続可能なオリンピック運動の改革構想」を検討し、提唱する。

⑧スポーツの市民運動の強化と国際的な連帯の発展をはかる。 

オリンピック運動の再生の出発点に

2020オリンピック・パラリンピックを考える都民の会(オリパラ都民の会)は、20142月の発足以来、東京五輪が「真にオリンピック憲章に則った競技大会となることを願い、だれからも支持されるものとなるよう提言(会の目的)」し活動してきた。そして、IOCや組織委員会などに、既存の競技施設の利用、経費の節減、酷暑を避ける開催時期の変更、情報公開の徹底など具体的な提案と要請を行ってきました。こうした経験を生かし、すべての都民、労働組合、市民団体、広範なスポーツ関係者の皆さんとともに、東京五輪の今夏の開催の中止をあくまでも主張し続け、コロナ感染症対策に全力を集中し、都民の命と健康守る取り組みを共に進めていきたい。

2021725日記)

 都議選 力を発揮した市民と野党の共闘

 都議選では、自治体議員選挙で歴史的にはじめて市民と野党の共闘でたたかわれました。2つの選挙区、小金井選挙区と日野選挙区を紹介します。 

小金井 1人区で勝利

 漢人明子候補は、早くから立候補を準備し、緑の党東京の共同代表として都知事選で宇都宮候補を共産党、立民党、社民党などと推し、共同への信頼関係に努力。今回は共産(政策協定締結し全都唯一の共産党推薦候補)、立民、社民、新社会、緑、ネットの共同候補になりました。

枝野立民代表、福島社民党首、吉良共産議員、宇都宮弁護士、宮子あずささん、松下武蔵野市長、保坂世田谷区長などが応援、更に市議の過半数が支持し、市民選対中心に幅広い共同が広がりました。

自民党の広瀬真木候補は、早くから長島昭久18区候補とタッグを組み運動。自民は1人区の武蔵野、小金井を重点区に指定、河野、丸川、西村各大臣、幹部クラスを続々投入しました。

最終日は対照的な取り組みに。漢人候補には立憲民主党菅議員(18区選出統一候補)、社民党福島党首、看護師宮子あずささんが応援に入り、応援市議の訴えもありました。

特徴的な取り組みは最後の武蔵小金井駅で行われた市民選対の20名市民リレートーク。涙あり、笑いあり、市民、立憲野党の共同の取り組み、漢人候補へのそれぞれの思いが語られ、大変盛り上がりました。

広瀬候補には、加藤官房長官、長島昭久氏が応援。

結果は、漢人候補が、自公広瀬候補、現職都民ファ候補に大差つけ勝利。1人区での勝利は、総選挙に大きな力を与える結果になりました。

日野 市民応援団が活躍

日野(2人区)では、市民と野党の共同候補、共産党の清水とし子さんが自民現職を抑え当選。市民・野党の共闘の要の役割を果たしたのが、「市民応援団」でした。独自の事務所を構え、4月の市長選で大健闘した有賀精一さんや弁護士、市民が参加しました。 

連日とりくんだイオンモール前の宣伝では、「日野市の不正に都議会からメスを」「オリンピックは中止しコロナ対策に全力」などと生声で呼びかけ、対話を広げてきました。有賀さんが立ったところでは、「市長選惜しかったね」と声がかかり、市民が足を止めて対話が続きました。街頭宣伝で支持拡大が広がるのが市長選以来の定番となりました。

共産党の政党カーは、日野では市民応援団が運行しました。共産党の旗は掲げずに市民応援団の横断幕を貼って宣伝。弁士も、有賀さんや無党派の市民がマイクを持って訴えました。中には、「私は共産党でもないし、特に支持しているわけでもない」と断りつつ、清水さんを市民と野党の共同候補として応援する方も。共同の広がりを市民に示す宣伝となりました。

 市民応援団が野党各党に呼びかけた「市民・野党の共同街頭演説」は、告示前から投票前日までに6回取りくまれ、告示日第一声も共産党ではなく市民応援団が主催しました。立憲民主党と共産党との共闘に横やりが入るなか、市民応援団の要請で立憲の国会議員が何度も応援に入りました。街頭での共同宣伝に野党4党の旗が並んで立ち、市民の注目を集めました。


2021年6月1日火曜日

 横田基地 危険な超低空飛行訓練の常態化


横田基地の撤去を求める西多摩の会
 寉田一忠

 治外法権的に日本に持ち込まれたオスプレイ

2012年の夏、初年度分のオスプレイ12機を普天間基地に配備するため、船に積まれたMV22オスプレイが太平洋上を航行し、岩国基地に運び込まれようとしていた時期、「危険な欠陥機を持ち、込み沖縄の空を飛び回わらせることなど許せない」という声が沖縄県内で急速に広がりました。その年の5月に防衛省から配られた米軍発行の「環境レビュー」の中で、オスプレイの飛行訓練コースに指定された全国の該当する県の知事や自治体からも、反対や疑問の声が上がっていました。

このときある知事の発言に注目が集まりました。「オスプレイが人口密集地で治外法権的な運用が可能であることを、地域住民や行政を預かる者が『ハイわかりました』と言うはずがない」 「米軍が何でも持ち込めるというのは、どう見ても信じがたい。日米安保条約・日米同盟以前の話だ」。

これは、翌13年12月末に、安倍官邸に呼ばれた後、辺野古新基地建設工事容認に転じ、「これで良い正月が迎えられる」などと言って、沖縄県民を裏切り怒りをかった、仲井真沖縄県知事の発言です。この時期の仲井真知事の沖縄県知事らしいまともな発言を支えていたのは、当時10万人規模の県民大会を準備し、「オール沖縄」へ動き出していた、沖縄県民の圧倒的なCV22オスプレイ配備反対の世論であったことは明らかです。

こうした力に押され、一定の飛行制限を話し合う場として「日米地位協定」に基づく「日米合同委員会」が開かれ、「住宅地、特に学校や病院・公共施設などの上空は飛行しない。」「可能な限り海上を飛行する」などが申し合わされました。

しかし、狭い日本に持ち込まれたら住宅地を避けて飛行することなど不可能であることは、岩国基地で行われた試験飛行であっけなく明らかになりました。

米軍には元々地位協定で日本の航空法が適用されませんから、取り決めなど無視して飛行することが常態化しているのです。

米国本土では米軍の飛行訓練は、住宅地上空などでは当然ながらなされていませんし、オートローテーション機能がない欠陥機オスプレイは、航空法で飛行が禁止されています。自国でできないことを、なんでも言いなりになる日本でやっているのです。 

横田基地周辺一帯で連日轟音とどろかせる米軍機

横田基地は内陸にある基地です。飛び立てばそこは住宅地です。学校もあれば病院も保育園もあります。米軍は言い訳のように訓練空域などを決めていますが、実際には訓練空域などどこ吹く風で、特殊作戦機CV22オスプレイ・輸送機C130Jの異常な飛行が繰り返されているのが実態です。

特殊作戦機CV22オスプレイは日米合意など知らんと、基地周辺の福生市・羽村市・瑞穂町・昭島市で、ヘリモード、変換モードで住宅地上空を低空飛行し、基地に戻るとホバリングを続ける無法ぶり。抗議の声を無視し、機関銃の銃口を突き出し、夜間になっても訓練は続けられ、基地近くの住民からは、爆音と振動で「窓がふるえる」「テレビが見られない」「うるさくてねられない」などの抗議の声が上げられています。

輸送機C130Jは連日のように轟音をとどろかせ、東京西部の緑豊かな日の出・あきる野・五日市・青梅で、さらには奥多摩湖上空でも、山すれすれに飛び回っています。

どこもかしこも低空飛行が当たり前、急旋回、急降下、急上昇も何でもあり。だから直下に生活する住民にとっては全くひどい状態となっています。

こんな中、4月初めに五日市の住民から、買い物帰り「急降下して来て一瞬墜落するかと恐怖が走った」と言う切実な声が届きました。こんなことは決してあってはならないことです。             

返ってきた答えは「飛行機は落ちます」「基地周辺も訓練場です」

いま全国で、北から南から米軍機による低空飛行が大きな問題になっています。その多くは横田基地から飛び立ったC130JとCV22オスプレイであり、沖縄まで出向いて「外来機が住宅地上空で低空飛行」「嘉手納基地で危険な降下訓練実施」などと大問題になっています。

ご存知のようにオスプレイは欠陥機であり世界1危険な航空機といわれており、墜落の危険が常につきまといます。横田基地を抱える地元東京における追及の声が十分でないことをいいことに、米軍の横暴勝手が全国へ拡大し、繰り返されているような気がしてなりません。

最大の問題は、これほど日本国民・都民・地域住民の暮らしの安全といのち=人権が軽んじられているのに、政府も東京都も米軍に抗議することなど考えられないという姿勢だということです。かつて地元の住民が平和委員会と共に、欠陥機オスプレイの危険性と、住宅地上空を使った異常な飛行について防衛省に出向き、これを質したとき、返ってきた答えは「オスプレイに限らず航空機はいつか落ちます」「基地周辺上空は米軍の訓練場です」という驚くべきものでした。

主権国家であれば、外国の軍隊に首都の住宅密集地上空を戦争の訓練場に差し出すなどということは考えられないことです。日本は恥ずべき従属国家です。 

4月の日米首脳会談で一層明らかとなった米軍基地の危険性

4月の日米首脳会談で、台湾問題が重要な新たな軍事的危機をはらむ問題として急浮上しました。浮上した台湾問題とは何でしょうか。

米政府は、今年1月「インド太平洋における戦略的枠組み」と題する機密文書を、異例にも30年も早めて公開しました。その狙いは、次期バイデン政権に対して「強固な対中姿勢を前面に押し出し、強硬路線をとらせる」ことでした。

中国は、台湾を領土・主権に関する「核心的利益」に位置づけ、「譲れない一線」としています。一方米国は、台湾への武器売却や政府高官の往来を進め、台湾海峡に艦艇を派遣するなどを繰り返してきました。

こうした中、ロシアが冬季ソチ五輪の後クリミヤ半島を一気に併合したように、来年の冬季北京五輪の後に「台湾有事」の危険があるとか、「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」(米議会での米インド太平洋軍司令官の証言)など、危機感をあおる動きが強まっています。

こうした中、米国にとって台湾有事に備える重要な軍事的拠点が、日本に置かれた米軍基地群であり、自衛隊の基地群であることは明らかです。とり分け重要な基地群が「第1列島線」上に造られた奄美大島や、宮古島・石垣島などの沖縄南西諸島につくられた自衛隊ミサイル基地群です。

米国は、現在の軍事力では中国を抑え込むどころか、対等に渡り合うことも難しいと分析し、中国大陸を射程に入れる中距離ミサイルをここに配備するか、日本に買わせるか検討しているといわれています。日本が中距離ミサイルで武装したら本当に安全が守られるでしょうか。

台湾有事は、実態としては米中戦争ではなく、日中戦争になると危惧されています。

何か突発的な出来事で、米軍のミサイルが日本の領土から中国・台湾に向かって発射された瞬間から、たちまちこれは日中戦争に転嫁し、大量の超高速最新鋭の中国のミサイルが沖縄の基地に打ち込まれるだけでなく、日本列島の米軍基地に打ち込まれ、周辺の住民が巻き込まれ、大惨事となる危険があるのです。

横田基地が例外になることはありえません。在日米軍・第5空軍司令部・特殊作戦司令部・航空自衛隊航空総隊司令部などが置かれている横田基地が、最も危険だということはだれでもわかることでしょう。

こうした危険な事態を防ぐには、辺野古基地建設の強行、馬毛島に軍事要塞を作ること、南西諸島への中距離ミサイル配備を止め、膨大な無駄遣いである敵基地攻撃能力保持を断念し、平和憲法を持つ国として、外交力を発揮し、戦争ではなく話し合いで解決すること以外に道はありません。 

軍事同盟なくし、安心して暮らせる東京・日本を

東京全体では多摩地域にある横田基地周辺での異常な訓練への関心は、それほど大きくありません。一方、都心部にある麻布へリ基地(赤坂プレスセンター)で繰り返される米軍ヘリの超低空飛行は深刻ですが、西の三多摩方面ではあまり知られていません。最近都心部での米軍ヘリによる低空飛行が大きな問題となっています。軍用ヘリがまるで遊覧飛行のように都心部を飛び回っていることに、怒りの声が上がっています。

さらに、羽田空港への都心上空を使った民間機の分刻みの超低空飛行問題は、23区方面では大問題です。東京の西と東で米軍機・航空機による騒音・墜落の恐怖が社会問題になっています。

都民の命と安全を脅かしているのはコロナだけではありません。オスプレイが飛び回る下でオリパラなどとんでもない事です。恥ずかしくて世界からお客さんを招くなど、資格がありません。

都民は心を一つに手を結び、こんな危険なことを許し続けてきた都政も国政も、政治の根本を大転換させ、軍事同盟を打ち破るため力を合わせましょう。         

2021年5月21日金曜日

全国革新懇第40回総会・40周年記念の夕べ5月15日

 全国革新懇第40回総会・40周年記念の夕べ開かれる

 5月15日、学士会館で全国革新懇第40回総会と40周年記念の夕べが開催され、オンラインで各地からの発言もありました。

 総会では池田香代子さん(代表世話人)が開会挨拶。 (動画紹介)     

小田川和義さん(代表世話人)が報告と提案を行い、10人が発言しました。

小田川和義さんの報告と提案(動画)

発言の一部を紹介します。

※小松泰信さんの挨拶・発言(新代表世話人・岡山大名誉教授)

今井文夫東京革新懇事務局長発言


全国革新懇40周年記念の夕べ
記念の夕べでは、杉井静子弁護士が開会挨拶。革新懇40年のあゆみのビデオ上映、海老名香葉子さん、中野晃一さん、望月衣塑子さんが祝辞を述べました。志位和夫代表世話人(日本共産党委員長)が「市民と野党の共闘と革新懇運動の40年」と題して記念講演(you tube・ユーチュウブで見ることができます)。
閉会挨拶を小林節さん(慶大名誉教授)が行いました。
※開会挨拶 杉井静子さん(代表世話人・弁護士)

※海老名香葉子さんの祝辞
※中野晃一さんの祝辞(上智大学教授)
※望月衣塑子さんの祝辞(東京新聞記者)
※小林節さんの閉会挨拶
※革新懇40年の歩み(ビデオ)