2023年2月1日水曜日

東京革新懇第31回総会発言

 丁 弘之(府中革新懇)

 統一協会系教団とのたたかいで今年スタート。行政にも働きかけてきた。市民連合呼びかけで学習会開催、「府中に統一協会系カルト教団はいらない」組織を立ち上げ、24日にパレードを行う。 防衛施設庁から、立川自衛隊基地でオスプレイ訓練の連絡が周辺8自治体にあり、自治体協議会が意見書提出。府中は8市でないが、木更津から多摩川を進み、府中を通ることが考えられる。市民の安全の問題として取り組む。 小選挙区の区割り変わり、府中、多摩、稲城が新30区となる。明日、3市の市民連合が最初の協議を行う。 

田辺良彦(共産党都委員会)

 戦争か平和かの歴史的岐路で通常国会が始まった。大軍拡に主要政党が対決する立場に立てずにいる。日米同盟強化が不可欠との立場に縛られている。革新懇の役割が大だ。対話と共同による安全保障の実現を国民の中に大きく広げていくことが強く求められる。共産党の歴史と意義をかけてたたかう。 統一地方選、22206町村で議員選挙、200人余の候補の全員当選めざす。首長選挙1242町村。中心政策一致の上に共同めざす。 共産党の最大の課題は大きな党をつくることだ。その力で共闘を再構築し政治の変革を実現したい。


佐藤正勝(都市銀行関係革新懇)

 決算報告と予算の組み方について意見を申したい。(今井事務局長がまとめで、領収書のチェックは行われていること、予算書の組み立ては検討するとの答弁)。





佐久間千絵(新婦人都本部)

 新婦人都本部は、120日に全都一斉宣伝、15支部が小中学校給食費無償化と18歳以下医療費の無償化を掲げ宣伝。2つのタペストリーを作った。打って出ているところで会員も増えている。戦争させない、平和の準備進めていきたい。 




青木 清(目黒革新懇)

 ジェンダー平等、働く女性の環境をつくることから始めるべきだ。20世紀後半、オランダはヨーロッパの病人と言われ疲弊した経済だった。同一労働同一賃金にし、奇跡と言われる復興、ジェンダー平等に踏み出した。日本の経済が落ちている中で、女性の働き方改革が重要だ。 性教育には、ユネスコが定めた国際的基準がある。日本は20年以上前の七尾養護学校バッシングから後退。共産党区議が質問し、目黒教育委員会が検討と答弁。ジェンダー平等の枠組みの中で本格的性教育は必要だ。 


松元忠篤(東久留米革新懇)

 革新懇は常に共同をすすめることが大事だ。東久留米では、改憲問題で共同を広げようと、「戦争はイヤ!声をあげよう実行委員会」主催で、106日、政党・団体・個人参加の懇談会を開催。自公、維新以外の会派と市内の団体に参加を呼びかけ、社民・共産市議、地区労、土建、9条の会、原発なくす会、社保協、年金者組合、新婦人など16人参加。122日の「軍拡は戦争への道、税金は国民生活に!」の集会パレードに先の団体に加え市民連合、民商、国民救援会も賛同140人参加。女子中学生4人も参加。


川本 明(立川革新懇)

 自衛隊オスプレイは佐賀空港で反対され木更津になったが、5年の契約で3年経過。立川自衛隊基地での訓練が出されている。一回そうなると止められない。木更津は海に逃げられるが、立川はまわり全部住宅街だ。人の命を非常にかるく考えている。今日立川駅で宣伝。まだ住民は自分の問題として考えていない。明日立川革新懇総会で議論。具体的行動を進めたい。 



磯崎四郎(日野革新懇)

 立川自衛隊基地のオスプレイ問題、目的に人員物資輸送機動展開訓練、日米協議で出てくる文言だ。横田基地オスプレイとの共同だ。問題を指摘して運動をつくる。2年前の市長選で1685票差まで追い上げた。争点は元副市長の不正問題。4回の全戸配布、3回の署名に取り組んだ。12月議会には百条委員会設置の請願。与党支持者の突き上げあり、与党内でゆらぎが出ている。市立幼稚園の民営化反対の5000筆の請願は全会一致で継続審議に。不登校の子ども家庭への支援は与党の一部も賛成し採択。自民党のボスが経営者の保育園の児童虐待ももみ消せなくなっている。学校給食の無償化など、若い世代の要求の運動に力を入れたい。


星 憲彦(三多摩革新懇)

 毎月の世話人会では、各地域、団体からの報告・交流に時間をとり、互いに刺激になり遺書に宣伝行動等頑張っている。三多摩革新懇も事務局に入っている「九条改憲NO!三多摩市民アクション」や「革新都政をつくる会・三多摩連絡会」も積極的にかかわり、三多摩での統一地方選を頑張りたい。オスプレイ問題や有機フッ素化合物問題など米軍基地問題も頑張る。 



川和田 博(北区革新懇)

 改憲勢力が3分の2を超えた中で、「戦争はいやだ北区ネット」を立憲、共産、新社、区内38団体で立ち上げた。革新懇も事務局団体。北区ネット主催の集会とパレードに250名が参加。「安保三文書」撤回を求める新春宣伝は王子で40名、学習会に60名参加。「みなせん@東京12区」は、区長選で「区民の声を聞く区長」実現めざし取り組んでいる。対立陣営から4人出る。こちらも早期擁立めざし頑張っている。2月の革新懇総会で、戦争する国づくりを許さない決意を固め合う。


皆内マサ子(西東京革新懇)

 西東京革新懇は、毎月事務局会議と世話人会議開催、ニュースも発行。学習会も年3回。キャラバン宣伝や毎月3日共同行動アクション展開。選挙区が変わり再構築する。12月に市議選。自民は10人から8人。公明5人で自公過半数取れず。今まで共産、立憲、生活者ネット、無所属議員が一緒に宣伝行動、引き続き追求したい。母親大会は群馬・埼玉で全体で14000人、現地参加3500人。東京母親大会は浅草公会堂900人参加で成功した。今年は町田で12月に東京母親大会開催する。


木下雅英(都教組)

 教育の介入が強まり、経済競争に勝つ人材育成、従順な人づくり推進。子どもたちが追い込まれ、自己肯定感が下がり続けている。教職員は管理統制、競争と分断で疲弊、教員志望が激減。教育のデジタル化でデジタル技術指導員のようになってきている。小池都政では、稼ぐ東京と国際金融都市づくりの人材育成に予算を付けている。英語スピーキングテストもそうだ。中止を求め運動強める。一方、35人学級は不十分ながら実現、オリパラ学校観戦も止めた。安倍国葬への参加を阻止した。平和と子どもと教育を前進させていきたい。 


児玉紀子(足立革新懇)

 大軍拡・大増税を許さない共同を大きく広げる一点で、学習と宣伝に努力、ロシア侵略以来20回宣伝行動、225日にも予定。24日には布施祐仁さんの学習会を大きく成功させ、運動に弾みをつけたい。学校給食無償化実現署名で9400筆集め、区議会に提出。区長が態度を変え、教育長も出来るだけ早く実現させると議会で答弁。足立では統一協会アンケート作成、足立選出の都議と区議全員に来週月曜日に発送。記者会見で発表する。暮らしを守る運動、大軍拡・大増税を許さない運動を進める。 


千田 昇(町田革新懇)

 安保三文書がまとめられ、ミサイルを地上、船、戦闘機、潜水艦から撃つ。すぐに間に合わないからトマホーク500発をアメリカから買う。戦争か平和か、対立の年になる。肝を据えて頑張りたい。

東京革新懇第31回総会

大軍拡を許さない国民的共同を広げよう

    東京革新懇第31回総会開催

 128日ラパスホールで東京革新懇第31回総会を85人の参加で開催。「大軍拡を許さない国民的共同を広げよう」をスローガンに、アメリカの要求に従う対中国に向けの軍備大増強との正面からのたたかいの議論の場となりました 

記念講演―外交こそ重要 

        猿田佐世さん

          新外交イニシアティブ代表


 新外交イニシアティブ代表の猿谷佐世さんが「東アジアで戦争を起こさせない環境づくりを」と題し記念講演。「ウクライナ戦争の教訓は、戦争させない環境づくりだ。ロシアや北朝鮮、中国との関係でも日本一国で戦争になる理由はない。日本が戦争になのは、米中紛争である台湾有事に巻き込まれたときのみだ。

 力を落とす米国の主たる対中戦略は同盟国との連携だ。これに安保三文書改訂でストレートに答えた。戦争の国民の被害、日中貿易断絶等の影響を全く語らない愚かさだ。

 米中対立の主戦場の東南アジアで、アセアンは、米中一つの選択を望まないと押し出し影響力を発揮している。   

日本は、ミドルパワーの国として、各国8と連携し米中対立緩和を呼びかけるべきだ。(詳細は3月号で報道)

開会挨拶ー今なら間に合う

         野澤裕昭代表世話人

             (自由法曹団東京支部長)


野澤裕昭代表世話人(自由法曹団東京支部長)が開会挨拶。日本は戦争か平和かの分かれ道に差し掛かっている。かつて、渡辺白泉は「戦争が廊下の奥にたっていた」と詠んだが、いまや戦争が「表玄関」から堂々と入ってこようとしている。今なら間に合う。追い出して扉を閉めなければならない。どのようにしたら東アジアでの平和構築は可能になるのか憲法9条の理念に沿った外交のあり方について、猿田佐代さんの講演で示された方向での具体化を求めていくのが、今後の課題になる」。



政党挨拶

鈴木庸介
立憲民主党衆議院議員

「国政では根拠のないことがまかり通っている。極みは防衛費のGDP2%だ。しっかり正していかなければならない。法務委員会に所属し、入管法改正が最大の対決法案。在留資格のない外国人にこんなひどい国はない。今の政治にリベラルな枠組みが絶対必要だ。その立場で頑張りたい」





大山とも子
日本共産党都議団団長

「都民の暮らしが大変な状況だ。豊かな都の財政を都民のための使うことを求めていきたい。来年度予算で子育て支援を重視しているが、その目的は国力の先細り対策としている。都議会でも野党共闘が進んでいる。英語スピーキングテストでも共同して取り組んだ。都議会でも市民と野党の共闘をすすめたい。 




挨拶 戦争を止めよう  

小田川義和

全国革新懇事務室長が挨拶

小田川義和全国革新懇事務室長が挨拶「かつて沖縄連帯の集会を全国で開催した。沖縄での戦争準備が進むもとで、再び連帯が求められる。大軍拡・大増税NOの署名を広げ、国会を包囲し、保守系の議員の皆さんにも働きかけを強めよう。一人一人ができることを積み重ねれば戦争を止めることは出来る」。 

大きな構えのたたかいを

今井文夫事務局長方針提案「安保三文書は、戦後最大の大転換、大きな構えのもとに大規模なたたかいと広大な共同をめざす。戦争はダメとの考えは、保守層を含め多くの人の共通認識。これまで運動にかかわってこなかった人々(青年層や保守層など)とどう共同を広げることが出来るかにたたかいの成否がかかる。各自治体地域で1000人、2000人賛同アピール運動、街頭でのシール投票で対話と運動への呼びかけ、大学・高校門前宣伝と対話、活動している方のお子さんやお孫さん、周りの方への正面からの提起、各地域等の教訓を学び合い、推進しよう」と提起。

 14人が活発な討論(参照)。議案、総会アピールが満場の拍手で確認。 

閉会挨拶 運動に打って出よう


白滝誠代表世話人(地評副議長)が閉会挨拶。「席が足らないくらいの多くの方の参加があった。実質賃金が8か月低下している。23春闘で大幅賃上げ、大軍拡・大増税を許さない、社会保障拡充を掲げ、23月各地で運動で打って出たい」。 

2023年1月28日土曜日

東京革新懇第31回総会 記念講演猿田佐世さん

 記念講演

「東アジアで戦争を起こさせない環境づくりを」

      猿田佐世さん(新外交イニシアティブ代表)

              講演動画1

  
講演動画2
講演動画3





2022年12月13日火曜日

大軍拡反対の国民的運動を

 安保関連3文書改定の危険とは?

平和と暮らし破壊する大軍拡反対の国民的運動を

  日本平和委員会事務局長 千坂 純

  日本をアメリカと共に戦争する国へと大転換する安保関連3文書について千坂さんに寄稿していただきました。

  岸田政権は日本の「安全保障」の基本方針となる「国家安全保障戦略」と「防衛計画の大綱」(防衛力のあり方と保有すべき防衛力の水準)、「中期防衛力整備計画」(軍拡の具体的計画と額)の「安保関連3文書」を改定し、これまで憲法9条の下で「保有できない」としてきた「敵基地攻撃能力(反撃能力)」を保有し、軍事費を今後5年間で倍増する計画を16日にも閣議決定しようとしています。

 歴代自民党政府は、憲法9条の下では相手から武力攻撃を受けたとき、初めて防衛力を行使し、防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るとする「専守防衛」の立場を建前とし、「他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器」の保有は「憲法の趣旨ではない」(1959年、伊能繁次郎防衛庁長官)としてきました。こうした制約を取り払い、アメリカとともに他国を攻撃できる軍事力を保有し、それを使えるようにしようというのです。

 政府が「安保関連3文書」作成の「参考」にするとした「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」報告書(1122日提出)には、「反撃能力(※筆者注=敵基地攻撃能力)の保有と増強が抑止力の維持・向上のために不可欠」と明記しました。そして、「今後5年を念頭にできる限り早期に十分な数のミサイルを装備すべきである」としています。さらに、できるだけ長く戦争できる「継戦能力」(弾薬、燃料、医療体制など)を強化し、省庁間の「縦割りを打破」して、大学・民間の科学技術を軍事技術開発に動員。民間の空港や港湾などの公共インフラを軍事利用できる体制を平時からつくり、避難施設(シェルター)を全国で整備。さらに、「防衛装備移転(武器輸出)原則の制約を除去して、殺傷兵器も輸出できるようにする。「防衛力の抜本的強化をやりきるために必要な水準の予算上の措置をこの5年間で講じる」。そのために「国民全体の協力」、「幅広い税目での負担を」求めています。まさに、国力を総動員して、アメリカと共に他国を攻撃し、国土が戦場化することも想定した戦争態勢づくり推進の提言です。

これを土台に進められている自民・公明の与党協議では、123日に「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有で合意しました。報道によればその合意では、「自衛のための必要最小限度」の措置として「他国領域での武力行使」もできるとし、「攻撃対象は『指揮統制機能』も含む。具体的には事態に応じて判断する」としました。しかも「日本が武力攻撃を受けていなくても、相手国が攻撃に『着手』したと判断すれば行使できる。『着手』したかどうかは事態に応じて総合的に判断」するというのです。時の政府が「相手が攻撃に着手した」と判断すれば、他国を攻撃できることになり、国際法違反の先制攻撃に道を開く危険な方針です。さらに、これは集団的自衛権行使を可能にした安保法制(戦争法)にも適用され、日本が攻撃されなくてもアメリカとともに相手国領土を攻撃することが可能になります。 

背景はアメリカの軍事戦略と対日要求 

こうした軍事態勢づくりの背景にあるのは、アメリカの対日要求です。例えば、日本に憲法9条改悪や集団的自衛権行使を求めてきた米国の超党派対日要求グループの提言書「アーミテージ報告」第5次提言(2020127日)は、安倍首相(当時)の下で集団的自衛権を行使を可能にした日本の次なる課題として、「反撃力」の保有を挙げていました。「日米同盟の歴史の中で初めて、日本は、対等な役割を果たしている。日本のリーダーシップを奨励し、より対等な同盟から最大限の価値を引き出すことは重要な課題である」「今後は、役割、任務、能力に関する大きな議論の中で、反撃能力とミサイル防衛が重要な課題となる」と。

この方向に沿う形で、当時の安倍首相は退任間際の2020年9月11日に勝手に「首相の談話」を発表。その年のうちに「ミサイル阻止のための(敵基地攻撃能力保有の)新方針策定を」と菅次期首相に託したのです。しかし、菅首相はそれを果たさぬまま一年で退陣。安倍元首相の後ろ盾で首相になれた岸田首相が、いまその果たせぬ宿願を実行しようとしているのです。肩を並べて米軍と共に戦う「血を流す同盟」をめざしてきた安倍政治の継承そのものです。

そして、202217日の日米安全保障協議委員会共同発表では、「日米両国は戦略を完全に整合させ、…共同の能力を強化する決意を表明」。「ミサイルの脅威に対抗する能力(=敵基地攻撃能力)を含め、国家防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する」ことと「防衛力を抜本的に強化する決意を表明」したのです。いま進められているのは、この対米誓約の実行です。

この共同発表では、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し」「地域における安定を損なう行動を抑止し、必要であれば対処するために協力することを決意した」とも明記。これは、台湾の独立をめぐって米中が軍事衝突した場合、日本も「(米軍と共に)共同で行動する意思を…最高レベルの協議機関で正式に表明したという重大な意味がある」(防衛大学校教授・神谷万丈氏『正論』3月号)のです。

米政府が敵基地攻撃能力の保有・増強を日本に求める背景には、この台湾周辺での軍事態勢強化の思惑があります。米国はこの地域では、中国の中・短距離ミサイル戦力に後れを取っていると認識し、九州から南西諸島、台湾にかけた、いわゆる「第1列島線」沿いに、米軍と自衛隊の中・短距離ミサイルを増強しようとしているのです。この中で米軍は、いま開発中の核・非核両用の陸上配備中距離弾道ミサイルの配備も進めようとしています。また、米海兵隊は、小編成の部隊で島嶼などに着上陸して攻撃の拠点「遠征前方基地」(EABO)をつくり、そこから高機動ロケット砲システム(HIMARS)などで中国の艦艇や航空機を攻撃し、また別の島嶼に移るという作戦構想を進めています。こうした作戦に自衛隊が参加する日米共同作戦計画も策定、それに沿った日米共同演習が頻繁に行われています。

敵基地攻撃能力とは、こうしたアメリカの戦略に自衛隊が組み込まれ、米軍と共に敵を先制攻撃・全面攻撃する態勢をつくるものなのです。それは「日本を守る」どころか、アメリカの戦争に加担し、沖縄・南西諸島と日本を(核)戦場にしていく道だと言わなければなりません。

ミサイル1500発など大軍拡と米軍との一体化

 このために「できる限り早期に十分な数のミサイルを装備する」(有識者会議報告)というのです。アメリカがイラク戦争などで先制攻撃に使ってきた射程1650kmの巡航ミサイル・トマホークを500発購入することをはじめ、長射程ミサイルを今後10年間で1500基以上配備すると報じられています。長射程ミサイルの開発・配備の中心に据えられているのが、陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾能力向上型です。現在射程200km程度のものを中国本土に届く1000kmから1500kmの射程へと延伸し、陸の移動式発射台からだけでなく、戦闘機からも水上艦からも、さらには潜水艦からも発射できるようにしようとしています。陸上配備型は量産を開始し、九州・南西諸島に1000発以上配備することを検討しています(読売新聞8月21日)。さらに、事実上、弾道弾ミサイルの機能を持つ高速滑空弾も、射程1000km超にします。音速の5倍以上の高速で低空を飛行する極超音速誘導弾も開発し、射程2~3000㌔をめざす(毎日新聞1125日)。整備費も含めると66兆円の巨費を支出してアメリカから147機購入するF35戦闘機に射程500kmのミサイルを搭載し、F15戦闘機約50機には射程1000kmのミサイルを搭載するなどなど…。

1125日の毎日新聞は、ミサイル配備の第1段階として、射程1000km(12式地対艦誘導弾改良型)のミサイルを南西諸島に配備。第2段階として、「島嶼防衛用高速滑空弾」を含む射程2000kmのミサイルを富士山周辺の陸自駐屯地に。第3段階として、射程3000km程度の極超音速誘導弾を北海道に配備する、配備構想を報じています。

また、128日の日本経済新聞は、こうした敵基地攻撃能力を実際に運用するための米軍との共同運用計画を23年以降に策定し、日米で「反撃能力行使の共同訓練」を20年代半ば以降に実施する方向だと、報じています。

さらに、陸海空自衛隊の部隊運用を一元的に担う「統合司令部」と作戦を指揮する「統合司令官」を新設し、米軍との一体性を強化するとしています(日本経済新聞1029日)。

それはまさに、アメリカの命令と指揮のもとに、自衛隊が米軍と一体となって他国を先制攻撃・全面攻撃する道に突き進む道に他なりません。こうした軍拡が、「日本を守る」どころか、周辺国との核軍拡競争をいっそう激化させ、一触即発の戦争の危険を生み出すことは明らかです。

この狂気の大軍拡を進めるために、防衛省予算を今後5年間で43兆円支出し、2027年度には現在より4兆円増額し、他の軍事関連予算と併せて、軍事予算全体では現在の2倍の11兆円規模にしようとしているのです。そのために国民1人当たり45万円の負担増を押し付ける――これが「安保関連3文書」でねらわれている方向です。岸田首相は防衛省予算4兆円増のうち1兆円を増税で賄う方針を示しましたが、他の「歳出改革」や「決算剰余金の活用」などの財源案も実現性の根拠の乏しいもので、国民のさらなる負担増になることは必至です。

 この大軍拡路線に反対し、憲法にもとづく平和外交を進める日本をつくる国民的運動をつくり出すことが、いま強く求められています。

 

総会 

                 池上本門寺


東京革新懇31回総会

2023128(土)東京労働会館7・ラパスホール 

JR大塚駅下車徒歩6分、丸ノ内線・新大塚駅徒歩5分)

〇記念講演 午後12時 (開場午後030) 

猿田佐世さん新外交イニシティブ代表・弁護士)

「軍拡ではなく、東アジアに求められる外交を考える」

〇総会   午後210分~5

新春のつどい 午後515分~

カンカラサンシン 岡 大介さんの演奏

※コロナの感染状況で中止の可能性もあり得ます。

2022年10月1日土曜日

10月1日東京革新懇学習交流会

 中野晃一上智大学教授の講演

「改憲と壊憲の危機にいかに抗うか」   

101日に開催しました東京革新懇学習交流会での中野晃一さんの講演をご紹介します。大変好評でした。          

          講演②
 明文改憲について 

今日お話しするのは、一つは明文改憲。もう一つは憲法を壊してしまう壊憲です。

 小泉時代から自民党は明文改憲をやろうとしたけど出来ずに来て、あの安倍さんも衆参両院で改憲派が3分の2超えてもやれなかった。

 岸田さんが何をやりたいか正直分からない。安倍さんがいなくなって一番困っているのは岸田さん。魂の面を埋めてくれていて、それで岸田さんが動く材料になっていた。

 2009年に民主党が勝った選挙以来の5回の選挙で、全有権者のうちどれだけ小選挙区で自民党に投票したか見ると、動いていなくて25%程度。民主党にはガッカリしたが、安倍さんがまたやるのかと、投票率が10%、15%下がったまま。自民党は勝ち続けているが、本当に民意の支持があるかというとない。安倍さんのときも岸田さんも、重要政策は国民の理解が深まるほど不人気になっていく。安倍さんが殺されて国葬まで2ヶ月半も時間をつくってしまった。こちらが反撃する機会を持った結果、国民の理解が深まり世論の反発が出てきた。国民投票はそこが怖い。発議したら、法の定めで少なくとも2ヶ月は間を開けて国民投票になる。その間に国民の理解が深まって、おかしいとなる可能性が有る。国民投票は日本でやったことないが、世界的に見てもロシアンルーレットと言われる。EUの統合に関し、国で勝てると思った国で、国民投票で否決され大慌てした。政権にノーを突きつける場にもなる。電通を使い電波を乗っ取って、芸能人もCMに動員し、何となくいい雰囲気で通せると考えていると思うが、リスクは高い。

憲法を壊す中国封じ込めへの片棒担ぎ 

今日お話ししたいのは、大きな政治の話しで憲法を壊す政治。米中対決、台湾有事に、代理戦争、戦場になることに志願している日本政府の動きである。日米安保村と言っているが、政治家、官僚、学者、財界に、日米同盟を国是と位置づけている人達がいて、アメリカとの関係を緊密にし、アメリカ軍と自衛隊の一体化、アメリカが選んだ戦争を日本が一緒にやっていくことを推し進める人達が、政権の中枢からメディアの主流派としガチッといる。これを押し返していくことはかなり大変だ。

 国葬やった2つの理由があり、一つは国内の理由で党内右派を懐柔するという小さな目的。もう一つの大きな方は、安倍さんは、アメリカ・西側諸国に対しては、日本も自衛隊を外に出しますと言ってきた。国内では、集団的自衛権によって日本は安全安心の国になりますと言った。国外、国内で言っていることが全く違う。それを岸田さんは、外務大臣として一緒にやってきて、私が正当な後継者として引き継ぐからご安心をということで国葬をやった。弔問外交としてめざしたのはそこだ。ただ、蓋を開けるとかなりショボいものになった。対外的に見ても、大きく反対したことは大きな意味があった。

 日中国交正常化50周年の年に、中国をアメリカと一緒になり武力で脅すことで平和が出来ると思うことは何事か。ワシントンから見れば、極東で限定的に戦争が起こればウハウハかもしれない。武器は使われる、武器は買われる、中国の国力はそがれる、日本が戦場になり世界第2位、第3位のライバルの国が失墜していく。

中国はアメリカまでミサイル飛ばせない。今のアメリカとロシアの関係と同じで、大国同士のエゴは互いに戦争はやらない。代理戦争をやらせ、台湾、日本、南西諸島が戦場になる。中国から見ればケンカを売ることになる。

 米中対立を煽り、台湾有事を煽り本当に危ない。敵基地攻撃能力だ、中枢攻撃能力だ、防衛費2倍だ、核共有だと騒いでいると、米中対立の真ん中に日本が入っていく。 

公明党の動向 

 明文改憲はすぐには動けない。政権体力が弱っていることもあるが、自民党だけでなく公明党も相当弱っている。セクハラで公明党議員が辞職。公明党は政権慣れしてきて、自民党並みの腐敗をやるようになった。遠山清彦議員の貸金業法違反もあった。

もともと公明とかいって、腐敗に反対する、福祉の党、平和の党とか言って来たが、自民党と一緒になり、山口那津男さんがとても交代できる状況でなくなった。

 9条改憲することに公明党は、今年の参議院選挙においても、基本的に反対する姿勢を崩していない。乗れば衰退する。参院選で公明党は票も議席も減らした。党勢立て直す点でも、9条の妥協は簡単には出来ない。 

自民改憲案は何を壊すか 

 明文改憲の論点から言うと、自衛の根拠が9条に書かれているわけではないことが大事な点だ。9条は、どう防衛するか書いている訳ではなく、軍事力を持たない、戦争を放棄することを書いている。政府は、どこに自衛の根拠を見出してきたかというと、かなりこじつけであるが、憲法前文と13条で、平和的生存権と生命、自由及び幸福を追求する権利があるから、国が完全に覆され人権が守れなくなる事態を許している訳ではなく、9条の範囲内で専守防衛で最低限日本を守ることが出来るという論理付けになっている。この論理付けは、集団的自衛権を突破したときでさえ踏襲した。9条は突破されたが、前文と13条が体を張ってとめた形になっている。防衛省のホームページでさえ同様の言い方をしている。「限定的集団的自衛権」と言っているのはこれが理由だ。

 自民党は、条文イメージ(たたき台)を2018年に出した。9条はそのままにして、9条の2として「前項の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず……自衛隊を保持する」を加える。9条を無効化するだけでなく、前文も13条も無効化してしまう。国という言葉の後に国民が出てきて、今までは国民の権利を守るための自衛と言う建付けになっていたが、我が国を守るために国民は犠牲になれと容易に転化する形に変えようとしている。

9条は二つの仕方で日本を守ってきた 

9条で国が守れるのかという人がいるが、9条で国を守るとは誰も言っていない。9条は二つの仕方で日本を守ってきた。一つは、日本が世界8位の軍事大国になり、比類なき軍事大国のアメリカと同盟関係にあるにも関わらず、中国は最近まで日本が攻めてくると思っていない。北朝鮮も日本が攻めてくると思っていない。かつて朝鮮半島を植民地化し、中国を侵略した歴史にも関わらず、9条によって戦争を放棄し、軍事力を持たないと言っている。自衛隊の存在にクエスチョンマークが付いているが、ブレーキがかかっていることがあり、専守防衛という国民の意思がかなり強いことも理解されていて、中国側は日本が攻めてくるという前提に立たずに来ている。逆にアメリカと一緒に台湾有事で戦争するとなったら、こちらもそれで作戦立てるといことになる。すでにそうなり始めている。安全保障に資するどころか真逆になる。

 もう一つは、アメリカの戦争に巻き込まれることを防いできた。軍事同盟のジレンマで、結果的に他国とのいらない戦争に巻き込まれ、かえって被害が及ぶことがあり得る。それを防いできたのが9条だ。日本は、朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争にも直接関与していない。韓国は、9条がなくベトナム戦争に参戦しなければならなかった。同盟に対する認識があまりに甘すぎるかなり怪しい人達がいる。 

どう運動を大きくするか 

 締めくくりに、どうやって運動を大きくするのか考えてみたい。

 国葬に対しかなり運動が盛り上がり、だいぶ足元を固めることが出来た。それがなかったら私たちはもっと危ない状況にあった。ただ敷布団が戻ってきたところだ。若い人や無関心だった人達、シールズあるいはママの会に代表されるような、掛布団と言われる人々を次の段階で呼び覚まさなければならない。

 憲法を壊し、平和外交を捨て、力で中国を封じ込めるという、馬鹿げた考えを許してはいけない。そんなところにお金を使わず、生活や命にお金を使っていく。そのために、どうやってより大きく運動を広げていくのか、知恵を絞り工夫し、いままでやれていないことをめざす。生まれ変わるタイミングでもある。

 私も、2014年から私なりに走ってきた感じで、課題があると思いながら、正面から対処してこなかった思いがある。次の世代にもっとまともな日本をバトンタッチしたいとやっている訳だから、運動主体もバトンタッチしていかなければならない。

 その時に思うことは、世代による違いだ。組織や運動に対する経験や実感が、今日ご参加の方とだいぶ違う。右肩上がりの日本を覚えていたり、運動にかかわって成果を上げた経験がある、個人の成長や自己実現、もっと言うと自分の解放と社会の変革に取り組むことが割と一致してきた人達が今も声を上げている人たちに多いと思う。それは素晴らしいことだ。

 ところが若い人達は、組織は自分をすり減らすものという体験が多い。大学もだいぶ変わり、非常勤の人達を沢山抱えるようになる。若い人達は、運動、組織に参加して自分が成長するという体験が圧倒劇に少ない。

 キーワードはエンパワーメントだ。パワーを注入するということだが、私達の運動が誰もがエンパワーする運動になっているのか問われる。入っていない人たちもエンパワーする組織じゃないと入ってこない。何となく使い捨ての感じがする。あるいは当たり前とか周辺的なことをやればいいと思われたりする組織や運動になっていると今いる人たちで終わってしまう。

 市民連合の議論もこれからだが、もっとプラットホームとして、若い人達に機会が与えてくれる、参加するメリットがあるような運動のつくり方を考えていなかければならない。デザインのスキルや動画をつくり流す、ツイッターを使うとか、そういうことが出来ればもっと多くの人に届くのに、どうしても怒れる中高年の集まりにしか見えない運動からの脱却が求められる。

 ノウハウを持っている若い人や女性にアプローチし、どこからどう変えるか教えてもらう。講師に呼んだりワークショップやったり。デザイナーに正当な対価を払って来てもらったり、次の世代にバトンタッチしていける作り方をめざす。

 誰もがエンパワーされるものなっているのか、発言の順番、ものごとの決め方、役割の分担など、中に入ってこんなスキルを身に着けることが出来た、社会変革に貢献しているという感じだけでなく個人として成長出来た、新しいことを習得出来たということを、みんなで工夫して広げていけると思う。

 常にたたかっていて余裕がない。とりあえずの体制でやるしかないと来たわけですが、それを変えて行くことを少しずつでもやり、層が変わってくると思う。

続いて参加者の発言
岸本東京平和委員会事務局長         
内藤利治杉並革新懇事務局長発言「岸本聡子新区長所信表明に200人の参加」
五十嵐仁代表世話人の閉会挨拶





2022年9月30日金曜日

農の危機

 進む世界と日本の食・農の危機

日本の基幹農業従事者20年で半減

 農民連事務局次長 岡崎衆史 


 世界と日本の食と農業の危機の状況と打開の方向について、農民連の岡崎衆史さんに寄稿して頂きました 

 「世界食料危機」が深刻化している。飢餓や食料不安に陥る人が急増し、食べたくても食べられない人の数は日本でも増えている。農業の危機が進行するなか、国連は、食料危機が新たな段階に到達すると警告する。一方で、食と農の仕組みを変えれば、持続可能な社会に大きく近づくことが期待されている。

 戦後最悪の食料危機 

 「第二次大戦以来で最悪」。ロシアのウクライナ侵略が引き金となった世界規模の食料危機について、国連世界食料計画(WFP)が今年3月にこう警告した。ロシアとウクライナは穀物の輸出大国で、両国合わせて世界の小麦輸出の3割、トウモロコシ輸出の2割、ヒマワリ油については約8割を占める。戦争でこれらが滞り、世界中に影響が広がった。

アメリカの国際食糧政策研究所(IFPRI)によると、ウクライナ危機後、最大時25カ国が食料輸出規制を行い、カロリーベースで世界の食料取引量の17%が対象になった。

パンなどの食品価格の高騰に怒る民衆のデモや、農業資材高騰への農民の抗議は、中東・北アフリカ、アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸など世界中に広がった。

国連によると、丸一日以上食事が全くとれない「急性食料不安」の数は新型コロナウイルス感染症拡大前は1億3500万人だったのが、コロナ後2億7600万人に倍増し、ウクライナ侵略後は、3億2300万人に増えた。

 国際社会は15年、持続可能な開発目標(SDGs)を採択し、30年までに飢餓をゼロにする目標を掲げた。しかし、15年に5・9億人だった飢餓人口は、21年の予想値で7・7億人に達した。飢餓ゼロに向けた取り組みはもともと難航していたが、コロナ・ウクライナ危機を受け、いっそう後退を強いられた。

 重大なのは、食料危機とともに、農業の危機が深まっていることである。

 WFPのビーズリー事務局長は7月、NHKとのインタビューで「ことしは食料価格の高騰が貧困層を直撃したが、来年は干ばつや肥料の不足によって食料がそもそも生産できずに、手に入らない問題が発生するだろう」と警鐘を鳴らした。同事務局長は経団連と懇談した際には、肥料不足がアジアの米の生産にも影響を与えると予想し、飢餓が深刻化した場合、社会が不安定化し、大規模な人口移動につながる可能性も示唆した。 

日本にとって他人事でない 

日本では、食料危機は他国の問題と考えている人が多い。果たしてそうか。

 帝国データバンクは9月1日、今年に入ってから8月末までに主要飲食料品メーカー105社の値上げが2万品目を超えたと発表した。9月には2424品目、10月には6532品目の値上げが追加されるという。これらが庶民の懐を直撃しないはずはない。

 2112月の内閣府の調査によると、過去1年間に食料が買えない経験があった世帯は全世帯の11%、低所得世帯の38%、ひとり親世帯の30%、そのうち母子家庭では32%に上った。

ひとり親家庭を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」には、「食費は子どもと2人で1日300円。人生で今が一番苦しい」「物価高で食費を切り詰めても追いつかない」といった悲痛な声が寄せられているという。また、NPO法人キッズドアが生活に困窮する家庭を対象に夏休み前にアンケートをしたところ、「夏休みの食事に不安がある」と答えた世帯は81%に上った。食事のバランスが悪くなった世帯は64%、60%が食事のボリュームが減ったと答えた。

食料を求める人々の切実な声は各地で支援活動に取り組む農民連のもとにも届いている。 

危機の大本にあるのは 

現在の食と農の危機は、「多重危機」と呼ばれ、ロシアのウクライナ侵略、新型コロナ感染症、エネルギー価格高騰、気候危機や異常気象と自然災害、生物多様性や土壌劣化を含む環境危機などさまざまな危機が相互に作用しあいながらもたらされた。

危機がここまで深刻化したのは、大本の食と農の基盤が脆弱だからである。巨大なアグリビジネスが主導し、農産物を安く大量に生産し、グローバルに広がる供給網で世界中で売りまくり儲けを最大化する。アグリビジネスは、生産や輸送にエネルギーを浪費し環境を破壊しても、安い農産物で地域農業を破壊して、格差・貧困・飢餓を押し広げても、気に掛けることはない。

 気候変動に関する政府間パネルによると、食料の生産から輸送、消費までを含むグローバル・フード・システムの温室効果ガス排出量は最大で総排出量の37%を占める。

ウイルスや紛争が、伸びきった供給網を寸断する恐れがあることは専門家の警告や歴史の教訓から予測でき、食と農の仕組みを国内・地域循環重視に転換させることで対策をとることは可能だった。しかし、こうした措置はとられなかった。たとえ危機が起きて人々が苦しんでもこの仕組みの方がアグリビジネスにとっては儲かるからである。

国際援助団体のオックスファムは5月23日、「痛みから利益を得る」と題した報告を出した。それによると、アグリビジネスは、穀物価格の乱高下などを利用して過去2年間で資産を45%(3820億ドル)増やした。 

農業破壊を徹底させる日本 

日本では、政府の新自由主義政策が雇用を不安定化させ、社会保障を削減し、ショックに弱い社会が作られてきた。コロナの下での経済活動の制限による所得減、ウクライナ危機が深刻化させた食料価格の高騰で最も被害を受けたのは、この政策が作り出した非正規雇用の労働者やひとり親家庭をはじめ多くの庶民である。

雇用と社会保障の破壊は、農業と農村を破壊する政策と並行して進められてきた。

日本政府は、農業予算の削減、農業を守る基盤の破壊を進めてきた。その下、農産物の価格保障や戸別所得補償制度を廃止し、農地制度、農協制度、農産物の輸入規制、種子制度、市場制度を企業有利に改悪してきた。

農産物の輸入自由化は、次々と締結されたTPP11、日欧EPA、日米貿易協定、RCEPなどのメガ自由貿易協定を通じて前例のない規模で推し進められた。

その結果、この20年余りに基幹的農業従事者が100万人以上消え、123万人となった。平均年齢は67歳を超える。農業経営体数は100万を割った。農地も20年間で50万ヘクタール近く減少し、農地荒廃や原野化が進んでいる(図1)。

ここに、コロナ・ウクライナ危機後、肥料、飼料、農業資材の高騰が襲い掛かった。生産費を大きく下回る低米価も続いている。政府は水田活用直接支払い交付金のカットも打ち出した。

農業はすでに苦境に追い込まれている。財務省は基幹的農業従事者について、40年には42万人に激減すると推計している。

日本の現在の食料危機は、食べたくても食品が高くて買えない所得の低い層を中心に影響を及ぼしてきた。農産物の生産が世界的に困難に陥るという新たな段階に移行すれば、食料が足りなくて手に入らない事態に至る。農業破壊が続いてきた日本の食料自給率は主要国最低水準の38%。食料が手に入らないとき、危機の深刻さは計り知れない。 

家族農業を守る政策 

いま求められるのは、家族農業を守り、国内増産を支援し、食料自給率を引き上げる政策である。

緊急に必要なのは、高騰する肥料、飼料、農業資材高騰に対して、農家の負担を軽減するための支援だ。また、水田活用直接支払い交付金の見直しは直ちにやめなければならない。EUは、資材コスト高の影響を受けた農家を補助金で支援すること、休耕地での食料、飼料用穀物増産の方針を打ち出した。

さらに抜本対策としては、農家の所得補償や農産物の価格保障を確立し、安心して生産できる環境を整備することが求められる。

農業を市場まかせにしている国でまともな国は存在しない。農業所得における補助金の占める割合は、ドイツ70%、イギリス91%、フランス95%、スイス105%に対し、日本はわずか30%(『国連家族農業10年』55ページ)。国民一人当たりの農業予算をみたとき、日本は、アメリカ、フランスの半分、韓国の3分の1に過ぎない。

政策的努力の結果1961年に42%だったイギリスの食料自給率は、2019年には70%に上昇した。同じ期間日本の自給率は78%から38%に下がっている。 

持続可能な社会をつくる力                  

家族農業を支援することによる食料自給率向上は、多重危機に対応し、持続可能社会をつくることにつながる。

国連は19年から28年までを家族農業の10年とし、家族農業支援を打ち出した。また。18年には農民と農村で働く人々の農民の権利宣言を国連総会が採択した。

国際社会はとりわけ、小規模・家族農業が主体となって進めるアグロエコロジーに期待している。

アグロエコロジーは、自然の生態系の力を活用し、可能な限り農薬や化学肥料の使用を抑え、健康にも環境にもよいものを生産し、地域や国内での消費と経済循環を進める。中南米で始まり、ヨーロッパやアメリカ、アフリカ、アジアでも進んでいる。日本にも農業近代化以前の循環型農業、その後の有機農業、自然農法、産直などアグロエコロジーにつながる伝統がある。取り組みの中で、多様性あるコミュニティ作りや民主的な話し合いを重視し、環境も社会も持続可能にしていくことを目指している。

アグロエコロジーについてFAOは、SDGs実現に向け食と農の仕組みを変革する「カギ」と位置付けている。アグロエコロジーを通じた持続可能な社会作りに、農民連も挑戦している。5月に改定された新婦人と農民連の産直運動4つの共同目標にもその推進が明記されている。

コロナ後、家庭菜園や市民農園、産直を始める人が増え、地方へ移住も増加しているという。東京では6410ヘクタールの農地で、9567戸が農業に従事。東京都が2009年に行ったアンケートによると、農業・農地を残した方がよいと思う人は85%。農産物供給加え、防災、景観、国土、環境保全、農業体験、農業理解の場として重視されている(『議会と自治体』第290号 東京農民連の武藤昭夫事務局長)。都市農業を通じた地域循環もアグロエコロジーである。

食と農の世界的危機の下、飢餓と食料不安が急速に広がっている。危機感を利用し、かつてのナチスドイツがやったように、排外主義と国家主義を結びつけて勢力を拡大しようという不穏な動きもでている。飢餓も排外主義も、国家主義も破滅への道ではないか。家族農業を支援し、食料自給率向上で食と農の盤石な基盤を築き、持続可能で公正な社会に進むことが求められる。そのための食と農の政策転換は待ったなしだ。