2013年4月30日火曜日

 東京革新懇講演会  4月15日 
  焦点の東アジア情勢を語る
    北朝鮮、尖閣諸島問題をどう見る
            緒方靖夫共産党副委員長 
 会場いっぱいの参加者
官房長官は「参院選で憲法96条を最大の争点にしていく」と述べている。憲法問題で攻勢的に取り組む必要がある。北朝鮮、中国の動向がメディアで取り上げられ、政府、自民党などがそれを好機とするもとで、参議院選挙がたたかわれる。
北朝鮮をどう見るか
2月に3度目の核実験を行い、「日本全土が攻撃対象」とか「ワシントン、ソウルを血の海にする」と言葉は激しい。北朝鮮の言動は、挑発的で許されないことは当然だが、メッセージ性と計算が見て取れる。戦争状態を宣言しトーンをあげているが、戦争したら負けると分かっている。激しい言葉の裏には、平和と安定のための対話の用意を見て取れる。アメリカは、一発撃てば一発撃ち返すというプロポーショナルな「戦略的忍耐」で、対話の余地を残している。
中国は、北朝鮮の不安定化回避の立場で、制裁に賛成したし、米などとの連携で解決を模索している。
北朝鮮は、対話のテーブルに戻らざるを得ないだろう。また、日本との間には、金正日が締結した平壌宣言があり、これは否定できず、そこに戻っていかざるを得ない。
アメリカは20年前に本格的に軍事的攻撃を構えたが、結局、武力では片付かないと、対話の6カ国協議となった。
北朝鮮は制裁のなかで生き残ってきた。国民の体制転換の活力も枯渇しており、現体制との間で、平和的解決を模索する過程が続くだろう。
北朝鮮対国際社会の対決という構図のもとで、我々は国際社会の側にあり、平和解決のために6カ国協議再開の条件づくりを求めていく。 
中国との関係は
尖閣諸島問題をめぐり、日中関係の緊張が続いているが、日本領有の正当性を明確にすることが重要だ。政府は「領土問題は存在せず」として、中国との議論を避けてきた。去年の国連総会での中国外相の尖閣諸島に関する演説に、「領土問題は存在せず」の主張のみで反論になっていない。国際世論では中国の声がはるかに大きい。
双方の根拠を検証していくと、中国側には、「日清戦争でかすめ取った。侵略の結果は、国際法は適応されない」などと、国際的に通用する道理をもって主張はできないことがわかる。
尖閣諸島をめぐり、突っ張り合いが続いている。これも平和的に対話するしか、打開の道はない。日中関係には、いま目にしている脆弱性と同時に、経済、貿易における緊密な結びつきという強靱性の両面がある。この強靱性は、簡単にご破算にできないもので、今のままでは済まない。 
北東アジアの中で日本をどう見るか
日米首脳会談で、安倍首相は日米同盟深化を証明するために、集団的自衛権強化の合意をねらったが、アメリカの強い要請でそうならなかった。アメリカは、米中関係の建設的強化を第一に考えており、尖閣で恐れているのは、日米対中国との対決の構図になること。アメリカは、集団的自衛権を日本とすすめたいが、それが中国に誤解されるなら、やらない方がいいというほど中国配慮の立場だ。アメリカは、中国と数十の対話のチャンネルを持っている。同程度のものが日中はどれだけあるのか。
安倍首相は、そこまでいっている米中関係をどこまで理解しているのだろうか。ケリー国務長官は、北朝鮮問題で米中が責任を果たしていくことが可能なら、中国が嫌うミサイル防衛をやめるとまで言っている。
知米派の外交専門家のなかには、北朝鮮問題で、日本の頭越しに米中が先行する事態を恐れる論調があらわれている。 
歴史問題が突出すると日本は孤立する
安倍首相は慰安婦や歴史問題で突拍子もない主張を持っていることは知られている。改憲をすすめることは、憲法9条を変えるためであり、歴史問題で、侵略戦争の無反省をすすめることだと、国際社会のかなりの部分では認識されている。 
アメリカからみて、改憲の議論の行く末がそこにあるとする論調がある。韓国、中国、ロシアでは一層そうなる。だから、歴史問題が際立ってくると日本は孤立する。
政府の立場に対比して、われわれは国民レベルで、アジアと世界で平和を促進し、9条を生かしていく立場であることを大きく発信することが重要だ。(文責 編集部)

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