2022年7月25日月曜日

核兵器禁止条約締約国会議からNPT 

           日本原水協事務局次長 土田弥生

  締約国会議に参加された土田弥生さんにレポートしていただきました。 

締約国会議は、「核兵器のない世界へのわれわれの決意」と題する「ウィーン宣言」と「行動計画」を満場一致で採択し、歴史的な成功をおさめました。

この会議の成果は、核戦争阻止と核兵器廃絶で、強固な国際的結束をつくったことです。会議の冒頭、グテーレス国連事務総長の「核兵器がわれわれを滅ぼす前に、核兵器を廃絶しよう」の言葉が印象的でした。

ロシアの国連憲章違反のウクライナ侵略が続き、プーチン大統領は、核兵器で威嚇。会議では、厳しい批判が相次ぎました。ウィーン宣言は、「核兵器によるいかなる威嚇も、それが明示的であれ暗示的であれ、いかなる状況の下でも、明確に非難する」と力強いメッセージを発信。ロシア非難で温度差のある国も含め、合意は重要です。

 広がる禁止条約の力 

現在、禁止条約の署名国86、批准国66。さらに、出席していた11のオブザーバー国が、批准に向け作業中と発表。オブザーバー参加のNATO加盟のノルウェーやドイツに加え、直前でベルギー、オランダ、米同盟国のオーストラリアが参加。条約が核軍縮機構の一部として無視できないことを示しています。

ウィーン宣言は、「核兵器は平和と安全を守るどころか、強制、威嚇、緊張の激化につながる」と述べ、核抑止政策がもはや成り立たず、全人類にとって危険極まりないものであること、その脅威の根絶には廃絶以外にないことを指摘しています。NATO加盟国らが、この議論に加わったのは注目すべき変化です。

 日本政府に厳しい批判 

日本政府は620日の核兵器の人道的影響に関する会議には出席したものの、翌日の締約国会議には不参加。先頭に立っている被爆者をも利用していい顔をしようとする態度に、情けないやら怒りを感じました。

NATO加盟国らがオブザーバー参加したことで、被爆国日本に対する風当たりはさらにきびしいものがありました。原水協が行ったウェビナーで発言したオーストリア大使は、「日本の欠席は、出席した被爆者にとってだけでなく、遺憾な出来事でした。なぜなら、禁止条約は被害者支援を扱っている唯一の核軍縮条約であり、唯一の被爆国が被害者支援の問題に関心を示すことが広く期待されていたからです」と述べました。

岸田首相は、あろうとこか、同時期にマドリッドで開催されたNATO首脳会議に史上初めて参加。ウィーン宣言は、「一部の非核国が核抑止力を擁護し、核保有の継続を奨励し続けていることに懸念を抱いている」と述べています。アメリカの「核の傘」に依存しつづける日本政府への厳しい批判と受け止めるべきです。

 8月NPTへ 広島・長崎から核兵器廃絶の声を! 

81日から26日まで、第10NPT再検討会議が国連本部で開催されます。締約国会議では、NPTも視野に入れて、禁止条約がNPT6条の義務の履行の補完と強調されました。

中満泉国連上級代表は、私たちとの面会で、NPTが行われている8月、広島・長崎からの発信は重要であると述べ、世界大会への期待を示し、「今世界は崖っぷちにいる、みんなで力をあわせて、この危機を乗り越えなければならない」とNPTにとりくむ固い決意を述べました。

広島・長崎で開かれる世界大会は、NPTと切り結ぶ歴史的な大会になります。

  

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