改憲・反動の嵐に抗して反撃のうねりを高めよう 法政大学名誉教授 五十嵐 仁
代表世話人の五十嵐仁さんに寄稿していただきました。
このたび、拙著『反撃 改憲・反動の嵐に抗して』を学習の友社から刊行しました。高市早苗政権の改憲・反動攻勢に大きな危機感を覚えたからです。
憲法改悪と戦争の危機が高まっているにもかかわらず、内閣支持率は高いままです。高市政権の危険性と本質が国民に良く知られていないからではないでしょうか。誤った期待と幻想を打ち砕かなければなりません。
そのために本書を幅広く普及し活用していただきたいものです。メディアは政権に遠慮したり忖度したりして、真実を十分に伝えていないからです。本書によってそれを補うことができれば、これに勝る喜びはありません。
強まる改憲・反動の嵐
本書の執筆・刊行後も改憲・反動の嵐は強まるばかりです。とりわけ、衆院憲法審査会での動きが活発になりました。会長を取り戻して主導権を回復した自民党は、改憲発議に向けての条文起草委員会の設置を提案し、緊急事態条項の「イメージ案」を作成させました。
改憲内容についての各党の考えはバラバラで、衆参でも違いがあります。ですから、発議はそれほど容易ではありませんが、支持率の高いうちに強行突破しようとするかもしれません。警戒しながら監視を強める必要があります。
戦争準備のために国富を無駄遣いして貧しくなる「強兵貧国」の愚策も目白押しです。米国はGDP比3.5%への防衛費増を求め、安保三文書改定に向けて有識者会議による検討も始まりました。防衛費増に向けて法人税とたばこ税の増税は今年から、所得税の1%課税は来年から実施されます。
殺傷兵器の輸出解禁、国家情報会議の新設、公務員の予備自衛官への任用拡大などが打ち出されました。非核3原則の緩和、原子力潜水艦の保有なども検討されています。
国旗損壊処罰罪の制定、女性天皇阻止のための皇室典範の改定、外国人対策の強化、高額療養費の患者負担増、抜け穴だらけの再審法改定など、悪法と悪政のオンパレードです。補正予算も物価高対策は「焼け石に水」で消費税減税は議論するだけ、石油関連製品の供給不足で食品・医療・建設・農業など幅広い分野に影響が広がりました。。
情報操作の疑い
私は本書で、高市首相を「カーキ色のタカ」で極右靖国派と断じ、厳しく批判しました。自民党の総裁選挙は高市一派が自民党を乗っ取った「第1のクーデター」であり、総選挙は変質した自民党が維新の会と結託して日本を乗っ取った「第2のクーデター」だと書きました。これらの「クーデター」の背後には、高市事務所の中傷動画での情報操作があったのではないかという疑いが生じています。
高市首相は関与を否定していますが、総裁選や総などでの勝利がこのような違法な手段での情報操作によるものだったとすれば、選挙への冒涜や民主主義の破壊であるだけでなく、政権の正統性にも大きな疑問が生じます。
高まる反撃のうねり
高市政権に対して私が抱いた危機感は幅広く共有されているようです。国会前や各地の集会などに多くの人が集まりペンライトをかざして抗議の声を上げました。まさに「ペンライトは希望の光」となっています。
内閣支持率が高くても、自民党は地方選挙で苦戦しています。草の根から社会が変わり始めたのかもしれません。このような社会変革の手段としてSNSが大きな力を発揮することも示されました。
この反撃のうねりをさらに高めていきましょう。本書の「あとがき」に書いたように、「不安や不満に耳を傾けましょう。何ができるのかどうすればよいのか、共に考えましょう。急がず、押し付けず、同じ目線で」。
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