2022年1月17日月曜日

東京革新懇40周年記念のつどい詳報

 第1部 シンポジウム 

総選挙の評価と政治革新の展望

コーディネイター:東京革新懇代表世話人 杉井静子さん(弁護士)

パネラー 法政大学教授         山口二郎さん

               全国革新懇事務室長 乾 友行さん

     作家・活動家         雨宮処凜さん 


杉井静子さん
 革新懇は苦節40年、今回初めて国政でも野党共闘による政権交代をめざした総選挙をどう見るか、革新懇運動は今後どういう形で政治革新の旗をかかげて選挙等高まっていくのか、乾さんに発言をお願いします。

乾 友行さん いま共闘をつぶそうとするキャンペーンが総選挙の結果おきている。成果をはっきりさせることが非常に大事です。毎日新聞の記事で立憲民主党の落選議員100人以上参加した意見交換会で、共産党との競合を解消してとの意見はあがったが、共産党との連携解消を求める意見は無かったと報じている。

どうして勝利しなかったか議論も大切です。野党共闘を発展させるために、政党に頑張ってもらうのは当然ですけど、市民の運動が今後の局面で増々重要です。

 総選挙の結果を考える前提ですが、憲法に基づく臨時国会開かず、メディアジャックで自民党の大宣伝する、内閣発足後の10日で解散、最短での投票。憲法で規定された議会制民主主義の原則、国民の権利を平然と犯した暴挙のもとでの選挙だった。

 今回の選挙はギリギリの大接戦、野党共闘は大変な脅威と自民党の多くの方も言っている。

 総選挙をめぐり自民党・権力による大きな舞台装置の変化がつくられた。コロナの時期で2人も首相を辞めざるをえないほど失敗した。このままでは危ないと菅を引きずり下ろし、岸田首相になってリセットされた。

 二つ目は、反共攻撃、野党共闘への攻撃。中国の覇権主義の事実もある中、共産党が政権にかかわることを見たうえでの攻撃だった。これに野党共闘として有効に反撃できなかった。国民が市民と野党の共闘で自民党政権をひっくり返すことに危機感をもった支配層の力量の凄さを改めて痛感します。

杉井静子さん 雨宮さんから、総選挙の結果、ロナ禍の中での貧困の状況についてお話いただきたい。

雨宮処凛さん 野党共闘に期待が高かったのでもっと盛り上がってほしかった。一番脅威に感じるのは維新。先週私は神戸に行きましたが、選挙の後半維新の盛り上がりが凄かったと口をそろえて言っていた。吉村さんが来たら、沿道で若者がキャーキャー言って手を振っている。関西のメディアの力が大きいとの話です。

 私は40歳代でロストジェネレーション、非正規第一世代と言われる世代。この世代の維新人気が凄くある。自民党はダメ、野党も批判ばっかりというフワァとした感じで維新しかない選択。政策の中身じゃない。

 15年間貧困問題にかかわっていますが、この2年弱、貧困問題のすべてが凝縮した状況。去年の3月に40位の団体で「新型コロナ災害緊急アクション」を緊急的に支援する仕組みが必要と立ち上げた。以来SOSメールが届き続け、所持金ゼロ、ホームレスになった、3日間食べてないといったメールが連日届く。昨日も、6歳の子どもと5か月の赤ちゃんをつれたお母さんが、住まいがないという連絡が入り、一軒家をシェルターとして貸してくれるという話があり、とりあえず行き場は決まった。緊急アクションに700件のメールが届き、他の支援団体からの連絡を含め2年間で2500件に対応。家がないのでその日のうちに安いホテルを確保し、食費を渡し、翌日生活保護申請につなげることをやっている。ホテル代とか緊急の給付を2500件の人達に7200万円以上給付。緊急支えあい基金を立ち上げ、一般の方から1億円以上集まり給付しています。

半分以上が外国人。特に仮放免だと働くことは禁止され、公的福祉の対象にもならないので困窮を極める方が沢山いる。

SOSメールの人は20代から40代が大半。23割が女性で、これまでにない。野村総研の試算では、女性の実質的失業者は103万人。コロナで最初に一番影響を受けたのは飲食宿泊、そこで働く64%は女性でほとんどが非正規。女性の非正規の平均年収は153万円、月収13万円もない。この層が何の保障もない、貯金も出来ない、そういう人達が一気に放り出された。その結果、去年の女性の自殺者が前年より14.5%も増えた。女性のシェアハウスからの追い出しもすごく多い。保証人が要らなかったり初期費用や家賃も安く20代女性が一番住んでいる。賃貸契約でないので1ケ月の滞納で追い出されてしまう。非正規だと一般の賃貸物件の審査に落ちることが多い。身分制度みたいな固定化される状況が続いている。

杉井静子さん 山口さんが到着されました。総選挙の結果について、市民と野党の共闘の成果について、及び維新の人気について伺いたいと思います。

山口二郎さん 今回の衆院選は、コロナ対策をめぐる安倍・菅政権の責任を問う機会となるべきでした。死者の数は18000人を越え、人口あたりの死者数は、中国、台湾、韓国、日本、東アジアの4カ国の中では日本は最悪。8月に医療崩壊がおき、自宅療養という名の放置が行われ、助けられた命を沢山失った。菅首相の辞任と総裁選を行い、第2次安倍政権発足以来の様々な失敗や犯罪的な行為をリセットすることに成功した。本当にくやしい。

 今回の選挙の大きな特徴は、長年選挙を取材してきた政治記者に聞いても、本当に分からない。すれすれのたたかいをやっている選挙区が多かった。217の小選挙区で統一候補を立て、約4分の3で一本化。小選挙区では立民、共産、野党系無所属合わせると62議席、前回から11伸ばした。1万票以下の接戦選挙区が32。この接戦取っていれば状況はガラッと変わっていた。小選挙区では野党共闘の効果は大いに上がっている。

 立憲民主党の失敗は比例における敗北。201710月の総選挙で、体制の準備もない状態でたたかい1108万票。このときは枝野さんがちょっとしたブームを起こした。今回、旧国民や社民の議員が合流したにもかかわらず、比例は1149万票。枝野さんのイメージが悪かった。反対ばかりしているとのレッテル貼りは偏見。野党が権力を批判するのは当たり前。反省すべき点は、どれだけ本気で野党共闘を構築し、政治の転換をめざしたのかという点。私も枝野さんは言い訳が多すぎるとの不満を持っている。選挙をたたかう時は、連合の応援もなきゃいけない。他方で共産党とも一緒にやるとの大きな戦略は既定路線で、参院選もそれで2回たたかった。こういう理由で共産党とも一緒にやる、何が悪いんですかと言えばいい。小選挙区で勝つためには、政策が近い政党同士でブロックをつくることは選挙戦術上当然であるし、大義名分もコロナ対策、格差・貧困、原発、気候変動など、自民党では出来ないことを力を合わせて実現すると自信をもって言わなければいけない。限定的な閣外からの協力と言われても普通の人にはわからない。大義名分を主張して、旗印をしっかり立てる、これが野党第1党の責任だったと思います。

選挙をたたかう体制をつくることはトップダウンではうまくいかない。新潟県は6つの小選挙区中4つ野党が取った。県知事選やその他の選挙でも野党は協力するし市民と話し合いをする習慣が出来ており、地域レベルで人間的な信頼関係がある。こういうことを全国に広げていくことが必要だ。

参議院選に向けても、中央レベルの政党の話し合い大事だが、地域レベルでもそういう努力をしていかなければならない。

 選挙については、市民と野党の共闘で達成したことを確認し、不十分だった点を反省し、これで行くしかない信念を持つということが大切だ。

 維新が800万票とったことは驚きです。維新イメージが全国に広がった。大阪おける人口当たりのコロナの死者数は全国ワースト。知事がよくやったなんて冗談じゃない。2極構造をつくろうと4野党がブロックをつくったけど、維新が第3極というポジションで候補者をまわした。自民党もやだけど野党共闘もなんかなという人の票をある程度集めた。特に東京など大都市部では野党側に大きなマイナスになった。維新は新自由主義の政党、身を切る改革と言いながら公共世界の解体していく。カジノと万博しか政策がない政党に未来はない、そこに我々は確信もってたたかうしかない。

杉井静子さん 今日見渡しても若い方と女性が見えていない。若者と女性に政治的関心をもってもらうかという点で雨宮さんにお話しいただければと思います。

雨宮処凛さん 関心の高い人は若い方でも物凄く関心高い。女性でも最近フェミニストの方がすごく増え意識は変わってきている、若者、女性といってもひとくくりには出来ない。

私の周りに、就職氷河期でいまも非正規だったり、正規でも非常に苛酷な中にいて、維新なんか応援したら自分の首がしまる人たちが維新を応援している。そういう人達になんて言えばいいのかなとずっと悩んでいます。

山口二郎さん 維新は弱い立場の人々をさらに追い打ちをかける政策ですけど、身を切るというんで、不安定な立場で苦労している人にとって、今までのほほんとしていた人が苦労するようになるとのメッセージだと思います。

雨宮処凛さん 一番犠牲になった層なのに、破れかぶれでどうにでもなってしまえ、どうせこっちには来ないんだから、持っているヤツから取ってめちゃくちゃになってしまえという破壊衝動で投票行動に行っているような感じでこわいんです。

山口二郎さん 政治の力によって自分たちのくらしがよくなるという体験がほとんどしてこなかった。団塊世代がまだ元気なうちに、なんとか政治を一回変えて、世の中変えられることを若い人たちに教えることが我々の仕事ですけど、残り時間があまりない。

他方希望がありまして、私は前期1年生に政治学入門との授業をやり、期末レポートで、秋の総選挙に行くよう政治的無関心の友達を説得する手紙を書いてくださいというテーマ、よく考えているなとビックリしました。大学1年生は、高校生のときに、入試制度の大混乱の被害をもろに受け、政治のやることに厳しい目を持っている。文科省前でデモやったら入試制度改革が止まった経験がある。自分のこととなると関心持ち声を出した。選挙を応援するというのはかなり段差がある。段差をどう少なくするか課題です。

乾 友行さん 青年のことですが、大きいのは教育の問題、自民党政治が営々と教育をいじめ、高校や中学で主権者の教育がされてない、18歳になっていきなり投票に行かされてもどの党を支持していいか分からない。ドイツでは中学生が自分はどの党が良いと話し合っている。日本は政治にかかわらないという教育がされている。

公選法の問題。自治省の選挙部長をやっていた片桐先生に伺った時に、公選法は治安維持法と一緒に出来た。労働者大衆に選挙権を与えるとえらいことになると支配層がやったのは治安維持法と公選法。選挙で国民を如何にかかわらせないかというのが公選法なんだと。治安維持法と一緒に廃止すべきだったんだと。この間、初めて選挙に参加した方は多いですね。公選法にビックリする。そういう中で私たちはたたかっている。

山口二郎さん 今の選挙制度が始まって25年、弊害がかなり目立つ。小選挙区制度は死票が多い。小選挙区は、政党がブロックをつくって塊になる可能性を持つ。比例は各政党が各々たたかう。水と油のような制度をつなげていること自体大問題。理想を言えばドイツとかスウェーデンの比例代表制度を中心とした民意を吸収するいい制度です。25年経ち、学者やメディアは、選挙制度の弊害の議論を始めなければいけない。日本の比例はブロックごとで死票が一杯ある。四国とか中国とか狭い地域で比例をすると比例の意味があまりない。根本的な問題と取り合えず直すべき問題がある。

雨宮処凛さん 選挙制度すごく複雑。選挙に出るのが高いお金がかかる。コロナ禍で初めて政治に目を向けた人が沢山いましたが、選挙に出たいと思っても何をしたらよいか分からない。もっと直接的に思いを反映できるような形になればいいかなと思います。

杉井静子さん 最後にパネリストの皆さんに一言づつ発言を頂きます。

雨宮処凛さん 私が取り組んでいるのはこの年末年始です。122526日、189日に女性の相談会をして、29日からずっと炊き出しや相談会に参加する予定。今になって炊き出しが過去最高。家族ずれが増えたり多様になっている。現場にいるとニーズが分かるので、その声をすくってくれる政治を求めていきたいと思います。

乾 友行さん やはり運動が大事だと思っています。市民と野党の共闘の原点を見直すことがこういう時期だからこそ大事です。沖縄で赤嶺清賢さんの話聞きますと、オール沖縄は若返ったと言ってました。県民投票で活躍した女性の方や無党派の方、那覇市議会の方、赤嶺さんの選挙運動の中心になった。その背後にあるのは運動です。

 攻撃の一つの焦点が安保条約。日本国民の中で安保条約が必要と思う方が7割、8割いる。「共産党を除く」壁が打ち破られたのですが、多くの国民の中で、共産党にアレルギーがある。共産党が考える問題もありますし、野党全体としての反撃の仕方もあります。安保の問題、共産党を除く問題は、革新懇運動が40年間経験してきたわけで、全国の草の根で独自に果たす役割があると議論の中で改めて考えました。

山口二郎さん 市民連合は2015年の安保法制反対の運動からスタートし、2回の参議院選挙での1人区での一本化が大きなテーマでした。今回の総選挙でも野党の一本化のつなぎ役になったわけですが、運動の基本的理念、政策的な目標、再検討しなければいけないと思っています。時代の変化や新しい課題に対応した体制を作り直す作業はやらなければ、市民連合の運動を何を根拠に何をめざすかよくわからないというか、既存の野党をつなぐことだけが目標になったらダメなんだとは感じています。

杉井静子さん

 活発なご意見と3人のパネリストの示唆に富む発言、本当に有難うございました。地域での草の根の運動が大事ということで、私たちは東京革新懇に結集して、明日からも活動を続けましょうということを最後に申し上げシンポジウムを終えたいと思います。


第2部 

 東京革新懇40周年記念のつどい

 1123日に東京革新懇結成40周年記念のつどいが、59地域・職場革新懇、賛同団体等103人の参加でエデュカス東京で開催されました。


代表世話人・ジャーナリスト

丸山重威さん開会挨拶

 いま、100万人といえども我行かんとの気概が求められる。民主主義の危機である。メディアを変えて行かなければならない。明日に向かって意気をあげるつどいとしたい。

畑田重夫顧問メッセージ

 私が東京革新懇の代表世話人に選出されたのが1988年、その頃の東京革新懇には直木賞作家として知られた藤原審爾さんや著名なジャーナリスト松浦総さんらが出入りする姿をよく見かけたものでした。また、東京革新懇人間講座には山田洋次さんや井上ひさしさんらが精力的に魅力ある講話をしていたこともなつかしく想い出されます。

 皆さんがひきつづき首都東京と日本の政治変革のために大きな役割を果たしてくださることを切に願いつつ本日のつどいへのお祝いと激励の言葉とさせていただきます。連帯の気持ちをこめて。


全国革新懇代表世話人 

田中光雄さんあいさつ

 40周年のつどいおめでとうございます。都議選は大きな教訓であり東京は素晴らしい活動をされ励まされた。市民と野党の共闘は始まったばかり。東京革新懇が全国の牽引車で頑張ってほしい。

政党あいさつ

田辺良彦共産党都委員長

 野党共闘への激しい攻撃が行われている。選挙結果は市民と野党の共闘の力をはっきり示すものとなった。自公4議席減、共闘勢力5議席贈。4野党の比例票は、自公の88%。自民は全国30小選挙区を重点にし、岸田首相は東京9選挙区に入った。そこでは共闘勢力4勝、自公5勝。相互に本気の支援を行った。

 支配層が猛烈な攻撃を加えた。東京は屈することなく前進、東京革新懇40年に刻まれるたたかいだった。共闘を大きく発展させ、3目標を実現する政治に変えて行こう。

政党からのメッセージ 

立憲民主党都連合会幹事長 手塚仁雄

 東京革新懇結成40周年にあたり、立憲民主党東京都総支部連合会を代表してご挨拶を申し上げます。衆議院選挙におきまして、立憲民主党は8名の小選挙区勝利、4名の比例復活当選させていただきました。この結果は野党共闘におけるご尽力賜りました皆様とともに勝ち得たものであり、感謝に堪えません。引き続き東京革新懇の皆様と、立憲民主党東京都総支部連合会が、日本の政治を国民主体のものに変えるために、市民と野党の共闘の発展に向けて連携させて頂ければと存じます。

社会民主党東京都遠郷代表 青山秀雄

 結成40周年を心からお祝い申し上げます。自公政権に加えて維新の会の議席増により、改憲勢力が増えたことは誠に遺憾である一方で、市民と野党の共闘が実を結んでおります。力を合わせて、いっそうの運動を進めていかなければと存じます。

賛同団体よりあいさつ

東京地評副議長 白滝誠さん

 今回の選挙で共闘は大きく前進。その中心が東京だった。長年、地域革新懇の努力に感謝する。春闘おわるとすぐ参議院選挙。市民と野党の共闘をより前進させ、改憲させない決意を述べ、お祝いのあいさつとします。


新婦人東京都本部会長 佐久間千絵さん

 新婦人新聞読む会をツイッターで週2回やっている。12人が発言でき、5人増えた。ツイッター上で野党共闘が生まれた。東京革新懇は、他の人々の話を聞くことが求められていると思う。ご一緒に頑張って行きたい。

 その後、地域・職場革新懇、賛同協力団体の20人から、結成40年第二の誕生日と思っている、地域で共闘を広げる努力、総選挙での地域での取り組み、首長選挙の取り組み、地域の取り組み踏まえた候補者の統一の願い、青年の中の取り組みなど様々な思いが語られました。


自由法曹団東京支部長 

黒岩哲彦さん閉会あいさつ

 参議院選挙に向けて頑張っていきたいと思います。沖縄のことばに、私たちは勝つまであきらめないとの言葉があります。このことばは水俣病のたたかいで言われてきた言葉。我々もあきらめないで頑張って行きたいと思います。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿