活動休止にあたり、革新懇の皆さまへ
首都圏反原発連合 ミサオ・レッドウルフ
首都圏反原発連合(反原連)は、2021年3月末をもって、2012年3月から毎週実施してきた『再稼働反対!首相官邸前抗議』(金曜官邸前抗議)をはじめとし、年に数回開催してきた週末の国会前集会、会報『NO NUKES PRESS』やリーフレットの発行など、継続し取り組んできた活動に幕を下ろしました。原発事故から10年経った今も76%もの人々が原発ゼロを希求しており、あとは政治が原発ゼロを決定するだけという状況が安倍政権によって長引いたことで、未だにエネルギー政策の転換ができていない状況に鑑み、解散はせず、運営用のグループウェアの継続、SNSなどネットでの発信などは引き続きいたします。また、何か大きな問題が起これば呼びかけをする可能性を念頭に、マンパワーの温存を心がけます。
反原連の活動の主軸となった金曜官邸前抗議ですが、2012年6月に当時の野田首相が大飯原発の再稼働を閣議決定したことがトリガーとなり、20万人もの人々が官邸前に集まりました。時間の経過とともに参加者は減少していきましたが、社会活動において一定の役割を果たしたものと考えています。その中で、官邸前や国会周辺での市民の抗議活動が当たり前にできるようになったことは、多くの識者のみなさまがご指摘される通りであると思います。「自発的に人々が集まった」と言われることもありますが、実際には主催として様々な工夫をし「安心して参加できる抗議の場」という器作りに徹底してまいりました。また、脱原発の志を持っていれば、イデオロギーや所属に関わらず誰でも参加できる「シングルイシュー」を貫き、いまでは当たり前になった「超党派」「野党共闘」の小さな源流を作り上げたということもあると思います。
そもそも、3.11福島第一原発事故を契機に、それまで社会活動やデモに参加したことのなかった人々が、いろいろな場所でデモや集会を主催し、また、参加するようになりました。実際、金曜官邸前抗議にもそういった人々が溢れかえっていました。そのことを踏まえ、運動に慣れていない人々が継続的に参加できるよう、のぼり旗やプラカードや配布物についてなど、様々な独自ルールをもうけました。そのことで、既存の活動家からの批判や誹謗中傷もありましたが、より敷居が低く生活の一部として参加できるような、しかも安心安全な抗議の場を作るために妥協はしませんでした。結果的には既存の運動からは異端とされるようなやりかたが、奏を効したのではないかと考えています。
先にあげた「野党共闘」の源流についてですが、『原発をなくす全国連絡会』と『さようなら原発1000万人アクション』の両者に呼びかけ、三者共催で『NO NUKES DAY』という統一行動を何度も開催しました。組合運動などで相入れなかったふたつの大組織が横並びで主催参画するのは難しいことでしたが、原発をなくすという強い思いひとつで実現しました。この脱原発での共闘が、のちの『戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会』設立の力になったと関係者からうかがったことがあります。『市民連合』についても言えますが、超党派での闘いは、小さくとも脱原発運動が源流であったといえるのではないでしょうか。また、私たち反原連は超党派で共闘する必要性の示唆はしましたが、作り上げたのは全国の皆さまの思いと行動であると思います。
反原連の今後については先にも書きました通り、解散はぜずにチームワークを温存します。ただ、私自身、正直なところ、立ち上げの呼びかけからはじまり反原連の活動に多くの神経と体力を使い費やしてきたことで、かなり疲労が溜まってしまったこともあり、今しばらくは休養しながら、次のことを考えていくつもりです。また、反原連としては、9年半に及ぶ活動や運営についての記録集の編纂を開始する予定です。表立って見えている抗議の現場だけではなく、運営に関しても、既存の市民グループとは異なる工夫や努力をしてきたことはあまり知られていませんので、今後新しく社会活動に参入する人たちに参考にしていただければという思いもあります。この記録集はまだ出版の予定などはありませんが、なんらかのかたちで発表しますので、その時には是非ご覧になっていただければ幸いです。
金曜官邸前抗議が始まった早い時期に、革新懇の取材を受けたことをはじめとし、ほぼ毎年、全国や地域の革新懇の集会にお招きいただいておりました。いままた、こうして、活動休止にあたり、寄稿させていただいていることに感謝を申し上げます。金曜官邸前抗議はいったん幕を下ろしますが、私たち反原連メンバーの原発ゼロへの思いは変わりません。それぞれの生活環境の中で、できうることをやっていく所存です。これからも、全国の皆さまと思いをひとつにし、原発ゼロを政治決断させるために、尽くしてまいりたいと思います。また、市民社会と政治の橋渡しを意識し活動してきた私たちを理解し応援くださったことに、重ねて御礼を申し上げたいと思います。今後とも、ご教示を賜れますよう、宜しくお願いいたします。
0 件のコメント:
コメントを投稿