沖縄革新懇代表世話人 仲山忠克
工事は現在、沿岸部分に設置された複数の護岸が連結され、その内側の浅瀬部分に土砂投入が可能な状況であるが、前倒しとなった知事選挙への影響を考慮してか,土砂投入は延期されたままである。仮に、土砂投入による沿岸部分の埋立てが完了したとしても、それは埋立て全域の一部に過ぎない。完成には大浦湾内の水深30メートル地域に新たな護岸を設置して、その内側部分の埋立が必要である。しかし、その地域は海底から地下40メートルの厚さにわたりマヨネーズ状の超軟弱地盤の存在がボーリング調査により判明し、設計変更が不可避となった。それには知事の承認が法的に要求されている。知事が設計変更を承認しなければ、新基地建設は頓挫せざるをえない。翁長知事の建設阻止の強固な意思を承継して、オール沖縄勢力から立候補する玉城デニー氏(現衆議員)と建設を強行する安倍政権の指名推薦により立候補する佐喜真淳氏(現宜野湾市長)との一騎打である。
この選挙は、沖縄と我が国の有り様に重大な影響を与える。米軍基地の新設阻止は、県民にとって苦難の戦後史からの脱却につながり、「平和で誇りある豊かな沖縄」の建設への展望を切り拓くことになる。また戦争遂行に不可欠な軍事基地の拒否は、集団的自衛権容認と一体となって、戦争する国づくりへ邁進する安部政権への痛打となることは必至である。それは、非軍事平和主義に立脚した憲法体制を擁護し、安倍9条改憲ノーの闘いを大きく前進させるとともに、全国的に市民と野党との共闘を激励し活発化させるものでもある。
一方、辺野古新基地は日米軍事同盟の展開・深化にとって不可欠で、沖縄県民の民意を圧殺してでも強行建設しなければならないとの使命感に燃える安倍政権にとってもこの選挙は最重要事であり、国家権力の総力をあげた選挙対策がなされることは必定である。公明党や日本維新の会の抱き込みはその一環である。
しかし安倍政権丸抱えの佐喜真陣営は、去る2月の名護市長選挙勝利を教訓として、徹底した争点そらしで選挙戦を闘うであろうことは容易に予測しうる。普天間基地の閉鎖は言うが、辺野古新基地については沈黙を貫徹する戦術である。有権者に争点を明確にしてその審判を仰ぐという民主的選挙制度の否定である。軍事力依存者は、民主主義の否定者でもある。私たちにとっては、名護市長選敗北は知事選勝利に向けた警鐘であり、そのための犠牲であったことを証明する機会でもある。
11月の知事選挙への再出場が確実視されていた翁長知事の逝去は、県民に大きな衝撃となった。オール沖縄勢力にとって、翁長知事以上の求心力を持った候補者は見あたらないとの思いから、筆者は翁長知事なき後の知事選挙勝利に不安を抱いていた。しかし、「辺野古新基地建設断念を求める8.11県民大会」に主催者の目標3万人を越える7万人の結集は、翁長知事の建設阻止の断固たる意思を、多くの県民が支持し、それを承継するとの県民ぐるみの決意表明である。参加者の中には、潜在化していた新基地建設反対の意思が顕在化した者も少なくない。筆者の不安感が一掃された瞬間でもあった。
日米両政府の圧力に抗し、生命を賭けて闘った翁長知事の「『辺野古に新基地を造らせない』という私の決意は県民とともにあり、これからもみじんも揺らぐことはありません」との遺志を、玉城候補の勝利によって現実化しようではないか。感情的にも翁長知事の生命を奪った陣営に負けるわけにはいかないのである。
国家権力ぐるみの相手方の選挙戦に対抗して勝ち抜くためには全国の物心両面にわたるご支援ご協力が不可欠です。沖縄と我が国の希望ある未来を切り拓くために、革新懇に集う全国の皆様と心と力を合わせて、知事選勝利のために奮闘する決意です。
安倍首相、改憲に執念示す
自由法曹団東京支部長・東京革新懇代表世話人
安倍首相は、明文改憲問題を自らの役割・存在意義と位置づけ、党内の結集を維持しようとしている面もある。
いつまでに国会発議か
安倍首相がめざす2020年改憲施行を前提とすると、窮屈な日程となってきた。来年夏に参院選が実施されるが、2013年の参院選の状況等を見ると、果たして与党や改憲勢力が3分の2を維持できるか不明であり、参院選までに改憲発議を実現しておく必要があるといわれてきた。また、来年4月のいっせい地方選、5月1日の天皇即位、7月の参院選の時期に国論を二分する国民投票を回避すべきともいう。したがって、来年2月までが国民投票の期限と言われてきた。そして、国会発議から国民投票まで60日ないし180日の期間が必要であるから、今年中の国会発議が必要となる。本来ならば今年の通常国会にて改憲案を提案し、遅くとも秋の臨時国会にて国会発議を得る必要があった。
しかし、今年3月の党大会では石破氏らの前記の反対意見もあり予定していた9条改憲案の取りまとめができなかった。さらに、通常国会では「モリ・カケ」問題等々難問山積みで、改憲案の提案どころではなかった。まさに、私たちの安倍政治辞めろの批判的な取組みの成果というべきである。
しかし、8月に改めて安倍首相の前記発言がなされた。秋の臨時国会を改憲発議の最後の機会として突破することも予断を許さない。
国民の多数が9条明文改憲に反対する意思を表明していることは重要である。三〇〇〇万署名の影響といっても良い。また、憲法調査会のメンバーが欧州で実施した「国民投票の調査」では、大多数の政党の賛同が無い場合には、国民投票そのものが「時の政権に対する審判」の色合いが避けられず、想定外の結果が生ずることが報告されている。
つまり、国会発議を経て明文改憲をすすめるには野党との共同歩調が求められるところである。しかし、 立憲民主党は「安倍政権との対決姿勢を鮮明にし、自衛隊明記を含む首相の改憲提案を真っ向から批判する」と報道されている。共産党の志位委員長は「9条改定の発議を許さない国民的多数派をつくるために全力を挙げよう」と訴えるなど、自由・社民も含めて野党共闘が継続している。但し、国民党の動向は必ずしも鮮明でなく不安材料は消えない。
維新の党は教育費の無償化に関して自民党に同調し、改憲勢力と見ざるを得ない。しかし、政権与党である公明党の慎重路線は現在までも変わらないままである。このことは私たちが「敷き布団」として役割を果たしてきた反映である。また、「支持母体の創価学会内に抵抗感は根強いうえ、自民党内にくすぶる2項維持の9条改正後、さらに2項を削除するという「二段階改憲論」への警戒心も背景にある」と指摘されている。公明党も今後変節することもあり得るものの、一筋縄で国会発議ができるとは限らない状況である。
3000万署名とともに
3000万人署名は、幅広い分野の団体・人々が「安倍明文改憲NO」の一点で共同して活動する状況を作り出している。もちろん、明文改憲に対する危機感の反映でもあるが、ひとりひとりを説得して賛同・支持を広げるという陣地戦を戦い「国会発議を許さないゆるぎない国民的多数派を作る」契機となるはずである。同時に、4項目の自民党改憲案の問題点を分かりやすく国民に示す必要もある。大いに学習会や街頭宣伝をはじめ、SNSの活用などを通じて広げたい。改憲勢力はマスコミを乗っ取り風を吹かせるとも言われているが、最終的には今後の草の根での闘いが勝負を決めるのであり、今後もご一緒に頑張りましょう。
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