2018年7月24日火曜日

築地市場存続に光、営業権問題  7月10日
 710日、築地市場営業権組合主催の学習会で、熊本一規元明治学院大学教授が「東京魚市場卸協同組合(以下「東卸」と略)の総代会決議と組合員の権利」と題して講演。築地市場の豊洲移転に係わる重大な法的な問題が明らかにされ、築地市場存続の道を開くものとなっています。以下中心点をご紹介します。

 東卸は、中小企業等協同組合法に基づく協同組合。協同組合原則(設立自由、合併自由、加入脱退の自由、組合員平等など)を持つ。法人の持つ財産・権利は団体それ自体のもので組合員が持つことはない。逆に、組合員の持つ権利を組合が持つこともない。
 協同組合の意思決定機関は、議事の重要度に応じて、総会決議(半数以上の出席で2/3以上の賛成で決める特別決議>普通決議)>総代会決議>理事会決議。総代は組合員から選出し、総会の開催が物理的、経済的に困難な場合等に、総会に代えて総代(東卸は86人)会を開く。総代会は必置機関ではない。
 協同組合は、総会(臨時を含む)や役員改選など、関連の協同組合法で厳しく規律されるが、東卸の定款は、総会開催が極めて限定的扱いであり、特別決議や役員改選の規定がない。これほど違法な定款が知事の認可を受けたこと自体、不可解だ。
 そもそも築地市場の豊洲への移転は、組合が決められることではない。組合員である各仲卸業者が営業権(後述)に基づいて決められることだ。 
営業権の廃止等には補償が必要
 築地仲卸業者は、知事の許可を受けて業務を行っており、のれんも伴っているから営業権を持っている。築地仲卸業は譲渡性を持つから、その補償は市場価格に基づく。
 仲卸業の豊洲移転を決められるのは営業権の権利者である各仲卸業者。権利者でない東卸は決めることはできない。したがって、豊洲への移転についての東卸の総代会決議は、権利のないものが勝手に声をあげた行為(無権代理行為)に過ぎず、無効である。
 東京都は、営業権に関し、各仲卸と話し合いを持ち、補償しなければならない。仲卸業者が築地に残ると主張した場合、その営業権を保障しなければならないか強制収用するかだ。この間の経緯からいって、強制収用は出来ないのではないか。
 これまで、私が関わり、漁業権を使い、全国で20近いダム建設や原発建設を止めてきた。川辺川ダムでは、付け替え道路が完成し、住民の移転が終わっていたが、漁業権で建設を止めた。営業権も漁業権と同じく財産権だから移転を止められる権利だ。

 自らの権利を自覚し、主張すれば、築地市場の存続は可能だ。

築地女将さん会
どんなことあっても移転とめる 
 710日、築地女将さん会の山口タエ子会長はじめ5人の方にインタビューしました。
Q都民に訴えたいことは
山口会長 人間が生きる上で食が大切で、歴史ある築地を残したいと思います。親から子へと三代四代と代々続いています。こんな市場はそうないと思います。外国人の方が築地に沢山来ています。築地は今や世界ブランド。和食の世界遺産、築地があるからじゃないですかね。
Q豊洲への移転が1011日と迫る中でどう思いますか
山口会長 お尻に火が付く状況ですが、豊洲はどういうところか。交通アクセスとかいろんなことはともあれ、一番の根本的なことは、食品ということを考えただけでも豊洲が相応しいところではないですよね。
女将さん会 小池知事も最初は「仲卸の目利き」は生かすと言っていましたが、豊洲に行ったら生かされない。豊洲は世界一衛生的な市場と言うことで、凄い投資をした冷凍・冷蔵庫が設備された建物が作られたけど、閉鎖型で中に入っていくらもしないうちに憂鬱になります。外が見えなく巨大な冷蔵庫の中に入った感じ。声がハウリングし、セリ人が言っていましたが、1000円と言ったのがちゃんと聞こえず間違ったセリになりかねないとのこと。去年カビが生えて、それを指摘したらキンキンに冷えて、そんなところで商売になりません。マグロなど大物のところは10度にするらしい。市場の私達に何も寄り添わないで作ったので市場としての機能がないのです。
女将さん会 魚の市場ですから、箱から漏れるものなど臭みがいろいろなる。私どもは、塩水でも真水でもふんだんに使って床をきれいな状態にしています。豊洲では床に水を流してはいけないことになっています。流さなければ不衛生になりますよね。豊洲は行ってはいけないところです。
仲卸の何割位移転反対ですか
女将さん会 アンケートを取りましたが、移転はしょうがないと思っているけど行きたくない人を含め90%位です。
Q「目利き」について
女将さん会 朝、築地に来れば、セリ場を一周ぐるっと回って今日の状況を把握するわけです。主人は1日も怠ったことはありません。今日の入荷状況、品物の良し悪し、産地も問題になるわけですね。目利きは非常に大事で、お客さんも信頼して長年ついてくださる。それを裏切らないよう日々努力ですね。
女将さん会 築地に来れば大勢の仲間が夜中らから働いて、活気があり元気のもとです。商売楽しく、若い人に負けないよう頑張っています。豊洲は、私たちにとってとんでもない場所であり、どんなことがあっても止めようと燃えています。パワーは凄く、気取りもなく仕事は楽しい。これが築地の女将です。本当に楽しい。ちょくちょく店にも来てください。
インタビューして元気をもらいました。

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