2024年10月30日水曜日

羽場久美子講演 世界の大転換期―アメリカの衰退と戦争

 アメリカの世界戦略の破綻と市民・グローバルサウスによる平和①

世界の大転換期―アメリカの衰退と戦争

        青山学院大学名誉教授

       世界国際関係学会元副会長 羽場久美子

 


 105日に福生市民会館で開催された横田市民集会での羽場久美子さんの講演の要旨を2回にわたりご紹介します。

 

いま、世界は大転換期だ。世界中で戦争が起こっている。なぜ、この21世紀、人権の時代に戦争が起こっているのか。

戦争をとめようとする国際世論と国連は動いている。国連の78割の国々が、パレスチナ戦争およびウクライナ戦争の即時停戦に賛成している。国連は機能している。それをただ1票の拒否権で、停戦を押しとどめ、紛争地に武器を送り続けているのがアメリカだ。

いま、日本列島も、沖縄から北海道まで、中国に向けてミサイル配備を進めている。アメリカは2022年に、6年以内に中国が台湾に侵攻すると煽っている。なぜか?このままではアメリカのGDPが中国に追い抜かれてしまうからだ。アメリカの都合で、東アジアで戦争をさせてはならない。

なぜ戦争か?そのからくりを考えるために本日講演をさせていただきたい。

 

データで見る大転換期の世界と私たちの課題

世界をリードするアメリカは、なぜ武器を世界中に送り続け、戦争の火種を作っているのか。その背景をデータで見たい。重要なのは、世界人口の変遷とGDPの推移だ。

<データ11に人口。国連事務次長を務めた明石康氏の国連研究会のデータによれば、2100年に世界人口は、アジアとアフリカで8割になる。米欧は1割を切るとされる。しかし現在でもアジア・アフリカ・ラテンアメリカを合わせると人口は8割。米欧はすでに15%にすぎない。重要なことは20世紀においては人口の多さは貧困の象徴だった。しかし21世紀IT/AIの時代に、教育を受けた人口はIT人口になりうるということだ。中国のIT人口は10億、インドのIT人口は65000万。米欧日のIT人口8億とすると中印は米欧の2倍のIT人口。米欧による軍事力支配は早晩終わりになる。

<データ22に経済の歴史的長期波動。世界のGDPを西暦0年から2030年まで世界最速のメガコンピューターで数理統計解析した人物がアンガス・マディソンだ。この統計は40数か国に翻訳され経済統計ブームを巻き起こした。それによれば西暦0年から1820年まで1800年間、世界経済の過半数を占めていたのは、インドと中国。欧米は1820年から2030年までの200年しか世界経済の中心を担っていない。それも植民地の収奪により成長した。統計では2030年には中国がアメリカを抜くと2007年に試算した。それが現実になりつつある。

<データ3中国のGDP2010年に日本を抜き、この14年間で日本の4.5倍になった。PPP(購買力平価)ベースのGDPでは、既に中国は2014年にアメリカを抜いている。世界銀行やIMFは、PPPベースのGDPは、20年後、30年後の名目GDPになると予想している。 

<データ4アメリカ最大の金融機関ゴールドマン・サックスによる将来のGDP予測が202212月に出た。それによると2050年には中国がアメリカを抜き1位(実際には2035年といわれる)、インドがアメリカに迫り3位、日本はインドネシアやドイツに抜かれ6位に転落。既に日本はドイツに抜かれ、来年・再来年にはインドに抜かれる。2075年には日本は12位まで転落、中国やインドが12位、アメリカ3位、インドネシア、ナイジェリア、パキスタン、エジプト、ブラジルがトップ8に入る。一人当たりGDP2024年世界 ランキングでは、日本は、すでに韓国、スペイン、スロベニアに抜かれ38位に沈んでいる。

 20世紀のアジアは貧困のアジアだった。21世紀のアジアは、経済成長とAI教育先端のアジアだ。ITAIの成長により、勤勉でモノづくりにたけたアジアは、あと2050年で世界の頂点に躍り出る。それがアメリカに脅威を与えている。

 経済で太刀打ちできなくなったアメリカが、世界各地で戦争を起こし、自らは戦わず、地域紛争を代理戦争に変えて、アメリカの支配を維持しようとしている。Make America Great Again!これが世界中で戦争が起きているからくりだ。トランプが政権についても、ウクライナ戦争は止まるかもしれないが、イスラエルの影響力は強まる。中国への弾圧も強まる。

イスラエルは、米英欧が19世紀にやってきたことの焼き直しであり、遅れてきた植民地政策だ。米英がイスラエルを支持しているのは、18世紀、19世紀に同様のことを米欧は、アメリカ、オーストラリア、ラテンアメリカ、アジアの原住民に対してやってきたからだ。しかし21世紀にはそれはもう許されない。

<データ5最後のデータは、日本の人口問題。総務省のデータによると、日本の少子高齢化対策の遅れの結果、あと40年で65歳以上の人口が全体の4割を超え、労働人口が半分になる。2100年に「8000万人国家」、うち半数が65歳以上だ。

人口問題は、高齢者就労、女性就労、移民受け入れの問題と直結する。観光だけではやっていけない。住み着いてくれる移民をきちんと人権を守ってもてなさねばならない。これが50年で日本のGDPは世界12位になるという実態だ。

そうした中、1000兆円の負債を抱えつつ、5年で43兆円を超える軍備を大増強し、ミサイル配備を全国に展開して、中国に対し戦争準備をしている場合か?むしろ中国・アジアとこそ結ぶ必要がある。

世界における戦争の継続、日本のアメリカの言いなりの背景には、100年間の「アメリカの世紀」の影響が大きい。しかしアメリカの世紀はたった100年!アジアの時代は数千年なのだ。

 

アメリカの世界戦略、戦争戦略

アメリカが世界の頂点にのし上がったのは、20世紀の2つの戦争によるものであった。アメリカは2つの世界大戦のほぼ最後に参戦して次の時代の国際秩序を作ってきた。 

アメリカの2大巨頭の一人、ウイルソンは第1次世界大戦で、19172月のロシア革命によるバランスオブパワーの崩壊により参戦し18年末に戦争は終わる。1年半しか戦争に参加せず、しかも自国は戦場にならず、戦後国際秩序を提案しリードした。

ローズベルトは、第2次世界大戦で、日本のパール・ハーバー攻撃に対する反撃の形で参戦し、4人の警察官(米、英、ソ連、中華民国)を掲げて、国際連合を作り国際秩序をリード、戦後の覇権国、リーダー国となった。 

バイデン大統領は、20世紀の2大巨頭に学び、新たな世界秩序を「民主主義対専制主義」で作ろうとした。2大巨頭と違うのは国際連盟、国際連合がいずれも「中立的な国家共同の組織」として始まったのに対し、バイデンは、世界を民主主義と専制主義の二つに分け、衰退しつつある少数者の自分たちを正義としたことだ。これはトルーマン流の冷戦に似ている。だから「新冷戦」とよばれる。圧倒的多数の成長しつつあるアジアや新興国に対抗し、衰退しつつあるG7少数国を正義とする、歴史にも逆らう暴挙で歴史に耐えられないはずだ。

アメリカの世界戦略の特徴は、自国は戦争に参加せず、戦争末期に参戦して次の国際秩序を作るということだ。直接出ていったベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争ではアメリカは常に負けている。だから出ていかずに、現地の紛争と対立をあおり、武器を送る。それがウクライナ戦争、パレスチナ戦争、そして台湾有事だ。

 

パレスチナ戦争

昨年10月に起こったハマスの攻撃に対し、すでに4万人以上がイスラエルの爆撃によって殺されている。3分の2が子ども、乳幼児、女性たちであり、瓦礫に埋もれた死体は1万人以上残るとされる。8万人を超える負傷者、子ども達がいるが、23ある病院はすべてつぶされ、医師は逮捕拷問され、南部に逃れた人々にも容赦なくイスラエルの爆撃が執拗に繰り返されている。食事や水を求めて並ぶ子ども達や学校をも攻撃している。まさにジェノサイドだ。国連事務総長グテーレスにより緊急に呼びかけられた「即時人道的休戦」に対し、昨年12153か国、国連加盟国の8割以上が賛成したにもかかわらず、米・イスラエル10か国が反対した。続く安保理でも、15か国中13か国が即時停戦に賛成したが、イギリスは棄権、アメリカだけが拒否権を発動し戦争継続を支持した。

今年1月のグテーレス事務総長の悲鳴に似た即時停戦の呼びかけで国連総会は153か国が即時停戦を決議したが、アメリカは拒否権を発動。さらに停戦交渉を行っていたハマスの最高司令官をイスラエルは殺害した。

ロシアのウクライナ侵攻にあれほど反対した“リベラル”諸国は、あまりにも非人道的なイスラエルやアメリカに、経済制裁や国際的非難を実行しないのか。イスラエルに対して、アメリカは武器を送り続けている。アメリカIT企業は、ウクライナとイスラエルに、AI兵器を送り続けており、アジアの戦争はもっと広範囲でひどくなるので、AI兵器が使われるであろうと述べている(朝日新聞3月末)。

 イスラエル問題のそもそもの発端は、イギリスのいわゆる「3枚舌外交」である。第1次大戦末期、フセイン・マクマホン協定でアラブ国家の独立をアラブに約束したにもかかわらず、翌年のサイクス・ピコ条約で英仏ロシアがこの地を分割支配するという植民地的な取り決めを行った。その翌年にバルフォア宣言でパレスチナにユダヤ人国家の建設を約束した。

それらは相互に矛盾しているだけではなく、あり得ないような植民地主義的な条約だ。米英は、戦後の植民地主義からの開放を見越して、中東の石油とアジア・欧州・アフリカを結ぶ地政学的要所に、イスラエルを建国し、アラブ世界にくさびを打ち込んだ。

2次世界大戦後には、国連で「2国間併存(イスラエルとパレスチナ)」が決議されたにもかかわらず、パレスチナ国家は戦後80年認められないまま、イスラエルが戦争で破壊し入植を続けている。21世紀のいま、「遅れてきた植民地主義」は終わらせなければならない。

 

ウクライナ問題

 ウクライナ問題は、2022224日のロシアの侵攻からではない。そもそもウクライナは、多民族国家であり、既に、2004年のオレンジ革命、2014年のマイダン革命が、西ウクライナ(西欧派)と東ウクライナ(ロシア派)の対立の始まりだ。西欧・アメリカは、西ウクライナを支援。他方で、東部ウクライナの3割を占めるロシア系マイノリティは、自治を要求し独立を宣言。2014年からポロシェンコ大統領が内戦を開始、アゾフ隊などを正規軍に編入した内戦でロシア系13000人が死亡。内部対立から始まったという歴史的な認識が必要だ。

 2022年のロシア侵攻直後から停戦交渉が始まり、ロシアとウクライナは「中立」に合意し、6月まで交渉は続けられていた。停戦交渉を中断させ戦争を続けさせたのは、イギリスのジョンソン首相とアメリカのバイデン大統領だ。

ゼレンスキーは、当初は停戦交渉に前向きだったが、やがて、戦争を続けるには武器が必要と、世界中に武器を求めて戦争を続けている。当初はウクライナ優勢であったが、徐々にロシア優勢になってきている。戦争継続を支援しているのは、G7および欧州(EUNATO)だ。中国・インド・グローバルサウスの多くは停戦を要求し、仲裁で動いている。イスラエル・ガザ戦争と同様の構図だ。ロシア・プーチン、アメリカ・トランプは、米ロが話し合えば、戦争は終わると述べている。

ゼレンスキーは大量の武器を要求し続けているが、その半分は他の紛争地域に横流ししている。政権内部の腐敗と抗争も、欧州の「支援疲れ」に拍車をかけている。ポーランドのように最もウクライナを支援してきた国もウクライナの穀物輸出をめぐり国境を封鎖するなど、対立は中東欧全域に広がっている。

アメリカが武器を送らなければ、戦争は終わる。しかし停戦が準備される中、5月にアメリカ議会は、9兆円の兵器をウクライナに、3兆円をイスラエルに送ることを決定。戦争を継続し儲けているのは、アメリカの武器商人だ。

ウクライナ国民の間にも、厭戦気分は高まっている。2万人の脱走者がモルドヴァ国境を通り、西に逃亡している。5月に行われるはずだった大統領選挙でゼレンスキーは勝てない可能性を見越し、大統領選は延期され続けており、ゼレンスキーは任期切れのまま大統領にとどまっている。

次号に続く。(文責:事務局)

2024年10月2日水曜日

自民党政治サヨナラの大運動

 共闘の力で

自民党政治サヨナラの大運動を

         法政大学名誉教授 東京革新懇代表世話人 


    
五十嵐 仁

 

 自民党総裁選で石破茂氏が選出された翌日、928日に開催しました東京革新懇学習交流会での五十嵐仁さんの講演の要旨をご紹介します


歴史的なチャンスが巡ってきました。岸田首相が総裁選への立候補断念を表明したからです。危機に陥った自民党は総裁選でメディアジャックを図り、石破茂新総裁を選出して解散・総選挙での逃げ切りを画策しています。

 総裁選でイメージチェンジを狙い、国民の注目を集めて支持率を回復しようというわけです。そのために選挙期間を最長の15日間とし、候補者も過去最多の9人になりました。

 しかし、岸田首相の出馬断念の背景には、政権と自民党政治の深刻な行き詰まりがあります。それはテレビでの露出度の増大など小手先のまやかしで乗り切れるほど簡単ではありません。自民党による長年の悪政の積み重ねによるものだからです。

 安倍政権から続く菅・岸田という三内閣連続での政権投げ出しはこの国の土台の腐食に原因があり、かつては一流だとされた経済も政治とともに劣化への道をたどってきました。政権担当能力を失った自民党の総裁の椅子に誰が座ったとしても、立て直すことは不可能です。

 総選挙で決着をつけるしかありません。日本をぶっ壊してきた自民党政治の罪に対して、今こそはっきりとした罰を与えるべきでしょう。政権から追い出すという形での明確な罰を。 

 二重の意味での行き詰まり 

岸田首相を追い詰めたのは世論の力でした。内閣支持率は昨年暮れに3割台を切り、一度も回復しなかったからです。4月の衆院3補選、静岡県知事選や前橋市長選挙、小田原市長選などの首長選挙でも自民党は連戦連敗が続き、岸田首相はたとえ総裁に再選されても1年以内に実施される総選挙では勝利できないと判断したのでしょう。

 このような人気低落の最大の要因は自民党派閥の裏金事件と統一協会との癒着でした。いずれも岸田内閣以前からの組織犯罪です。裏金事件では、それがいつからどのような経緯で、誰が始めて何に使ったのか、いまだに明らかになっていません。再発防止策も小手先のごまかしに終始しました。統一協会と自民党との腐れ縁についても、再調査や実態解明がなされず、問題は先送りされたままです。

 岸田内閣は、三自衛隊の統合司令部新設のための改定防衛庁設置法、自治体を戦争に協力させる改定地方自治法、特定秘密保護を産業分野にまで拡大する経済秘密保護法の成立や殺傷兵器の輸出を可能にする次期戦闘機共同開発条約の批准などを強行し、安保政策の転換と大軍拡を推し進めてきました。

「聞く力」は形だけで国会軽視と強権姿勢は変わらず、安倍政治の拡大再生産にすぎません。辺野古新基地建設、インボイスの導入、マイナカードやマイナ保険証の強要、関西万博の推進、米兵犯罪の隠蔽など、民意無視も止まりません。

金権化・右傾化・世襲化という自民党の宿痾(持病)はますます悪化し、岸田政権になってから党役員や大臣などの辞任・解任は約30人に上ります。最近でも、広瀬めぐみ参院議員と堀井学衆院議員の辞職・起訴がありました。持病が全身を蝕むようになっているのです。

 私は27年前に『徹底検証 政治改革神話』(労働旬報社)を刊行して、「政治改革」のやり直しを提言しました。このとき政党助成金が導入されたにもかかわらず企業・団体献金が温存され、政治資金の二重取りによって自民党は焼け太りしたのです。そのツケが、今回回ってきたということになります。このとき企業・団体献金や政治資金パーティーを禁止していれば、今回のような裏金問題は起きなかったはずですから。 

総裁選で露呈した自民党の劣化 

 自民党の総裁選では12人が出馬の意向を示し、9人が立候補しました。あたかも派閥の縛りがなくなったかのような印象を振りまき、メディアでの露出度を高める作戦だったと思われます、一見すれば多士済々のようですが、売名のチャンスだと思い「我も我も」と手を挙げたにすぎません。

 9人も立候補したにもかかわらず、その主張に大きな違いはなく明確な共通性がありました。誰一人として触れなかったテーマがたくさんあるからです。それは裏金事件の再調査であり、企業・団体献金や政治資金パーティーの禁止であり、統一協会との腐れ縁の断絶という問題でした。

 とりわけ統一協会の問題では、総裁選中に組織的な癒着を示す新たな事実が明らかになりました。朝日新聞がスクープしたもので、統一協会や国際勝共連合の会長と安倍首相が総裁応接室で面談し、実弟の岸信夫元防衛相と側近の萩生田光一元経済産業相が同席していました。2013年の参院選公示の4日前で参院選比例候補だった元産経新聞政治部長への支援を確認するものだったといいます。自民党が組織ぐるみで反社会的なカルト集団と癒着していたことを明確に示す新たな事実でしたが、この問題について再調査して関係を断絶する意向を示した候補者は一人もいませんでした。

 また、各候補者はアベノミクスの失敗や消費税減税、物価高対策、お米の安定供給などについても口をつぐみ、明文改憲の推進や原発の容認、日米同盟維持など大軍拡・大増税の推進については足並みをそろえています。退陣が決まっている岸田首相が改憲促進を申し送って次期首相に縛りをかけましたが、これに異を唱える人はいませんでした。

岸田政権を支えてきた幹部の無自覚と無責任もあきれるばかりです。茂木敏充幹事長、林芳正官房長官、上川陽子外相、河野太郎デジタル相、高市早苗経済安保相などは、これまでとは異なった政策も打ち出していますが、その多くは野党の政策のパクリで、岸田政権を支えてきたことへの反省は全くありません。

若手とされる小林鷹之前経済安保相は選択的夫婦別姓や同性婚に反対するなど最も保守的な伝統的家族観を示し、小泉進次郎元環境相による解雇規制の緩和など「聖域なき規制改革」も、父親である小泉純一郎元首相が20年以上も前に掲げた「聖域なき構造改革」の焼き直しにすぎません。いずれも時代錯誤であまりにも古い自民党の体質を象徴するものでした。

大きな曲がり角にあり、「新たな戦前」に向かう「衰退途上国」としての日本をどう立て直すのか。国内総生産(GDP)でドイツに抜かれて4位になり、国民1人当たりGDPでは34位、国際競争力でもかつての1位から35位にまで後退している現状からどう抜け出すのか。東アジアの平和と豊かな日本の将来ビジョンを示している候補者も皆無でした。

グローバル・パートナーシップを掲げて地球規模でのアメリカ追随を深め、日米軍事一体化によって防衛(盾)だけでなく攻撃(矛)も担うとする「戦争する国」への変貌と専守防衛の放棄、攻撃的兵器の取得と輸出に前のめりで、米軍の尖兵として戦争に巻き込まれる危険性をどう防ぐのか、全く展望が示されていません。 

 活路は共闘にあり 

 「振り子の論理」による「疑似政権交代」を許さず、自民党政治への追撃戦によって政権の座から追い出さなければなりません。そのための唯一の活路は市民と野党の共闘にあります。自民党を政権から追いだすには野党第一党の立憲民主党の議席だけでは足りないからです。

 立憲民主党の新しい代表に選ばれた野田佳彦元首相は、一方では消費税減税に消極的で原子力発電の容認や日米同盟機軸などの「現実的政策」を掲げながら、他方では野党の最大化を図るとして「誠意ある対話」を呼び掛けています。自民党を離れた保守中道勢力を引き寄せるためだとしていますが、野党連携のあり方については大きな課題を残しています。

 いずれにせよ、自民党政治とサヨナラするためには、野党勢力が力を合わせて追い込むしかありません。改憲を阻止し、分断と裏切りを許さず、反腐敗包囲網を継続しつつ共闘を再建することが野党の側の課題です。

 裏金事件と統一協会との癒着は自民党の最大のアキレス腱になっています。総選挙でも主要な争点としなければなりません。野党が一致して自民党を孤立させ、これまで支持していた保守や中間層を離反させる可能性が生まれているのですから。

 維新など「第二自民党」のすり寄りや裏切りを許さず、共産党を含む幅広い共闘の再建をめざさなければなりません。裏金事件追及の突破口を開いたのは共産党の機関紙『赤旗日曜版』でしたし、統一協会や国際勝共連合と真正面から対峙してきたのも共産党だったのですから。

 この点で、立憲民主党の野田新代表が共産党と政権を共にしないという姿勢を示し、戦争法の違憲部分を「すぐに廃止できない」と表明しているのは大きな問題です。そもそも戦争法への反対は立憲民主党の立党の原点であり、野党共闘の出発点ではありませんか。そこに立ち返ることを求めたいと思います。

 市民と野党の共闘では、大きな実績を積み重ねてきた東京革新懇の役割は極めて大きくなっています。過去8年の間、62自治体で40の共闘候補を擁立し、先の都知事選も野党共闘でたたかうことができました。立憲民主党の都連は共闘を否定していません。この経験と条件を活かすことが必要です。

 来るべき総選挙は、国政から犯罪者集団を一掃するための貴重な機会となるでしょう。法の網の目をかいくぐって利益を図ったり目的を達成したりする悪弊は政治家や企業経営者を蝕み、不正行為は自衛隊にまで及んでいます。このような歪みを正し、立法府にふさわしい政党と議員を選ぶことでしか、政治に対する信頼を回復することはできないのですから。

2024年9月2日月曜日

PFAS汚染と血液検査

 多摩のPFAS汚染と血液検査

多摩地域の有機フッ素化合物汚染を明らかにする会 共同代表


       根木山幸夫
 

 米軍横田基地が汚染源とされ、発がん性等があるとされるPFAS、この問題で多摩地域の住民運動で奮闘されています根木山幸夫さんに寄稿して頂きました。

 

PFASとは 

PFAS(ピーファス)とは有機フッ素化合物の総称で約5000種類以上あり、人工的な物質です。水や油をはじく、熱に強いなどの性質を持ち、泡消火剤や半導体の洗浄のほか、こげつかないフライパンや防水衣服、ハンバーグの包装紙、化粧品などの生活用品に使用されています。

 泡消火剤は1970年代から世界中の米軍基地に配備され、消火訓練に使用してきました。

PFASは環境中で分解されないことから、永遠の化学物質(フォーエバー・ケミカル)とも呼ばれ、河川・海水や土壌中に存在しつづけ、地下水や動植物を汚染しています。

 PFAS の主な3種類(PFOS、PFOA、PFHxS)は、その毒性から「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」で2009年、19年、22年にそれぞれ製造・保有・使用が禁止されました。 

血液検査と深刻な結果 

多摩地域の水道水の汚染について東京都は2020年1月に初めて公表し、府中市と国分寺市の二つの浄水所では1119年に国の暫定目標値の23倍の汚染が続いていたこと、0421年のデータでは約20自治体で汚染が高いことが明らかになりました。

多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会(多摩PFAS会)は228月に、PFASの体内への蓄積を調べようと自主的な血液検査を呼びかけ、236月末までに多摩30自治体の791人の検査を実施しました。

 9月発表の検査報告(原田浩二京都大学准教授)では、主なPFAS4種類の血中濃度の合計値でみると、791人のうち365人(46%)が米国科学・工学・医学アカデミーのガイダンスの指標値を上回りました。この指標値は、臨床医が脂質代謝異常や甲状腺ホルモン、腎がん、潰瘍性大腸炎などの精密検査を勧めるべきという内容です。自治体別にみた場合、指標値を超えた人の割合が高い自治体は国分寺市85人中79人(93%)、立川市47人中35人(74%)など深刻な結果でした。 

健康影響評価と水質基準 

内閣府食品安全委員会は244月、PFOAPFOSの1日の許容摂取量を、それぞれ体重1キログラム当たり20ナノグラムとする健康影響評価書を了承しました。

欧州食品安全機関(EFSA)が20年に定めた許容摂取量は、PFOAとPFOSの合計で0.63ナノグラムです。日本の評価書はこれに比べると64倍です。また、米国環境保護庁(EPA)が23年に定めた許容摂取量はPFOAが0.03、PFOSが0.1ナノグラムです。日本の評価書はそれぞれ666倍、200倍となります。

今回の評価書でいけば、環境省で検討されている飲料水基準は暫定目標値(50ナノグラム/リットル)と変わらない(小泉昭夫京都大学名誉教授の試算)レベルになる恐れがあります。

世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)は、PFOAの発がん性を「可能性がある」から2段階引き上げ、「発がん性がある」に定め、PFOSについては新たに「可能性がある」の分類に追加しました。ところが、評価書では国際的な発がん性評価を取り入れていません。

232月、欧州連合(EU)議会にデンマークなど5カ国が、1万種類以上のPFASをEU全体で禁止することを提案し、25年内に最終案をまとめ、可決されれば26年以降に禁止令が発効します。

米国EPAは22 6月、飲料水中のPFAS生涯健康勧告値をPFOSを0.02、PFOAを0.004ナノグラム/リットルと従来より約3千倍厳しい値にしました。それに沿って23年3月に飲料水規制・目標値案としてPFOS、PFOAそれぞれ4ナノグラム/リットルとしました。 

横田基地は重大な汚染源 

横田基地ではベトナム戦争当時から泡消火剤を使った訓練を定期的に実施してきました。放出された泡消火剤は空気中に拡散し、周辺土壌中に浸み込み、固着した土壌から長年にわたって地下水に浸み出していきます。

 横田基地での漏出事故について、ジャーナリストのジョン・ミッチェル氏は1812月、公開文書をもとに、〈1017年に泡消火剤が計3161リットル漏出、12年には3028リットルが貯蔵タンクから土壌に漏出。しかし漏出は日本側に通報されなかった〉(要旨)と報道しました。

横田基地内の飲料水は基地内の井戸水を使用していますが、米軍は飲料水品質年次報告書で検査結果を161820年に公表し、汚染の事実を認めています。

以上のことから横田基地が重大な汚染源であることは否定できない事実です。

一方、米政府はPFASを有害物質とし、水質や土壌汚染の規制を強化し、汚染除去にも取り組んでいます。しかし、これらの対策は米国内の基地・工場からの汚染が対象であり、日本にある基地については情報も示さず、汚染の事実を認めていません。

日米地位協定3条では米軍に排他的管理権を認め、日本側の立ち入り権が明記されていません。環境補足協定では「環境に及ぼす事故(すなわち漏出)が現に発生した場合」に立ち入り権を規定していますが、一部を除いて米側が通報していません。

 汚染源を明らかにしようと、多摩PFAS会は235月~8月、150カ所の井戸水などを調査しました。分析を担当した原田准教授の調査報告では、北多摩地域の広範囲の地下水が環境省の暫定目標値を超え、横田基地の南東側の立川市の浅井戸で暫定目標値の62倍のPFOSが検出され、東側にある国分寺市、府中市などの深井戸でPFOS、PFHxSが高い傾向がみられました。地質構造を考察すると、PFASに汚染された地下水が西部から東部へと移動していると推測されました。

 多摩PFAS会の声明では、調査結果からみて「横田基地が最大の汚染源」と考えられると指摘しました。 

米軍が漏出を認める 

 先述のミッチェル氏が報じた横田基地での泡消火剤漏出の事実をめぐって、236月から大きな展開がありました。

629日、日本共産党の国会議員らが横田基地での泡消火剤の使用について防衛省などから行った聞き取りの中で、防衛省の担当者は同基地で1012年に泡消火剤の漏出が3件あった事実を公式に認めました。

7月21日、防衛省は1812月の漏出報道を受け、191月に米側から報告書を入手した、公表内容をどうするか米側と調整を始めたが、米側から回答を得たのは2212月だったと説明。米軍が漏出の事実を初めて認めたことを明らかにしました。

2311月、多摩PFAS会は「横田基地への立ち入り調査を米軍に求めよ」と岸田首相・防衛大臣宛に要望書を提出しましたが、ゼロ回答でした。

2024年7月23日火曜日

日米首脳会談は何を示しているか?


 日本平和委員会事務局長 

            千坂 純

 「平和国家」を根底から覆した

  日本国内で支持率最低を更新し続けている岸田文雄首相は、米バイデン大統領に国賓として招かれ、410日に日米首脳会談を行い、日米共同声明を発表した。これは、安倍晋三元首相の後援を得て首相になれた岸田首相の下で、とんでもなく危険な方向に強化されてきた日米軍事同盟を、またさらにとんでもなく強化するものなのだ。その中身を見てみよう。

 ところで、戦後歴代首相で国賓として米国に招かれたのは、中曽根康弘、小渕恵三、小泉純一郎、安倍晋三首相の4人しかいない。なぜ、岸田首相が国賓としてもてなされたのか?

 その理由を端的に表したのが、訪米前の45日にエマニュエル駐日米大使が産経新聞に語ったこの言葉だ。

「岸田政権は2年間で、70年来の(日本の安全保障)政策の隅々に手を入れ、根底から覆した。防衛費のGDP(国内総生産)比2%への増額、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有、そのための(米国製トマホークの)購入に踏み切った。防衛装備品の輸出にもめどをつけた」(ゴチックは筆者。以下同じ

 首相就任後わずか2年余で、戦後、日本国憲法第9条と国民のたたかいによってつくり出してきた、「平和国家」としての様々な制約の「すみずみに手を入れ、根底から覆した」――その実績が評価されたのである。

 その「功績」は、日米共同声明でも賞賛されている。

 過去3年間を経て、日米同盟は前例のない高みに到達した。我々がこの歴史的な瞬間 に至ったのは、我々がそれぞれ、そして共に、わずか数年前には不可能と思われたような方法で、我々の共同での能力を強化するために勇気ある措置を講じたためである。」「米国は、日本が自国の国家安全保障戦略に従い、2027日本会計年度に防衛力とそれを 補完する取組に係る予算をGDP比2%へ増額する計画、反撃能力を保有する決定及び自衛隊の指揮・統制を強化するために自衛隊の統合作戦司令部を新設する計画を含む、防衛力の抜本的強化のために日本が講じている措置を歓迎する。これらの取組は共に、日米同盟を強化し、インド太平洋地域の安定に貢献しつつ、日米の防衛関係をかつてないレベルに引き上げ、日米安全保障協力の新しい時代を切り拓くこととなる

 日米同盟が世界規模で機能

  国会にも諮らず、閣議決定だけで、「平和国家」の政策を覆す岸田自公政権を、こう絶賛した上で、日米共同声明は、日米軍事同盟を次のように位置付ける。

「我々のグローバルなパートナーシップの中核は、日米安全保障条約に基づく二国間の防衛・安全保障協力であり、これはかつてないほど強固である。我々は、日米同盟がインド太平洋地域の平和、安全及び繁栄の礎であり続けることを確認する。バイデン大統領は、核を含むあらゆる能力を用いた、同条約第5条の下での、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを改めて表明した。岸田総理は、日本の防衛力と役割を抜本的に強化し、同条約の下で米国との緊密な連携を強化することへの日本の揺るぎないコミットメントを改めて確認した。」

 日米同盟をインド太平洋地域を中心に、「グローバル・パートナー」として、世界規模で機能するものに強化する。米国は核を含むあらゆる戦力を投入する。一方、日本は大軍拡をおしすすめ、役割分担を拡大する――というわけである。 

日本は米国の戦争にも共にある 

 米国と共に世界規模で行動する――そのことを、もっと直截に、平易な言葉で語ったのが、日米首脳会談の翌日行われた、米議会での岸田首相の演説だ。「日本の国会では、こんな拍手に迎えられることはない」などと、赤面するようなはしゃぎぶりを見せながら、彼はこう宣言した。

「『自由と民主主義』という名の宇宙船で、日本は米国の仲間の船員であることを誇り に思います。 共にデッキに立ち、任務に従事し、そして、なすべきことをする、その準備はできて います。 世界中の民主主義国は、総力を挙げて取り組まなければなりません。

 皆様、日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています。米国は独りではありません。日本は米国と共にあります。日本は長い年月をかけて変わってきました。第二次世界大戦の荒廃から立ち直った控えめな同盟国から、外の世界に目を向け、強く、コミットした同盟国へと自らを変革してきました

 これを聞いていたある米政府関係者は、朝日新聞に次のように語ったと言う。

 「考えて欲しい。首相のスピーチを聞けば、米議会は その言葉通りに受け止める。『日本は米国と共にある』 ということは、我々にとってみれば、最もつらくて過酷 な戦争という局面であっても、日本は米国と手を携えて一緒にやるということになる。しかも首相は『台湾有事だけは……』などと限定を付けなかったことにも驚いた。世界中の至るところで米国が関わる戦争に日本も グローバルに参加する決意があると受け止めることが できる。少なくとも米議会は間違いなくそう受け止めるし、首相演説を根拠に、これから日本にますますいろんな要求を強めるだろう」 (朝日新聞デジタル、4月20日)

 岸田首相は、米議会でとんでもない約束をしたことになる。だがそれは、今回の日米首脳会談の核心をズバリと言い表した言葉と言えるだろう。 

自衛隊の戦争加担へのメニュー 

 こうした「米国と肩を組んで共に立ち上がる」同盟国として、日本の役割をさらに拡大するために、日米首脳会談では「新たな戦略的イニシア」を打ち出した。

 その主なものは――

■より効果的な日米同盟の指揮・統制の枠組みの構築。  

■日本の敵地攻撃能力強化のための米国による支援

■地域パートナーとの関係強化…▸日米豪防空協力 ▸AUKUS諸国(米英豪)との連携(武器技術開発)▸日米韓(共同訓練)▸定期的な日米英3カ国共同訓練▸日米豪の無人機、自律性兵器分野の協力など

■日米の武器共同開発・生産の協力強化(ミサイル、次期ジェット練習戦闘機の共同開発、米艦船や軍用機の日本での整備・修理など)

■米国の拡大抑止(核威嚇態勢)の強化=日本の防衛力によって増進される米国の拡大抑止を引き続き強化することの決定的な重要性の確認

 ・・・などである。

 「より効果的な日米同盟の指揮・統制」(=司令部の一体化)については、次のように表現されている。

「我々は、作戦及び能力のシームレスな統合を可能にし、平時及び有事における自衛隊と米軍との間の相互運用性及び計画策定の強化を可能にするため、二国間でそれぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる意図を表明する。より効果的な日米同盟の指揮・統制は、喫緊の地域の安全保障上の課題に直面するに当たり、抑止力を強化し、自由で開かれたインド太平洋を促進していく」

作戦と能力を「シームレスに(切れ目なく)」統合し、有事(戦争)における一体的な活動を可能にするため、指揮・統制機能の一体化を図るというわけである。

この具体化は、7月下旬に開かれる日米安全保障協議委員会で行われるということだが、方向としては、現在、戦争指揮権限を有しない在日米軍司令部(東京・横田基地)に、実際の戦争指揮権限を持つインド・太平洋軍司令部(ハワイ)の権限を委譲し、統合任務部隊司令部を設置。これが今年中に東京・市ヶ谷の防衛省内に編成される、自衛隊の統合作戦司令部と連携して、戦争を指揮する体制をつくるのである。

なぜ、日米の実戦司令部を一体化するのか? これは、岸田政権の下ですすめられている「敵地攻撃能力」の増強と密接な関係がある。

首脳会談に先立つ21日に、日米軍事同盟強化に強い影響力をもつ米国のシンクタンク「戦略・国際研究センター(CSIS)」から出された「日米同盟にとって重要な次のステップ:指揮統制の近代化」と題したレポートは、次のように述べている。

本が防衛強化に向けて急速に動いていることから、⽇⽶同盟変における次の ステップ、すなわち指揮統制構造の近代化の重要性がまっている本がより有能な軍事パートナーとなるにつれ、国と本はより運可能な同盟を援するための新たな構造を構築する必要がある。指揮統制構造の変は同盟の信頼性を幅にめ、東アジアにおける抑⽌⼒の強化に役つだろう。⽇本が計画している反撃能⼒の獲得は、この取り組みに特に緊急性を与えている。⽶国と⽇本は初めて、戦術的(標的の特定と訴追)と戦略的(紛争激化の管理)の両⽅で武⼒⾏使を調整で きる必要がある

つまり、他国を攻撃するときに、ばらばらに攻撃しても効果はない(そもそも自衛隊単独で敵地攻撃をできる能力はない)。米軍の指揮・統制の下に米軍・自衛隊が役割を分担して、敵を攻撃しなければ戦争にならないというわけである。

このレポートは次のようにも言っている。

「これは政治的にデリケートな話題であり、特に本では軍隊に対する憲法上の制約 が依然として強く、軍紛争への巻き込まれへの懸念が根強く残っている。しかし、同盟の指揮統制をより層統合するという論理には議論の余地がない」

米軍の指揮の下に自衛隊が他国を攻撃する態勢をつくることは、日本国憲法上の問題があるし、米国の戦争に日本を巻き込む懸念を強める。しかし、それもお構いなしにこれをすすめるべきだ、というわけである。

ここにいま進められている日米軍事同盟強化と、その下での大軍拡の危険性が端的に示されている。この道を許してはならない。

「台湾有事」 無事への道は

東京革新懇代表世話人 新堰義昭

 

「台湾有事」に備えて政府は、沖縄・南西諸島に自衛隊基地を建設し、長射程のミサイル配備、要塞化が進んでいます。しかし「台湾有事」は米軍戦略の想定に過ぎません。

台湾の新しい総統に選ばれた民進党・頼成徳氏が就任式(5月20日)で、「傲慢にも卑屈にもならず、現状を維持する」と演説。これに反発した中国政府は、懲罰のために台湾を取り囲む形で軍事演習を23日、24日に強行。日本AALAの旅で遭遇した新堰義昭代表世話人に、その時の体験を寄稿してもらいました。

 

今回の「日本AALAの台湾・平和の旅」の目玉は、中国大陸から至近距離にある金門島の訪問であった。軍事演習は台湾でも大きく報道されており、中止はやむを得ないと考えていた。

ところが当日の朝、台北市内は平静であった。台北から金門島への飛行便(約1時間余り)はダイヤ通り、金門島の空港でも警備する警官も軍人も確認できなかった。あいにくの雨でアモイを遠望できなかったが、観光客で賑わっていた。どうも中国軍は軍事演習範囲を、民間航空機の飛行ルートを避けて設定したようだ。

金門島のガイドは、中国の軍事演習に馴れっこで、「直接攻撃するなら通報があると考えている。経済的に中国とは緊密な関係がある」と話してくれた。伊波洋一参議院議員は、「台湾では台湾有事との言葉はない。中国が台湾を攻撃してくるという思いもあまりない。しかし台湾が独立するとなると、中国は軍事力を使ってもそれを阻止することは常々表明している」(東京革新懇ニュース3月号)と述べている。

複雑な歴史的な経過があるとはいえ、中国の野蛮で恫喝的な軍事演習は絶対に許されない。軍事的対抗の応酬は、錯誤による「戦争」を招く危険がある。「台湾有事は日本の有事」「戦う覚悟が必要」(麻生太郎自民党副総裁の台湾での講演)など煽る発言も言語道断である。

 台湾は自主、大国とは友好的等距離

旅のもう一つの目玉は、総統府直轄の中央研究院における若い研究者との交流であった。

 王智明氏(欧米研究所研究員)は、「台湾人」と考える「アイデンティティの変容」など世論動向を報告。「一国二制度」については、支持53.5%、反対33.6%であるが、「独立不支持」(「不好」)54.6%、「独立支持」30.4%。このことから戦争を回避するために独立を急ぐべきではないというのが世論の多数と述べた。

続けて、昨年3月20日、台湾の学者・研究者グループ37人が発出した「反戦声明」について、盧倩儀氏(同上)から報告を受けた。台湾が蔣介石軍の戒厳令による40余年の暴力的人権侵害の歴史を乗り越え、研究者の「学問の自由」が保障されていることに刮目。「米中戦争は要らない、台湾は自主を、大国とは友好的で等距離の関係維持を」、米中戦争に巻き込まれないための真剣な探究に感銘を受けた。日本が果たすべき役割は「台湾有事」に備えることではなく、米国、中国を含む北東アジアの平和の架け橋であり、市民レベルの交流の重要性を痛感した。

「反戦声明」(抜粋)

「米中双方はすべての意見の相違を平和的手段で解決しなければならない。・・・台湾は自主独立の立場をとり、経済、環境、学術、文化など全人類の平等・ 福祉・平和を増進できる分野で各国と協力すべきであり、特に各大国とは等距離の外交関係を維持し、知恵のある戦略と手腕をもって台湾海峡両岸の安全を守るべきであって、アメリカ覇権主義の弟分や子分になるべきではなく、あるいは 逆に中国の「戦狼」の対抗関係の一環となるべきでもない。私たちは、紛争につながるいかなる意図的な挑発行為も非難し、挑発行為の停止がもたらす効果と利益が軍需産業や軍隊の駐留、あるいは武力による脅威や戦争の発動よりもはるかに大きなものであると信じている。」

東京革新懇 都知事選声明(7月16日)

 声明

都知事選で広がった市民と野党の共闘をさらに発展させ、都政・国政の転換をめざそう

2024716日 東京革新懇代表世話人会

東京革新懇は、都知事選挙にあたり531日にアピール「自民党と二人三脚の小池都政を終わらせ、市民と野党の共同候補・蓮舫さんの勝利をめざすご奮闘をこころより呼びかけます」で奮闘を呼びかけた。

しかし、小池都知事が290万票を獲得し当選、石丸伸二氏165万票、蓮舫候補は136万票で3位の残念の結果となった。蓮舫さん勝利が政治変革の巨大な流れがつくることを恐れた勢力から、蓮舫さんの立候補表明以来、外国籍”“共産党が主導している、ジェンダー視点からのきつい等の攻撃がネット上で殺到した。

また、石丸伸二候補がSNSを活用し第2位となったが、TOKYO自民党政経塾塾長が選対本部長を担うなど、石丸候補への様々なテコ入れによる蓮舫候補への打撃が図られた。

短期間の選挙戦の中で、蓮舫候補の人柄、ボトムアップの政治、社会的弱者に寄り添った政策、神宮外苑をはじめ大規模再開発の見直しなどを都民に十分に届けきることが出来なかった。

一方、小池都知事は、コロナ禍では連日マスコミに登場し、都知事選も意識しながら、都民が要求していた学校給食の補助、高校授業料の無償化、子育て支援として18歳以下の子ども一人当たり月額5000円支給を実施し、小池知事はそれなりにやってくれているとの都民の一定の評価が広がりをみせた。しかし、小池都知事は“8年間の実績”を標榜しながら、テレビ討論を“公務”を理由に拒絶したところに、政府・大企業と一体になり大規模再開発を最重点にし、都民に背を向ける本質からくる弱点がものの見事に示されている。各分野・地域で都民の運動も広がり、小池都政と都民の矛盾は確実に広がっている。

また、首都東京の知事選において、自民党が候補者を擁立出来なかったばかりか、小池知事を表立って支持することすら出来なかった。さらに、同時に行われた都議補選においては、自民党は8人擁立し、現有5議席から2議席に後退したことも、自民党への引き続く都民の厳しい批判を示している。

2014年の集団的自衛権閣議決定とのたたかい以来の東京における市民と野党の共闘の発展の上に、宇都宮健児、前川喜平氏ら5氏、立憲民主党・共産党・社民党・新社会党・生活者ネット・綠の党・ミライ会議の7党会派、市民団体による候補者選定委員会の設置、都段階の取り組み、各地域の取り組みとかつてない市民と野党の共闘が広がった。このことを財産と確信にしなければならない。また、蓮舫候補の街頭演説にはかつてない人々が集まり、熱気に包まれた。「ひとり街宣」の自主的運動が広がったことも今後の財産である。

今回の都知事選において、全国革新懇の呼びかけで7波に渡る全国支援行動が取り組まれ、延べ269人の行動となった。暑い中の全国の支援にこころより感謝申し上げる。

東京革新懇は、都民本位の都政への転換をめざして一層奮闘するとともに、迫りくる総選挙に向けて、支配層が恐れる市民と野党の共闘をさらに発展させ、自民党政治を終らせ、国民本位の政治への転換をめざすものである。

2024年5月31日金曜日

都知事選

         小池都知事の素顔

    

  都政問題研究家  
       末延渥史

 

いよいよ都知事選挙が目前に迫り、市民と野党の共闘の候補者として参議院議員の蓮舫氏が立候補を表明されました。心躍る思いです。

 

改憲・核武装論者

 いま、安倍・菅・岸田と続く暴走政権のもとで改憲、戦争をする国づくりの動きが加速され、東京でも米軍横田基地の自衛隊との一体的再編強化など、東京の安全と平和が脅かされようとしています。

 こうしたときに自治体の長が果たすべき役割は、かつて革新都政が「憲法の改悪に反対し、その平和的・民主的条項の完全実施」を政策課題として「東京から火薬の匂いをなくす」ことを掲げ、米軍横田基地や米軍王子キャンプなどの返還をはじめ核兵器全面禁止のとりくみなどに全力を尽くしたように、東京の平和と安全の実現に先頭に立って尽力することではないでしょうか。

 ところが、小池都知事はこの8年間、改憲や戦争をする国づくりに異義を唱えることも、抗議の声をあげることもしないばかりか、都民の切実な願いである米軍横田基地の撤去に背を向けつづけ、海外で奇襲作戦などの特殊任務にあたる危険なオスプレイの横田基地配備や横田基地によるPFAS汚染についても頬被りをして、対米従属の姿勢を明らかにしています。

 それには相応の理由があります。小池都知事は国会議員時代に改憲を掲げる日本会議の国会議員懇談会の副幹事長や副会長を歴任。安保法制(戦争法)の策定にあたっては安倍首相のもと自民党の「安全保障法制整備推進本部」の副本部長として安保法制を推進した人物だったからです。

 さらに、小池都知事は、2016年の都知事選挙の翌年におこなわれた総選挙にあたって、安倍首相が掲げる憲法9条改憲に呼応するかたちで、「希望の党」を立ち上げました。その選挙公報や公認希望者に対する政策協定書などで「憲法改正」「憲法9条を含め憲法改正の議論を進めます」などと明記した生粋の改憲論者に他なりません。

 また、唯一の核被爆国の首都の長であるにもかかわらず、小池都知事は自身の公式ホームページで「東京に米国の核ミサイルを」と主張するとともに、「核武装の選択肢は十分あり得る」(VOICE2003年3月号)などと核保有を主張しているのです。バリバリの改憲主義者、核武装論者を知事の座に座らせておくことはできません。

 本籍は自民党

  小池都知事は2016年の立候補にあたって無所属、支持政党なしで立候補。この選挙で強い都民要求となっていた2020東京オリンピックや築地中央卸売市場の豊洲移転の見直し、全面的情報開示などを掲げることで都議会自民党との対決ポーズをとりました。また、その1年後におこなわれた都議会議員選挙では、都民ファーストの会を立ち上げ、自身があたかも反自民の旗手であるかのように都民の前で振る舞いました。

 実際に、8年の間の小池都知事の都政運営は、都民の要求を反映した一部のパフォーマンスを除いては、消費税大増税、社会保障の連続改悪、雇用と生活破壊のアベノミクスに追随し、豊かな財政を湯水のように都市再生=東京大改造につぎ込む一方で、都民には新自由主義と自己責任を押しつけ、都民のための施策は冷たく退け、新型コロナ対策や物価高騰対策などは国の予算の枠内に止めるという都民置き去りの自民党政治の徹底に他なりませんでした。

 それもそのはずで小池都知事は自民党政権のもとで総務会長を務め、また、防衛大臣、環境大臣などの要職を歴任した人物です。また、2016年の都知事選挙にあたって、自民党国会議員であった小池都知事は自民党推薦で選挙に立候補することを要望。自民党本部をたずね推薦を要請しましたが、政党をわたり歩いた経歴が疎まれるとともに、自民党都連、都議会自民党の強力な反対を受けたことから、自民党からの立候補を断念。自民党員籍のまま、無所属・支持政党なしで立候補。「自民党と対峙」という劇場型選挙を演出することで都知事の座を得ました。

 ところが、知事当選後は、裏で安倍首相、盟友と言われる二階自民党幹事長などと密会。永田町に二階幹事長をたびたび訪ね、ことあるごとに密談を重ね、都政を動かしていたのです。

 こうした蜜月関係のもとで自民党との連係プレーや国言いなりの新型コロナ対策、社会保障の連続改悪、都立病院の独法化など東京における自民党政治の先行実施など自民党政治の水先案内役を務めてきたのです。

 独裁型政治手法 

 小池都知事の8年は住民の奉仕者としての使命を忘れ、傲慢、不遜な姿勢を際立たせた8年ということができます。

 この点についてNHKが2020年に実施したアンケート「なぜ東京都民は再び小池都知事を選んだのか ~1万人アンケートで見るホンネ」で「小池都知事が持ち合わせていないのは?」の問いに対して「弱者への共感」がトップで62%、「都民目線」も50%を占める結果が示され、小池都知事の都政運営に対するシビアな都民の目が示されています。

 そして、小池都知事は都政運営にあたって、選挙で秘書を務めた特別秘書や自身が東京都に招き入れた特別顧問、特別参与などを重用。石原都政にはじまるワンマン、側近・密室政治を展開しました。

 とりわけ、初当選直後には大阪維新の会政策特別顧問をつとめ橋本徹大阪知事のブレーンであった上山信一氏を東京都顧問・特別顧問にひきいれ、「都政改革本部」の統括責任者として重用しました。 2期目には、かつて東京都副知事を務めた人物を引き入れ側近政治を展開。その人物は元副知事の威光をかさに局長や担当部長などの頭越しに方針を押しつけるなど、庁内の組織ルール、民主的運営を蹂躙する都政運営を押しつけてきました。こうしたことに対して都民から批判の声があげられ、都議会からも「特別顧問を重用し、都職員が軽視されている」「意思決定過程が不明確」などと追及がおこなわれるに至りました

 また、前述の人事支配や新型コロナ対策での補正予算の専決処分(非常時など議会を開会できない場合などに認められる知事による予算の決定・執行)の乱発、自分にとって不都合な議会質問の答弁拒否など庁内民主主義と議会制民主主義を否定する独断、専横の都政運営が大手を振ってまかり通っています。「ここに至って議論することもはばかれる空気」「これまでの都政であれば検討過程でブレーキがかかってもおかしくない」「『なんでもあり』が年々、色濃くなっている」「都民の生活に寄りそうメッセージは弱い」「都民は何も白紙委任しているわけではない」(都政新報紙)など都庁内部から批判と告発の声があげられるに至っているのです。 

 新自由主義・市場原理の徹底

  日本における新自由主義とそれに基づく自己責任=自助・共助の展開は、1990年代に入ってからの経団連や経済同友会などの財界の提唱をうけて、国のレベルでは2000年におこなわれた「社会福祉基礎構造改革」、東京都の場合は1999年の都知事選挙で知事に就任した石原都知事のもとで策定された「東京構想2000」「都庁改革アクションプラン」によって具体化され、安倍・菅・岸田の歴代政権、石原、猪瀬、桝添、小池とつづく自民党都政のもとで力づくで国民・都民に押しつけられてきました。

 なかでも徹底した新自由主義者である小池都知事は、憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活」の実現、地方自治法が自治体の使命としている「住民の福祉の増進を図る」という自治体の長として有していなければならない理念・姿勢を欠落させおり、新型コロナ対策でも社会保障政策でも物価高騰対策でも徹底した「自助」努力による解決を求め、国の制度や法定制度を超える支援は冷たく拒みつづけるなど、公的責任を果たそうとはしていません。

 ポピュリスト小池百合子

  いま、世界で危険なポピュリズムが台頭し、人々が営々として築きあげてきた世界の秩序、平和が脅かされようとしています。

 一方、小池都知事は2回の都知事選挙や都議会議員選挙、国政選挙をつうじて、自民党政治との対峙を強く打ちだした劇場型選挙を演出するとともに、「都民が決める 都民と進める」「女性都知事」「環境」などあたかも自身が都民の味方であり、女性の代表であり、環境の先駆者かのように演出してきました。

 しかし、この8年の小池都知事の言動は真逆のものであり、ポピュリズム政治そのものであったことを指摘しなければなりません。

 都政におけるポピュリズムの台頭について、一橋大学の伊藤直也氏は石原都知事を分析した論文のなかで、「現代ポピュリズムの諸特徴」として、①敵の創出と無党派層の支持獲得、②メディアの利用、③新保守主義的性格と新自由主義的性格、④民主主義的プロセスの迂回を指摘しています。このまま小池都知事の政治姿勢・都政運営に当てはまるのではないでしょうか。 

 「都道府県の議会選だと、議員は選挙区の2~3割の得票で当選できます。だから当選可能性を高めるには、商工会議所やJA、労働組合など、部分利益の代表者として振る舞うのが一番合理的です。反対に、首長が選出されるのは小選挙区制ですから、浮動票を取り込まないと既成政党の候補者には勝てない。票が集中していて既得権益で固まっていないところ、すなわち都市部のホワイトカラーの支持を集めないとなりません。だから、議会や既得権益を非難すれば、当選可能性が高まります。自分の政治的意見がどうであろうと、当選を至上目的にしてそこから逆算すると、首長候補者はポピュリスト的な言動や政策を訴えることが合理的になっていきます」

 「政治社会的立場には保守的で、経済的には保護主義的です。既成政党が政治的、経済的な危機に対応できない中で、その隙間を埋めたのがポピュリスト勢力」

(吉田徹北海道大学教授、The Asahi Simbun Global 2018.09.06 

財界ファースト、都民置き去り

 いま、東京では石原都政が〃集中は是〃といって財界要求に応えて都政に持ちこんだ「都市再生」による同時多発的な超高層ビル群による大規模再開発が、「世界で一番ビジネスのしやすい国際都市」(舛添要一都知事)、「アジアナンバーワンの国際金融都市」「稼げる都市」(小池百合子都知事)などの名目で、「東京大改造計画」にバージョンアップされ爆速で推進されています。

 このようなほんのひとにぎりの大企業・多国籍企業と富裕層のための都市づくり、彼らが豊かになればその滴がしたたり落ちてくると言う〃トリクルダウン〃の発想にもとづく政治のもとで、東京における貧困の増大と格差の拡大はとどまるところを知らず、都民生活は困窮の度をふかめているのです。

 実際に小池都政のもとで大規模再開発や外環道、特定整備路線などの道路建設には湯水のように税金がつぎ込まれる一方、少人数学級や都営住宅の新規大量建設、多摩地域の保健所増設、国保、後期高齢者医療、介護のなどの社会保障負担軽減には冷たく背をむけつづけているのです。

 「都民ファースト」どころか「財界ファースト 都民置き去り」の都政と言わなければなりません。

 市民と野党の共闘で都政転換を

  いま、都知事選挙に向けて都内各地、各団体で市民と野党の共闘のとりくみが急速にひろがっています。

 はじまりは2016年の都知事選挙につづいて、2019年9月、浜矩子さん、五十嵐仁さん、永山利和さんの呼びかけで「都政を考える夕べ」が開催され、おおくの都民をはじめ各地域で市民運動にとり組まれている方々、労働団体の代表の方、弁護士や研究者の方々の賛同を得て、「市民と野党の共闘の実現で都政転換」をめざす呼びかけ人会議が結成されことです。

  この「市民と野党の共闘」は結実し、翌年の都知事選挙で宇都宮健児さんを共闘の候補として闘うことができ、その後の都議会議員選挙、衆議院議員選挙で着実な前進を勝ちとることができました。また、各地の首長の選挙においても協力・共同がひろがり、杉並区、中野区などで「市民と野党の共闘」の区長・市長が誕生。今年4月にたたかわれた衆議院第15区補欠選挙では酒井なつみさんが市民と野党の共闘で勝利しました。 また、1月24には「 どうなる東京 変えよう東京! 2024キックオフ」集会がひらかれ、この集会を契機に、市民と野党の共闘による「候補者選対会議」の設置と都知事選挙候補者の擁立、知事選挙準備のとりくみが力強くすすめられてきました。

 市民と野党の共闘で、自民党と一心同体の小池都政に代わる都民が主人公の都政を今度こそを実現しようではありませんか。