本気の「市民と野党の共闘」で
政治は足元から変わる!
杉並革新懇代表世話人 小関啓子さん
25年1月25日の東京革新懇総会での小関啓子さんの記念講演の要旨をご紹介します。
杉並区における総選挙、区長選、区議選へと発展する政治の変化は全国の注目の的です。
全国に共感広げる「〇月〇日区長になる女」
映画「〇月〇日区長になる女」をご覧になりましたか?監督のベヤンヌマキさんが撮影し、昨年1月2日からポレポレで上映がはじまった。この1年北海道から沖縄まで各地で上映され、第79回毎日映画ドキュメンタリー映画賞を受賞した。
私も時々マキさんと一緒に上映後のトークに参加してきた。福島、山形、大阪、川崎など。ドキュメンタリー作品がたくさんある中で、受賞したのは、住んでいるところが道路にされてしますという当事者である監督が撮ったというリアリティと、世の中って変わるかも知れない、そんな大層なことじゃないんだということを日本中に知らしめたことにあるのではないか。私が福島についていった時、上映が終わり監督がサインしている間、周りの女性達と話しをした。皆さんそんなに気張らなくとも世の中って変わるかも知れないですねとおっしゃる。あの1本のドキュメンタリー映画は、政治を変えたいという日本中の人達が受けとめてくれた。
注:映画「〇月〇日区長になる女」はネット検索で連絡先・上映条件が出てきます
活発な住民運動の街・杉並
杉並区は、人口57万人、有権者47万人。JR中央線と私鉄3路線の駅の総数19駅。小学校40校、中学校23校、200を越える保育園がある。
杉並は原水爆禁止署名運動の発祥の地と言われるが、私の母の世代の公民館運動、PTA活動など子どもたちのために住民運動の諸活動の歴史を持っている。
私は生まれも育ちも杉並で、中学校教員となり、はじめの20年は墨田区で、残りの18年間は杉並で忙しく働いた。2000年に退職して、待っていたのは“歴史教科書”運動だった。
住民運動から総選挙勝利へ
山田宏区長(日本会議メンバー。現参議院議員)が2005年に東京で初めて「つくる会教科書」を持ち込んだ。山田区長は11年の内6年間つくる会教科書の使用を強いた。ものすごい大闘争を行った。
2015年の国会前でシールズの皆さんの「野党は共闘!」の叫びに私たちは新しい文化を感じながら、志位和夫共産党委員長の「戦争法廃止のための国民連合政府構想」の呼びかけに、政治を変えたいという声の広がりがこの間の一番のことかも知れない。
保育運動も学校給食運動も子どもたちに関わることは、区職員や区長を含めてやってきた。そこにやってきた山田宏区長がぶちこわし、その後やってきた田中良区長にいいようにされてきた。その中で野党は共闘との動きにいち早く私たちは反応し、2017年総選挙は絶対に統一候補にしようと頑張った。だれが統一候補になってもいいように準備をし、政党回りをして東京8区は統一候補にしたいと頑張った。成功しなかったが、野党の票数では、石原伸晃氏を上回った。歯ぎしりしながら、野党共闘を実現させると次につなげたのが21年総選挙だ。
この時もいろいろあったが、共産、れいわ、立民の予定候補3人と市民は政策協定をつくり、合同の演説会もし、選挙前から宣伝カーを回し、宣伝もし、これで統一しなかったらただじゃおかないぞという気分になりながら、山本太郎さんが出る動きがあったが、最後は立憲民主党の吉田晴美さんで候補者を一本化し勝利。石原伸晃氏の比例復活も許さなかった。政治を変える確信が大きくなった。
それこそ出来る人が出来ることを出来る場所でやる。街頭に出られない人は電話掛けをする。立憲民主党の吉田選対の中で活動する人もいる一方、市民選対は共産党の事務所を借りて、選挙活動を引っ張る位の活動をやった。吉田勝利は、私たちに大きな確信を与えた。総選挙の投票率は61.03%と全都で一番の投票率を出した。
吉田晴美さんは、自分のエリアの中で、市民と野党の共闘の立場で活動している。
さあ次は区長選勝利へ
21年の総選挙で勝った私達は、さあ次は区長選と意気込んだ。総選挙の投票率が全都で一番の投票率だったから、選挙に行く人が増えれば政治は変わるとの思いになった。自治体の選挙は投票率は下がる。一番低いのは区議選、区長選もそんなに高くない。けれど今度は、職員も怯えるパワハラ田中区政を変える選挙だ。選挙に行けば政治は変わるかもしれないという思いを引き継がれたというのは、大変面白い選挙となった。
いろんな人が考えを出し、日本中で有名になった一人街宣も生み出された。あらゆる駅前に、訴えを段ボールに書いて、一人出勤前に立つ、まったく見ず知らずの人が駅頭に立つなど日常活動に一人街宣がなっていった。若い人は知恵があるから、告示後音出しがダメになったら、静かに立っていればいいんでしょ、通行人に声をかければいいのでは、証紙ビラを渡せばいいんでしょとなる。杉並は19駅あるが、「今朝は全駅制覇!」と、誰がどこにいるか分からない状況で行われ、187票差の勝利となっていった。
開票日の事務所では全然発表がない。もしかすると勝つかもしれない。そのうちマスコミが来た。勝って万歳はやらず“選挙は続くよいつまでも”のコールをやった。阿佐ヶ谷駅で、岸本聡子さんとみんなで勝利宣言をした。
様相が変わった区議選
そして翌年、23年の区議会議員選挙。区長選では、何人もの若い人達、女性達が一人街宣を行った。あんなに応援して187票差で勝ったんだから、これは議会に行って応援するしかないよねと何人もの人が選挙に出ることになった。23年4月の区議選では、自民党が7人落選、新人女性がたくさん当選。その結果、女性が半数を超えるパリテ議会になった。議会の景色が変わった。傍聴にくる人達が、議場をのぞいても、黒い空間が減り、カラフルな議場になった。
岸本区政の前進
岸本聡子さんが書いた「杉並は止まらない 民主主義をアップデートする」を持ってきている。その中で、「民主主義をアップデートしていくという意味では、自分は187票差だから、投票に行かなかった人、私に入れなかった人は圧倒的に多いわけだから、そういう方達の声を聞くという区政を進めて行く」と語っている。
議会ではヘイトの主張があったり、日本会議の議員が根拠のない岸本区長のパワハラを攻撃したりなどあるが、岸本区長が提案したものは通らなかったものはなく、杉並区は大きく前進してきている。
私達は、10年以上毎月第2水曜日に区役所前で、前の区長が児童館を潰す、開発をどんどん進めるなど、起きていることを全部集約し区政に対する異議申し立ての昼休み集会をやってきた。
区長が変わり、岸本区政を支えて、みんなでこういうことをしようと呼びかけている。
選挙は続くよどこまでも
2024年10月の総選挙の時、野田立民代表が共産党とは一緒にやらないといったけど、私たちの中では、誰に言われた訳じゃないが、吉田晴美さんを統一候補にしようという状況となり、共産党は自主的に応援する統一候補として総選挙をたたかった。杉並では男では勝てないと自民党も維新も女性を出し、まさに女のたたかいとなり、吉田晴美さんが大差で勝利した。私達は市民と野党の共闘こそ政治を本当に変えていける、そういう住民運動と選挙運動と一緒に前に進めていくことはどこも同じだと思っている。杉並がが特別ではない、その差はほんの小さな差の中で今の政治が動いているとするならば、選挙に行って政治を変えることに得心が得られれば、若い人も選挙にいくことになる。
石丸さんの世界など全く分からないが、それを凌駕できるだけの状況をみんなで作り出すことが出来れば政治は変えられる。
思えば“選挙は続くよどこまでも”。市民と野党の共闘は続かなければならない。政治を変えるという動きは止めてはならない。
杉並では昨年4月に学級に担任の先生がいないクラスが22あった。不登校は1000人に達しようとしている。こういう子ども達の状況を見過ごすわけにはいかない。
私は新婦人の産直野菜をやっているが、90過ぎの友だちがいつも野菜代にカンパをのせてもってくるが、昨日彼女が来て「スーパーに行ったら余りの高さにビックリした」と今後は代金丁度で払うと言った。涙が出た。90過ぎの年金暮らし方が、手に取ったものをじっと眺めてやめようと置いてくる。高齢者と若者が分断され、若者は闇バイトに走る。8兆円の軍事費をやめればいいだけの話しだ。そういう政治をつくり出せばいいとしたら、私達はみんなで手をつないで政治を変える!。頑張りましょう。
見てきました「〇月〇日、区長になる女」
府中革新懇 丁 弘之
杉並岸本区長誕生のドキュメント映画「〇月〇日、区長になる女」をアンコール上映中の東中野ポレポレで見てきました。奇しくもこの日第79回毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞を受賞しました。受賞理由は「草の根民主主義のプロセスを可視化した」ということでした。
映画は道路拡張計画で住み家を失う危機に直面した監督のペヤングマキさんの政治や選挙への目覚めを縦軸に、先の区長選挙で現職に187票差で岸本聡子さんを区長に押し上げた「ひとり街宣」に象徴される草の根の市民の取り組みを横軸に数々のドラマが綴られ「架け橋とリスペクト」を基調とする私たち必見の作品です。
総会の会場で購入した岸本聡子さんの「杉並は止まらない。民主主義を、アップデートする」は、区長就任から2年半の実践の記録。あとがきは「見えてきた新しい地方政治の景色。決して平坦な道のりではないが、私たちは未来に続く種を蒔き、目を育て、踏みつけられてもたくましく育てていく。」と括っています。来年二期目の挑戦、杉並から目が離せません。
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