自治体の使命を投げだし暴走する小池都政
政研究家 末延渥史
小池都政は「稼ぐ東京」を掲げ都内の再開発を急速に進め、環境の悪化、都民生活の破壊が進み、庶民が住めない街になってきています。小池都政の現状について寄稿して頂きました。
このような異常気象は日本列島全体で常態化しており、スキー場のある内陸・山間部で積雪が少なく、その一方で、日本海岸沿いの平野部が大豪雪に見舞われ、物流トラックの立ち往生が発生。また、「過去に経験をしたことがない」という風水害が相次いで発生。2018年の西日本豪雨、2019年の台風19号災害、昨年9月の東京を襲った記録的豪雨など甚大な被害がもたらされています。
これらの現象は「地球温暖化」によるものですが、この100年の間の世界の平均年間気温が0.7度、日本では1.2度。さらに東京では全国の3倍にあたる3.2度上昇しており、2023年には気温が30度を超える真夏日が過去最高の年間90日に達し、熱中症搬送数(5月~9月)は8118人、熱中症死亡者(同・23区)は263人にも達しているのです。
また、2020東京オリンピックでは17日の大会期間中、「日常生活における熱中症予防指針」による危険(「高齢者においては安静状態でも(熱中症)が発生する危険性が高い」)が9日、厳重警戒が6日、警戒が2日という安全な日が一日もない危険と背中合わせの状態が発生していました。
このような地球温暖化とそれに起因する異常気象は何によってもたらされているのか。その元凶は、産業革命を契機とする工業化社会、近代都市のもとで使用される化石燃料から排出される二酸化炭素(CO2)を主因とする温暖化物質の急増にあります。
これに対して国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)が日本が議長国となった1994年の京都会議で温暖化物質の削減を掲げた「京都議定書」を策定。さらに二酸化炭素を含む温室効果ガスの「排出量」と「吸収量」を均衡させるカーボンニュートラルを提起。2015年に国連が持続可能な社会づくり=SDGsを策定するなどの温暖化阻止の取り組みが世界的規模ですすめられています。
こうしたもとで東京都と並び世界都市とされるロンドンやパリでは超高層ビル開発を規制。また、ロンドン市は都市の成長を管理する「ロンドンプラン」を策定、ロンドンオリンピックにあたって高層ビルを低層の住宅に建て替えるなど持続可能な社会づくり、都市の成長管理政策を展開しています。
一方、日本では歴代自民党政権が「経済との調和」を第1原則として京都議定書の実現に背を向けつづけ、二酸化炭素の排出削減の方策の第1に原発を掲げて原発再稼働に固執しつづけています。
また、東京都では石原都政から小池都政に継承されてきた都市再生・東京大改造による超高層ビル再開発が爆走で加速させられ、2000年からの四半世紀の間に高さ100mを超える超高層ビルが441棟も建てられ、その延床面積は千代田区・港区・中央区の行政面積を超える42・3haにも達し、膨大な二酸化炭素を排出。深刻な温暖化とヒートアイランド現象をもたらしているのです。
東京の二酸化炭素排出量を見ると、大規模なオフィスビルや超高層マンションなどの業務・家庭部門が東京の二酸化炭素排出量を増加させ地球的規模での温暖化を加速させているのです。
温暖化防止は化石燃料から再生エネルギーへの転換を図ることは当然ですが、東京の場合、なによりも・東京大改造路線を転換し、都市の成長をコントロールする政策への転換が不可欠です。
ところが小池都知事は、地球温暖化対策を言い訳程度の対処療法的なものに止め、根本対策である二酸化炭素発生源の対策については何らの方策をとらないばかりか、官邸主導・トップダウンの国家戦略特区のなどの東京大改造=「稼ぐ都市」を推進。かつて都民の台所と呼ばれた筑地市場を廃止しそこに統合型リゾート施設(IR)の要件を満たした超高層ビルによる再開発や新宿駅・品川駅周辺、日比谷公園を取りこんだ再開発、神宮外苑地区再開発などの大規模再開発、さらには北区赤羽地区や私鉄沿線での同時多発的な再開発、全国的に知られた板橋区ハッピーロード大山商店街を分断し超高層ビルを建設する都市計画道路特定整備路線、2兆7625億円もの事業費の外かく環状道路建設などを加速させているのです。
こうした大企業・多国籍企業と一握りの富裕層のための「稼ぐ都市」・東京大改造のもとで環境破壊だけでなく、貧困の増大と格差の拡大、都民生活破壊は止まるところを知りません。こうしたもとで小池都知事は現在、開催されている都議会2026年第1回定例会に一般会計が5年連続過去最高額の9兆6530億円、特別会計を加えた全会計ではスイスの国家予算を上まわる18兆6849億円に達する巨額の2026年度予算案を提案しました。
そして小池都知事はこの予算案につい、記者会見や都議会の施政方針演説でも、物価高騰に苦しむ都民に寄りそうことも、貧困という言葉も格差という言葉も発することはありませんでした。その一方で小池都知事は「世界から選ばれる都市へと進化を続けて国際都市・東京のプレゼンス」を「一層高めていく」という、「稼ぐ都市」まっしぐらの決意を表明したのです。
実際に予算案を見ると、都民世論を反映した若干の予算が見られるものの、都民の家計を直接潤すための物価高騰対策予算、国民健康保険や介護負担の軽減のための予算は見当たらず、切実な都民要求である都営住宅の新規建設、29年間も据え置かれている心身障害者やひとり親家庭への福祉手当の増額、9年間据え置かれている商店街振興予算の拡充、小学校の30人学級への移行と中学全学年での35人学級などは冷たく拒絶され、昨年度、1万3162人もの待機児(国発表)が残された保育所待機児童解消区市町村支援事業はスタート時には220億円あったものが来年度は1割の23億円にまで後退させられています。
その一方で、東京大改造には惜しげもなく莫大な予算がつぎ込まれ、築地市場跡地や新宿駅前、品川駅周辺などの再開発には1500億円(2027年度以降も含む)、住民や商店街の反対で事業の進捗が見られない特定整備路線に建設局だけで370億円もの予算を計上。さらに、巨大クルーズ船のための総事業費650億円の臨海青海地区のふ頭延長工事にもしっかりと予算をつけ、無駄遣いの都庁プロジェクションマッピングに15億円と大盤振る舞いです。地方自治法が定める「住民福祉の増進」という使命を負う自治体の姿とはほど遠い都政です。

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