余震が続き、首都圏の直下型地震が心配される中、営団地下鉄、西武鉄道、全日空など交通関係の労働者がつくる職場革新懇が共同で、「首都圏地震・津波と公共交通の防災対策」と題するシンポジュームを、9月24日に東京労働会館で開催、約60人が参加しました。
首都圏地震の危険増大
日本科学者会議災害問題研究委員会の坂巻幸雄氏は、3・11東北地方太平洋沖地震が日本列島全体に及ぼした影響は大きく、顕著な誘発地震が続いており、首都圏での地震発生の危険は、より厳しくなったと捉える必要がある、と警告しました。そして、「図らずも近づく首都直下地震の予行演習となった感がある」と指摘、浮き彫りになった課題として、高層マンション、液状化、津波対策、交通渋滞・帰宅難民・物流確保などをあげ、「防災・減災運動の質と量を、この際急いで高めなくては、国民の生命と安全は守りきれない」と、訴えました。
予防原則で防災対策を
都政問題研究家の末延渥史氏(日本共産党都委員会自治体部)は、「問われる政治の責任」として、地震被害想定におけるタブー(高速道路、新幹線、原発)を告発、その目的が人命と都民の生活を守ることではなく、政治や経済といった首都機能を守ることに主眼が置かれていると述べました。財界戦略の自己責任論と石原都政による震災対策条例を批判し、「都市型スーパー災害」に備えて、「予防の原則」に立ち返る必要がある、と強調しました。
東京メトロ労働者の五味洋氏は、3・11震災時に、駅や施設の安全点検した体験をリアルに報告し、乗務員のワンマン化、要員の削減が進められているが、災害時の安全対策からも人減らしを止めるとともに、非常時備蓄倉庫の充実が必要と訴えました。
フロアからは、次のような発言がありました。<全日空>地震・津波で羽田飛行場が“陸の孤島”になる危険。労働時間が延長され、保守点検の要員が削減されている。<地下鉄>3・11震災時に、メトロ86本、都営35本の電車が駅間で緊急停車。同時多発では、救援隊は来られない。<都庁>3・11震災時、民間委託の防潮扉が閉まらなかった。<古館都議>石原都知事はオリンピック誘致に執着しているが、防災の充実が一番。
参加者からは、「首都圏の交通を維持するために現場の労働者の役割は大きく、人減らしが安全を損なっていることがわかった」「自宅が立川断層に近い。都政が責任を放棄していることで被害は増すとのこと、そうさせない運動が大切」などの感想文が寄せられました。 (写真は、液状化した臨海部)
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