2021年6月1日火曜日

 横田基地 危険な超低空飛行訓練の常態化


横田基地の撤去を求める西多摩の会
 寉田一忠

 治外法権的に日本に持ち込まれたオスプレイ

2012年の夏、初年度分のオスプレイ12機を普天間基地に配備するため、船に積まれたMV22オスプレイが太平洋上を航行し、岩国基地に運び込まれようとしていた時期、「危険な欠陥機を持ち、込み沖縄の空を飛び回わらせることなど許せない」という声が沖縄県内で急速に広がりました。その年の5月に防衛省から配られた米軍発行の「環境レビュー」の中で、オスプレイの飛行訓練コースに指定された全国の該当する県の知事や自治体からも、反対や疑問の声が上がっていました。

このときある知事の発言に注目が集まりました。「オスプレイが人口密集地で治外法権的な運用が可能であることを、地域住民や行政を預かる者が『ハイわかりました』と言うはずがない」 「米軍が何でも持ち込めるというのは、どう見ても信じがたい。日米安保条約・日米同盟以前の話だ」。

これは、翌13年12月末に、安倍官邸に呼ばれた後、辺野古新基地建設工事容認に転じ、「これで良い正月が迎えられる」などと言って、沖縄県民を裏切り怒りをかった、仲井真沖縄県知事の発言です。この時期の仲井真知事の沖縄県知事らしいまともな発言を支えていたのは、当時10万人規模の県民大会を準備し、「オール沖縄」へ動き出していた、沖縄県民の圧倒的なCV22オスプレイ配備反対の世論であったことは明らかです。

こうした力に押され、一定の飛行制限を話し合う場として「日米地位協定」に基づく「日米合同委員会」が開かれ、「住宅地、特に学校や病院・公共施設などの上空は飛行しない。」「可能な限り海上を飛行する」などが申し合わされました。

しかし、狭い日本に持ち込まれたら住宅地を避けて飛行することなど不可能であることは、岩国基地で行われた試験飛行であっけなく明らかになりました。

米軍には元々地位協定で日本の航空法が適用されませんから、取り決めなど無視して飛行することが常態化しているのです。

米国本土では米軍の飛行訓練は、住宅地上空などでは当然ながらなされていませんし、オートローテーション機能がない欠陥機オスプレイは、航空法で飛行が禁止されています。自国でできないことを、なんでも言いなりになる日本でやっているのです。 

横田基地周辺一帯で連日轟音とどろかせる米軍機

横田基地は内陸にある基地です。飛び立てばそこは住宅地です。学校もあれば病院も保育園もあります。米軍は言い訳のように訓練空域などを決めていますが、実際には訓練空域などどこ吹く風で、特殊作戦機CV22オスプレイ・輸送機C130Jの異常な飛行が繰り返されているのが実態です。

特殊作戦機CV22オスプレイは日米合意など知らんと、基地周辺の福生市・羽村市・瑞穂町・昭島市で、ヘリモード、変換モードで住宅地上空を低空飛行し、基地に戻るとホバリングを続ける無法ぶり。抗議の声を無視し、機関銃の銃口を突き出し、夜間になっても訓練は続けられ、基地近くの住民からは、爆音と振動で「窓がふるえる」「テレビが見られない」「うるさくてねられない」などの抗議の声が上げられています。

輸送機C130Jは連日のように轟音をとどろかせ、東京西部の緑豊かな日の出・あきる野・五日市・青梅で、さらには奥多摩湖上空でも、山すれすれに飛び回っています。

どこもかしこも低空飛行が当たり前、急旋回、急降下、急上昇も何でもあり。だから直下に生活する住民にとっては全くひどい状態となっています。

こんな中、4月初めに五日市の住民から、買い物帰り「急降下して来て一瞬墜落するかと恐怖が走った」と言う切実な声が届きました。こんなことは決してあってはならないことです。             

返ってきた答えは「飛行機は落ちます」「基地周辺も訓練場です」

いま全国で、北から南から米軍機による低空飛行が大きな問題になっています。その多くは横田基地から飛び立ったC130JとCV22オスプレイであり、沖縄まで出向いて「外来機が住宅地上空で低空飛行」「嘉手納基地で危険な降下訓練実施」などと大問題になっています。

ご存知のようにオスプレイは欠陥機であり世界1危険な航空機といわれており、墜落の危険が常につきまといます。横田基地を抱える地元東京における追及の声が十分でないことをいいことに、米軍の横暴勝手が全国へ拡大し、繰り返されているような気がしてなりません。

最大の問題は、これほど日本国民・都民・地域住民の暮らしの安全といのち=人権が軽んじられているのに、政府も東京都も米軍に抗議することなど考えられないという姿勢だということです。かつて地元の住民が平和委員会と共に、欠陥機オスプレイの危険性と、住宅地上空を使った異常な飛行について防衛省に出向き、これを質したとき、返ってきた答えは「オスプレイに限らず航空機はいつか落ちます」「基地周辺上空は米軍の訓練場です」という驚くべきものでした。

主権国家であれば、外国の軍隊に首都の住宅密集地上空を戦争の訓練場に差し出すなどということは考えられないことです。日本は恥ずべき従属国家です。 

4月の日米首脳会談で一層明らかとなった米軍基地の危険性

4月の日米首脳会談で、台湾問題が重要な新たな軍事的危機をはらむ問題として急浮上しました。浮上した台湾問題とは何でしょうか。

米政府は、今年1月「インド太平洋における戦略的枠組み」と題する機密文書を、異例にも30年も早めて公開しました。その狙いは、次期バイデン政権に対して「強固な対中姿勢を前面に押し出し、強硬路線をとらせる」ことでした。

中国は、台湾を領土・主権に関する「核心的利益」に位置づけ、「譲れない一線」としています。一方米国は、台湾への武器売却や政府高官の往来を進め、台湾海峡に艦艇を派遣するなどを繰り返してきました。

こうした中、ロシアが冬季ソチ五輪の後クリミヤ半島を一気に併合したように、来年の冬季北京五輪の後に「台湾有事」の危険があるとか、「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」(米議会での米インド太平洋軍司令官の証言)など、危機感をあおる動きが強まっています。

こうした中、米国にとって台湾有事に備える重要な軍事的拠点が、日本に置かれた米軍基地群であり、自衛隊の基地群であることは明らかです。とり分け重要な基地群が「第1列島線」上に造られた奄美大島や、宮古島・石垣島などの沖縄南西諸島につくられた自衛隊ミサイル基地群です。

米国は、現在の軍事力では中国を抑え込むどころか、対等に渡り合うことも難しいと分析し、中国大陸を射程に入れる中距離ミサイルをここに配備するか、日本に買わせるか検討しているといわれています。日本が中距離ミサイルで武装したら本当に安全が守られるでしょうか。

台湾有事は、実態としては米中戦争ではなく、日中戦争になると危惧されています。

何か突発的な出来事で、米軍のミサイルが日本の領土から中国・台湾に向かって発射された瞬間から、たちまちこれは日中戦争に転嫁し、大量の超高速最新鋭の中国のミサイルが沖縄の基地に打ち込まれるだけでなく、日本列島の米軍基地に打ち込まれ、周辺の住民が巻き込まれ、大惨事となる危険があるのです。

横田基地が例外になることはありえません。在日米軍・第5空軍司令部・特殊作戦司令部・航空自衛隊航空総隊司令部などが置かれている横田基地が、最も危険だということはだれでもわかることでしょう。

こうした危険な事態を防ぐには、辺野古基地建設の強行、馬毛島に軍事要塞を作ること、南西諸島への中距離ミサイル配備を止め、膨大な無駄遣いである敵基地攻撃能力保持を断念し、平和憲法を持つ国として、外交力を発揮し、戦争ではなく話し合いで解決すること以外に道はありません。 

軍事同盟なくし、安心して暮らせる東京・日本を

東京全体では多摩地域にある横田基地周辺での異常な訓練への関心は、それほど大きくありません。一方、都心部にある麻布へリ基地(赤坂プレスセンター)で繰り返される米軍ヘリの超低空飛行は深刻ですが、西の三多摩方面ではあまり知られていません。最近都心部での米軍ヘリによる低空飛行が大きな問題となっています。軍用ヘリがまるで遊覧飛行のように都心部を飛び回っていることに、怒りの声が上がっています。

さらに、羽田空港への都心上空を使った民間機の分刻みの超低空飛行問題は、23区方面では大問題です。東京の西と東で米軍機・航空機による騒音・墜落の恐怖が社会問題になっています。

都民の命と安全を脅かしているのはコロナだけではありません。オスプレイが飛び回る下でオリパラなどとんでもない事です。恥ずかしくて世界からお客さんを招くなど、資格がありません。

都民は心を一つに手を結び、こんな危険なことを許し続けてきた都政も国政も、政治の根本を大転換させ、軍事同盟を打ち破るため力を合わせましょう。         

0 件のコメント:

コメントを投稿